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龍と魔法がありふれたこの地にて  作者: クラムボンのおにぃちゃぁん
青年期2
35/36

episode35

僕はもしかしたら大分やらかしているかも知れない

パーティーメンバーの母親に“従者の失態は主人の失態”とか“どうぞ、あの騎士もどきのように平民とお呼びください”とか言ったはずだ

それに最初っから不機嫌そうな顔をしていたと思うしそもそも貴族の年頃の娘が男と同居していると言うのはライン越えなのでは?

別にパーティーメンバーと大きな家を借りて同居すると言うのは珍しい話ではない、けど家出した娘がそんなことをしていたら内心穏やかではないだろう

ていうか僕が女の子とお酒を飲むお店に行ったことがあるのはロララも把握している、多分常連さんということはまだバレていないはずだがそれをリリ夫人にチクられたらダメな流れになると思う

そういえば騎士をボコボコにしたのも不味かっただろうか、いくら素手で、それもあっちが先に抜いていて、この国の法律上はぎりグレーで許される行為でも心象はよくないはずだ


「よし、今日は宿に泊まるか」

「ダメに決まってるだろ、やましいことがあるみたいじゃないか」


ミスチーに止められる、やましいことがあるみたいじゃないかではないんだ、あるからダメなんだ、例の店に通っていることをチクられて時点で僕の信用は地に落ちることは決定事項だ


「パーティーリーダーである僕が決めたことはパーティーの決定事項だ、そして僕は今その権限を行使して家には帰らないことを決定した」

「何を言ってるんですか?」


後ろからの突然の声に驚いて振り向くと家出少女が僕のことを疑念のこもった目で見ていた


「チビには……リリ夫人は?」

「ご飯食べてきた所でお母さんは先に帰っていてもらっています」


リリ夫人がいた場合非常に困ったことになるため気合いで口を止める、そしていないことを確認してから視線を机の方に戻して珈琲を飲む


「あっそう、僕は死んだって伝えて、それか借金取りに連れて行かれたか」

「そうはいきません、さっさと着いてきてください」

「諦めろルカ、私も挨拶したい」


情けなく二人に引きずられながら家に連れ戻される


家に戻るとリビングには誰もおらず少し探すとロララの部屋から物音が聞こえた


「あ、勝手に入らないでください!」

「うふふ、全く変わってないわね」


棚に置かれたキャラ設定の資料集ではなく、何か分厚い本のようなものを三人が読んでいる、そして後ろの机の一番下の鍵付き引き出しが開けられている


「2月3日、世界が私の冒険を知りたがっている、お母さんは学院に生かせるつもりだが私には誰にも支配されない純白の翼が生えているのだ、旅にでよう、きっと私が英雄となって風の頼りでその名を聞いたらお母さんも考えを改めるだろう」

「や、やめてください!!いくらお母さんでも許せません!」


つまりそう言うことだ、ロララが家でしてから毎日つけてたであろう厨二病日記を読んで娘の軌跡を確かめているらしい


「やめてください?飛び級で学院の入試試験を受けたいって言ってたから受けさしてあげたらみんなの前でこけて少し笑われたくらいで学院には行きたくない、お母さんなんて知らないって言って家出したのにそんな事言えるのかしら?」

「わぁああ!!嘘、嘘です!これはお母さんの嘘です!そんな過去はありません!!」


あとで詳しく聞いた話だが当時のロララも相変わらず厨二病で、最年少で入試試験に受かったら格好いいのでは?と思い適正年齢の三つ下の時に試験を受ける

そして実技試験でお得意の全く魔術の発動に必要のない詠唱を披露、しかし勢いよく振っていた杖が柱に当たって折れてしまったのだ、試験官は慰めてくれた上に代わりの杖まで用意してくれたのだが自分の失敗を笑われたと思ったロララは拗ねてしまった

そして自室でやさぐれていたロララのモチベーションを再び上げたのが冒険者が龍を倒して国から英雄と認められ、お姫様と結婚する英雄譚、すっかり調子を取り戻したロララは次の日家族に冒険者になるとかいた手紙を置いて家出したのだ


なんともしょうもない理由だが不仲や虐待から逃げるためとかそういう暗い話じゃなくて安心した


リリ夫人と目が合う、なんだろうと思いつつ視線を返すと立ち上がって頭を下げてきた


「ルカさん、先日の騎士の件、2年間行方不明だった娘がここにいるという話を聞いていてもたってもいられなく多少強引でも娘の安否を確かめるように指示を出した私の責任です、本当に申し訳ありませんでした」


僕もすぐに立ち上がって頭を下げる


「謝罪を正式に受け取ります、私こそ二年間も家族の方に気苦労をかけるようなことをしてしまい申し訳ありません、娘さんの命を預かっている身としてあまりにも不義理な行動でした」


「ちょ、ルカは謝らなくて良いんですよ、お母さんが悪いんですから」


リリ夫人の気持ちも十分わかる、謝罪なんてしなくてもいいと思う、それにロララの言う通り僕が謝罪をする必要はない、けどそれじゃだめだ、謝罪は受ける、そしてその上でこちらの非を無理やりあげて相手だけに恥をかかせないようにする、これが最も後腐れのしない方法だ


「そして改めて、娘から話を聞かしていただきました、冒険者になったばかりで右も左もわからなかった娘の面倒を、仕事、私生活の両方を助けてくださり本当にありがとうございます」

「いえ、母から女性が困っていたら助けてあげなさいと教育を受けてきたので、むしろこんなことでお礼を言われてしまったら私が母に怒られてしまいますよ」


笑顔でそう返す

若干「全然優しくないですよ!頭だって二回も叩かれたこともあります!」と叫んでいる厨二病がいたような気がするがそれは愛の鞭ってやつだ、家の中で中級魔術の練習をするやつと生肉を食べようとするやつなんてそんな扱いでいいのだ


「私は一度帰らしていただきます、夫とロロの妹にロロが無事だったことを伝えないといけません」

「そうですか、なら見送りを」


僕とリリ夫人が真剣な話をしている間に隙をついて日記を奪い引き出しに片付けてから鍵を隠したロララに視線を送って玄関前までミスチーとロララと一緒に行く


「では、お気をつけてお帰りください」

「リリ夫人、お気をつけて」

「ばいばい〜!お母さん!」


馬車に乗り込むリリ夫人に挨拶をする

いざ馬車が出ようとした瞬間、窓が開けられてリリ夫人が顔を出す


「ルカさん、あんまりえっちなお店に通っていてはダメですよ」

「……は?…え?ちょっ!!」


突然のことに呆けていると馬車が出発してしまう、後ろを向くとイタズラが成功したみたいな顔をしているロララと笑っているミスチーが目に入る


「えっちな店じゃないのに……」

「知ってるんですよ?ルカが二週間に一回のペースであそこに通ってること」


だからなんだと声を大にして言いたい、だって良いじゃないか、育児疲れを外で発散しているだけなのだから、それに最近玉炎竜を討伐して有名になったから少しちやほやされるようになったのに


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