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龍と魔法がありふれたこの地にて  作者: クラムボンのおにぃちゃぁん
青年期2
34/36

episode34 家出少女

騎士もどきをボコボコにしてから一週間が経った頃、再度我が家の扉が叩かれることになった


「どうも」

「……どうも、どうぞ中に」


玄関を開けると、見るからに執事という感じの初老の男、杖を持った魔術師の女、そして貴族特有の整った顔立ちをもつ女がいた、玄関前で話すのもなんなので中に入れる

そしてまずは軽くジャブだ、5万リリーもした茶葉と2万リリーもしたお茶菓子で牽制する


「あの…、ルカさん…?」

「いえいえ、私のことはどうぞ、あの騎士もどきのように“平民”とお呼びください」

「き、騎士もどき…?」


嫌味ったらしく言う、それに対してどうすれば良いのだろうと少しあたふたしている夫人に対して少し疑念を持つ


「あの…ロロは?ここにいないのですか?」

「私はパーティーのリーダーとしてあのような無礼な騎士を使者として送ってくる人間に仲間を合わせることは許容できません」


ロララが何をして貴族が出張ってきているのか一切わからないが少なくともあんな乱暴な騎士を許している人間に大事な仲間を合わせることはできない


「騎士とは、花を慈しむ心を、子供を守る愛を、忠義を貫き信念を、戒律を守る自戒の念を持ち、平和を説き、隣人を愛し、その身と剣を民のために捧げる、そういったものと私は考えております、そして従者の失態は主人の失態、貴方はすでに私に礼を欠いているのです、ご理解ください」


ルカが言い切るとそれを聞いた夫人の目から涙が溢れる

一瞬何が起きたのか理解できなかったルカ、けれど理解できても目の前で執事と魔術師が声をかけているのを見ることしかできない


「だ、大丈夫ですか…?」

「い、いえ、世間知らずな子で悪い大人に騙されていないか心配だったので……それでこんなしっかりした友人がいれくれたのかと思うと…安心と今までの心配が杞憂になったことが嬉しくて…」

「……え?」


話の流れが変わった気がする、今までは横暴な貴族と喋っていたつもりだったのだがなんだか違う気がする、冷や汗が止まらない


「そういえばまだ名乗ってませんでしたね、私の名前はリリ・ツツミハ・クララ、クララ子爵家現当主であるキリリ・ツツミハ・クララの妻で二年前に家出したロララの母です」


言われてみれば確かに雰囲気がロララだ、ていうかロララを大人にしたらこんな感じになるだろうなってくらいに似ている、やばいかもしれない、僕の印象は確実にプラスではないだろう


「あぁ〜…、娘さんとパーティーを組ましてもらっているルカ・アンサンブルクスです、娘さんの名誉のために言っておきますが僕と娘さんの間に友人、パーティーメンバー以外の関係はエリス様に誓ってありません、今すぐ娘さんを呼んできますので少々席を外します」


ものすごく早口で詠唱する、後ろの魔術師と執事の視線が心なしか痛い、玉響ステップですぐさまその場から消えてロララの部屋に押し入る、すると案の定中でゴロゴロしているロララがいたので首根っこを掴んで夫人の元に戻る


「な、なんですか!急に…ってこれこの前私が食べたいって言っていたお菓子じゃないですか!?買ってきてくれたん……げっ!?お母さんっ!?それにガスとメイリンまで…」

「ロララ…?ロララよね…?ロララ!!」


リリ夫人は少し涙脆いのだろうか、いや普通に厨二病、世間知らず、浪費家の三重苦を併せ持った娘が家出して2年間も帰ってこなかったら嫌な考えもよぎってしまうだろう

まぁ当の本人は悪戯がバレた子供みたいな顔しているが

とりあえず二人のハグを感動の再会みたいに見ている初老の執事に小声で話しかけ、メモを渡す


「僕ちょっと夕方まで外します、どうぞ身内の皆様で過ごしてください、それとこれにアセトで美味しくて個室がある家族団欒向けのお店を何件かメモしてるのでどうぞ」

「ありがとうございますルカ様」


僕にアイコンタクトで助けを求めているロララを置いて僕は家を出る、そして街で買い物をしていたミスチーに事情を話してから時間を潰した




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