episode33
パーティーメンバーとの食事は大切だ、同居しているのだから洗い物をいっぺんに片付けれるし、料理の手間もかからない、コミュニケーションもしっかり取れる、僕はこの顔を合わせて会話をするという時間を大切にしている、だから食事の際に客人が来るのが嫌いだ
「誰か来たな」
「うん、誰か来ましたね」
やれチェンチを取れだの、水が欲しいだの、コップがないだのと言われ続けてようやく座れたのだ、立ちたくない
「私が要件を聞いてこよう」
ミスチーが席を立ってくれたので僕はご飯を食べ始める、ていうか緊急時以外の食事時間に家を訪問するのは失礼にあたると習わなかったのだろうか、今12時半なのだが
「美味しいか?」
「美味しいですよ」
「ふふ、当たり前だ」
この前の竜討伐の報酬でロララが買った新しい魔導書についての話を聞いているとそろそろご飯が冷めるくらいミスチーが帰ってこないので僕も席を立つ
「だから困ると言っているだろ?また時間を改めてくれと言っているだけだ」
「いえ、あなたが取れる行動は唯一にしてシンプル、ロロ・ツツミハ・クララという冒険者を引き渡すことです」
面倒なことになっている、何かあいつはまたやらかしたのだろうか、見た感じ騎士とその付き添いできたオロオロしている使用人みたいなやつが玄関でギャーギャーと騒いでいる、いや正確には騒いでいるのは騎士だけで使用人はやめた方がいいんじゃ…見たな雰囲気でオロオロしている
「ミスチー」
「ルカ良いところに、ロララを出せの一点張りでな、食事時なので時間を改めろと言っても話を聞かないんだ」
「ふ〜ん…」
顔をよく見てみる、プライドの高そうな他人の迷惑を考えてなさそうな顔をした騎士だ
「今団欒の最中だから時間を改めてもらっても?」
「はぁ…、話の通じない人間が多いな」
「あ?」
つい殺気だってしまう、路地裏に連れ込んでボコボコにしてやろうかと思うほど今むかついた
「いいか、私は高貴な御方からの遣いだ、わかったらさっさとロロ・ツツミハ・クララを引き渡せ」
高貴な御方、十中八九貴族だろう、逆にこんだけ派手なことをして貴族じゃないのなら親の顔が見てみたいほどだ
「で?騎士というのは言葉がわからないのか?私は今、時間を改めろと言ったんだ、理解できたか?時間を、改めろと、言ったんだ」
「貴様ッ!!平民風情が貴族の遣いに逆らうと死罪にできるんだぞ!」
少し小馬鹿にしたら鍍金が剥がれ始めた、こっちの大陸の騎士はレベルが低いらしい、少しおちょくったら声を荒げ始めるのだから、それに法律の理解も間違っている
「それはお前の頭の中の法律だろ?正確には貴族、またはその命を受けたものに剣を向けのたのなら死罪だ、お前親の言いつけ守ったと思ってても怒られたことあるだろ」
「は?……私刑が許されている私が貴様に剣を向ければ結果は一緒だろう?」
察しが悪くて困る、僕が言いたいことはいくらでもこんなチンケな法律の穴をつくことができると言うことだ、剣を抜かなければ良いため素手なら現行犯じゃない限り裁けない、それに決闘を申し込めば合法的に貴族に剣を向けることができる
「それに私が相手が貴族というだけで無礼な人間に仲間を引き渡すとでも思っているのか?」
「……貴様の考えはよくわかった、なら武力行使といかせてもらう」
剣を抜いた瞬間に顔を殴り飛ばす、そしてそのまま手放した剣を拾い思いっきり地面に叩きつけて壊す、そしてマウントを取って顔を重点的に殴る
「私の名前はルカ、玉響の白銀ルカだ、次この無礼な人間もどきを私の家に近づけた瞬間、私にも考えがある」
相手が貴族ということならばエンヴィアイズ辺境伯の名前も出せないことはない、祖父からも何かあったら使ってもいいと言われている、仲間を守るためなら躊躇いなく使うつもりだ
「そこの、この燃えにくいゴミを持ち帰ってくれるか、食事時の時間さえ外せば私も取り合おう、しかし次はちゃんとした人間を連れてくることを願っている」
使用人の格好をした女性がうなづいたのを確認してから家に戻る、ミスチーからは大丈夫なのかと聞かれたが剣を先に抜いたのはあっちだ、それにややこしいことになったら決闘を申し込んで勝てば無罪なのがこの国のいい所だ
「ん?なんだったんですか?」
「……お前って貴族に怒られるような事した?」
「……?いえ、そんなことは…あ、そういえばルカがあまりにも遅かったのでルカが残してた分、食べちゃいました」
「……へ?」
やっぱりこんなやつ引き渡せばよかったかもしれないと後悔するルカ、一部始終をしっかりと見ていたミスチーはそれを見て不憫に思ったのだった




