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龍と魔法がありふれたこの地にて  作者: クラムボンのおにぃちゃぁん
青年期1
32/36

episode32 玉響の白銀

竜の解体作業は3日に及んだ、正式な報酬の分配と祝勝会をやるらしいので指定された酒場へ向かう


(…む?)


視線を感じる、竜の討伐に成功したからだろうか、少し気分が良くなって足取りが軽くなる、昼間っから騒がしい酒場に入る、中はすでにお祝いムードで出来上がっている人間が多数いた


「お、『玉響の白銀』じゃねぇか」

「た、たまゆら?」


たまゆら…、玉響か、玉響の白銀…不思議とロララチズム(厨二病感)を感じる

僕が意味がわからないという顔をしてると酒場の端…、律儀に靴を脱いで机の上に立ち、騒いでいるロララとそれを囃し立てる酔っ払いが目に映った


「…あれは?」

「吟遊詩人ごっこ、今の語りの部分少なくとも俺は三回聴いたことがある」


呆れて近づいていくとどうやらロララも空気に若干酔っているらしい、いつものバカみたいなテンションを超えている


「その時ルカを襲うは火をも焼く竜の息吹!絶体絶命のところで駆けつけたのは黒緋の魔術師!」

「そんでそんで!?」

「剣士ルカは仲間を信じて目を瞑り居合術の構えを取る!そしてその信頼に応えるように閃光のような眩い息吹を黒緋の魔術師が防ぐ!そして竜の獄炎より這い出るは銀の灰ルカ!見事に首を一振りのうちに落としたのだ!」

「「「おぉー!!」」」


楽しそうだ、まぁあの程度だったら趣味の範囲として放って置いて良いだろうと思いミリーとアリンを探そうとしたが聞き逃せない単語が聞こえた


「これが玉響の白銀と黒緋の魔術師の伝説ができたのです!!」

「お前かぁ!!」


つい大きな声が出て自分でも驚いた、ていうかこのロララチズムを感じさせる二つ名の名付け親はやっぱりロララであったらしい


「あ、ルカ、水臭いですよ〜!残像と縮地を自在に操るあの玉響ステップ、教えてくれても良かったでしょうがぁ〜」

「え…!?ごめんもう一回言って…?」


なんかめちゃくちゃ僕への冒涜を感じる造語が聞こえた気がする


「え?玉響ステップですよ!せっかくだから名前をつけてあげたんですよ、ていうかあれめちゃくちゃ格好良かったですよ!!」

「よっ!玉響の白銀の玉響ステップ!!」


一周回って殺意すら湧いてきた、玉響の白銀ですらちょっと、いやだいぶダサい域に入っているのにさらに玉響ステップなんてものが広まった時には僕はこの街ではシラフで外を歩けなくなってしまう

どうしたら良いのか迷っていると意外な助け舟が出された


「ロララちゃん、ルカが困ってるからそういう辞めてあげなさい」

「そうそう、その玉響ステップってやつは可哀想だからやめてあげな」

「アリン…!ミリー…!」


少し酔っているアリンとミリーからだ、少し粘ろうとするロララを放置し、周囲の悪ノリしていた酔っぱらいどもを剣圧で脅してからアンリとミリーと一緒の席に座る


「……もしかして定着してる?」

「あぁ、玉響ステップの概念が生まれたのは今日だが二つ名の方は3日前からそこらへんでおたくの魔術師が宣伝してるから定着しているな」


なんかこう、ここまで来たらそういういじめじゃないのだろうかと思ってくる、冒険者としてやっちゃいけないことは自分で自分の二つ名を決めるのと二つ名を名乗るのを恥ずかしがることだ


「素面で名乗れないよ…、玉響の白銀なんて…まるで厨二病の人間が考えたみたいな二つ名じゃないか…」

「まぁまぁ、私は良いと思うわよ、一瞬だけ見える銀の刀身と光の加減で髪に見える髪で綺麗な二義文(ダブルミーニング)になってるわ」


そんなこと僕もわかっている、わかった上で言っているのだ


「こう、夜更かしして頑張って考えました感が強いんだよ…」

「考えすぎだろ…、駆け出しが名乗ってたらそう思うかもしれんが俺らくらいの実力者ならおしゃれで良いと思うぞ」


「はいはいそうですね、竜剣さんに瀑布さん」

「お前…」


少し卑屈になってしまっていた部分があったので罪悪感から二人に新しいお酒を注文する


「で、本題だ」


そう言ってミリーが取り出したのは思ってたよりも軽い皮袋だ、僕もアリンもなんだこれはって感じのリアクションをとる


「竜玉の所有権は話し合いの結果満場一致でルカだ、でそれ以外の素材を全部売ったのと依頼報酬合わせてなんと3億リリーと端数だ」

「……え?」

「……ちょっと待って、予想ではいって1億リリーじゃなかった?何か間違ってないわよね?」


3億リリー、聞いたことない金額だ、小国の国家予算の10分の1程度の金額だ、ちょっとそう考えると悪寒がした、もしかしたら変な親戚とかこれからできるかもしれない


「割ってそれぞれに1億リリーと200万程度、それをパーティーメンバーと各々山分け、残りの細かいのは孤児院に寄付でいいか?」

「寄付は良いけど…、マジ?1億リリー、僕ら三人で割ったら一人3000万リリー超えるんだけど…」


さすがは難易度A上位の依頼だ、受けてよかったと心の底から思える


「お前ら…虹星金貨で欲しい?それとも小切手?」


そう言って皮袋の中から見たことない高級感を放っている金貨を取り出すミリー、僕もアリンも顔が青くなる、当然虹星金貨を持っているミリーも青い


「「小切手で」」


一度ギルドに預けてからパーティー名義の口座にもらった小切手で振り込んで、その後にパーティーの運営費に600万ほど残して残りを僕とロララ、ミスチーで山分けした

ちなみに竜玉はロララに杖に加工するかと聞いたがいらないと言われたため条件付きで売った

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