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龍と魔法がありふれたこの地にて  作者: クラムボン美少女概念
少年期 里編
3/52

episode3

見回りが終わりルカが玄関の扉を開けるとソワソワした様子のクドが彼を迎えた


「ッ!!ルカ、事情の説明をしてくれ」


ルカの方を掴み、なるべく小声で周囲には聞こえないように、けれどルカにだけ聞こえるように問いかける、ルカもすぐに何を問われているのか察してルカなりに要点をかいつまんで説明する


「泥だらけの子供を拾った、そして可哀想だったから風呂に入れてあげてるって感じです」

「……やっぱりか」


自分の予想は外れていなかった、がしかし何か問題があるかのような顔をクドは浮かべる、それに気づいたルカも真剣な顔つきで話の続きを促す


「多分母さんは小動物を拾ってきたと思ってる、さっき新しい家族の名前がどうたらこうたらと言っていた」

「……あ、」


文字通りルカはハッとした、自分は確かに母に人間の子供を拾ってきたと言っていない、そして母は思い込みが加速する性質だ、新しいペットを飼おうとウキウキし始めた母を宥めるのはかなりめんどくさい、ここで父と子の思いが重なる、しかし一足遅かった


「––!?キャアッ!!」


短い悲鳴が浴場から木霊する、顔を合わせたルカとクドは嫌な予感がしつつも声の方向に向かって急ぐ


「あれ…、人間の女の子……ですか?困りましたね、まさか森に女の子が落ちてたなんて……、ご飯は私達と同じ物で良いんでしょうけども……」


そこにはタオルを体に巻いた少年…いや少女と天然ボケをかます母がいた


「え…?女って…?」


ルカは思考する、自分は少年を拾ったはず、けれど目の前の子供は確かに少女にも見える、ならどうして、いつの間にか入れ替わった?、そしてようやく気づく、そういえばこいつずっとフード被ってたな、と。ルカはまさか悪ガキ三人が徒党を組んでまさか女の子に向かって石や泥を投げないだろうという先入観のせいで勝手に男だと思い込んでしまっていたのだった、そしてそんな思考とは違い体は反射で行動する、体を捻って中の二人からの死角に体を捩じ込む、そしてそのまま逃げたのだった


「えっ…、っておい!!ルカ!!」


咄嗟に逃げたルカを呼び戻そうとするクド、しかしそれが運の尽きだった


「あらあなた…?いえクドさん、どうして乙女の着替えを覗いているのですか?」

「あ…ごめん」


クド、つい三十分ほど前の気の利いた行動が今も取れていればと、自分の考えなしの行動を悔いたのだった

ーー

正座で地面を見つめる男衆二人、そして上手側に堂々と座るミリカ、いつものアンサンブルクス家の家族会議の基本形である、そして今回は変則的に母ミリカの正面に風呂上がりのため若干髪が濡れている少女が座っている


「ミリカ…、事故なんだ…」

「黙ってください」


クドの必死の弁解も虚しく一蹴されてしまった、そしてクドの正面に置かれていた三つの綺麗な小さい石の内一つがどかされてしまう、そしてこれは当然ルカの正面にも置かれている


「ルカ、説明してください」

「は、はい!!」


無駄な弁解をして死が一つ近づいたクドを内心笑っていたルカ、唐突に災い(ミリカ)に名前を呼ばれて声が裏返る


「えぇ〜と、そこの子が…」

「そこの子?……まさか名前すら知らないの?同じ里に住んでいて…」


ミリカの手が無情にもルカの分の石に伸びる、そして親指と人差し指に挟まれた綺麗な石が砕かれた、正面の少女も完全に怯え切っている、そしてルカは怯える少女にアイコンタクトを送る


「……!シャルロットです、ボクをお父さんとお母さんはシャルと呼びます」

「僕が見回りをしていると里長の孫が徒党を組んでシャルロットをいじめていたんですよ、泥を投げつけたり石をぶつけたり…」

「石を投げつけたり…?」


ミリカの額なシワが険しくなる、そしてまたもやルカの正面の石に手が伸びて石の破片が作られた


(なんで!?僕は悪くないだろ!!)

(ザマァ、さっきお父様を見捨てて逃げたからだよ)


驚き嘆くルカを横目にどうやらむかつく気配を感じたらしくクドの正面の石も砕かれ、二人ともあと一つ、問答を間違えれば死を迎えるところまできた


(えぇ!?)

(残念だけど当然)


煽り返すルカをミリカは睨み黙らせる


「それで一瞬そういう遊びなのかな〜って思って確かめてみたらやっぱりイジメだったからちょっと穏便にその場を収めたんです、そして泥だらけになったその子をこのまま放置もなんだと思って連れて帰ってきました……」


“遊びなのかな〜”の部分でミリカの眼光が非常に鋭くなったがルカの弁明が間に合って許された形となった、しかしミリカはもう一つ引っかかった部分があったらしい


「……穏便に収めた…?」

「え?はい、穏便に納めました」


なぜ確かめてきたのだろうと思い不思議がるルカ、それと対照的にミリカの顔が曇る、そしてまたまたルカの分の石に手が伸ばされて砕かれる


「えぇ!?なんで!?」

「なんでもクソもありません!!目の前で女の子がいじめられているのに穏便に済ませた!?あなたのその腰にぶら下げている木刀は飾りですか!穏便穏便って、穏便に済ませてこの子の気持ちはどうなるのですか!!」


ミリカは感情を抑えきれずに机を叩く、正面に座っているルカの顔が驚きと恐怖に染まるのを片目にルカも自分の終わりを悟る、しかし一度感情を吐き出したミリカは至って冷静に最初にどかしたクドの分の石をルカの前に置く


「しかし母はあなたがイジメに加担するような人間に育ってなくて嬉しいです、しかし次からは全員の顎を砕いてから泥を口に突っ込むことをを誓いなさい」

「ち、誓います!!」


(助かった…)


安堵するルカ、そして家族会議がいい雰囲気で終わりそうになっていることにクドも安堵する、しかしミリカの視線はクドに向く、そしてクドの正面に残った最後の石を砕く


「えぇ!?」

「乙女の着替えを除いた罪は重いですよ?」


クドの顔が絶望で染まる、しかしクドは一人で沈まないと隣に座る息子を巻き込もうとする


「あの時実は…!?カ、ハッ…」

「父さん、言い訳は見苦しいよ…」


ルカは咄嗟に続く言葉を背中を木刀で打って肺に強い衝撃を与える、そして息が吸えないようにして黙らせたのだった、アンサンブルクス家族会議、ルカ無罪、クド罪状“覗き“、二週間の禁酒に加えミリカが良いというまで夫婦の寝室からの追放、一人寂しく寒いリビングで寝ることが確定したのだった






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