episode26
(うぅっ!?頭がぁ〜!?)
自室のベットは朝日が顔に当たらないようにしているはずだ、なのに顔に光が当たって熱いし眩しい、それに朝起きると頭痛に加え吐き気、倦怠感に加えて平衡感覚がやばい、
「……あれ…?……動けん…」
体が全く動かない、なんでリビングの床なんかで自分が薄着で寝ているのか全くわからない、それになんか床がびっしょり濡れている、一瞬嫌な想像がよぎったのだが水で安心した
(確か……あ、)
ようやく昨日のことを思い出した、そうだ、昨日厨二病ロリから暴行を受けたんだ、でそこで記憶が終わってるから服を剥いだのも水をかけたのもあの厨二病ロリだ
不思議と怒りが湧いてこない、ていうか頭が全く動かない
「あ、……おはようございますルカ、………昨日は酔ったルカが急に服を脱いで踊り始めて最後には自分で水を被って寝たんですよ」
僕の顔色が悪いことに気づいたロララが白々しい言い訳をする
「……嘘…つくな、……やばぁ…いから」
呂律も頭も回らない、ていうかどうでも良いから介抱してほしい
けれどそんなルカの願い空しくロララは呑気に顔を覗き込む
「きっと暗黒緋奏の妖精の怒りに触れたのでしょう…熱ッ!?……灼華凛の書と契約したのですか…?」
「……契約した…で良いから…助け……」
絶好調のロララ、本当に今は構っている場合ではないから本当に助けてほしい
そんなことを考えていると騒ぎに気づいたミスチーがリビングに顔を出す
「世界よおはよう!……あれ?そういう雰囲気じゃない…?」
ロララのテンションに釣られてミスチーも絶好調で登場する、けれどいつもと違う雰囲気のルカに申し訳なさそうに尋ねる
「……ちょ…っと……無理……」
「何やってるんですかロララ殿!?さっさとベットに運び込んでください!!」
ようやく地獄のようなリビングがルカにとって好転する、怒られたくないからと言って素直に介抱ができなかったロララに指示を的確に出してルカの自室のベットに運び込む
「これは…相当ですね、私は薬を買ってきます、ロララは冷蔵庫に冷やしてある果物を切ってください、あと服を着さして魔術で体を冷やしてあげてください、……本当にやばい状況なんでふざけないでくださいね?」
「は、はい!」
ロララはルカに寝巻きを来させようと頑張る、顔に肘が当たったり、肩がゴキっとなったりしながらも完璧に服を着させれた後にリビングに降りて冷蔵庫に向かう
(そういえばこの冷蔵庫の魔道具も買ったのルカですね…、あれ?これってどうやって開けるんですか?)
パーティーハウスを買った時にルカが必需品として買ってきた冷蔵庫の魔道具、アヴァンギャルドの料理担当は当然ルカだ、以前ロララが料理をした際に無駄に火力を出して危うく家を失いかけたことをきっかけに料理を禁止されたのだ、そしてその際も材料を準備してくれたのも、エプロンをつけてくれたのもルカだ、つまり冷蔵庫を開けるのはこれで初見ということになる
「あ、開いた、…りんご…皮はどうやって…?ルカはいつもうさぎにしてくれてますし…」
ガコッという嫌な音がしたが気にしない、そういえばりんごってこんな形をしていたなとロララ、いつもルカがウサギにしてくれていたのだがどうやってこんな丸くて木の枝みたいなのが生えた赤いボールをうさぎにするのだろうかと悩む
「りんごは……やめときます、けどみかんなら私にもわかります」
みかんを頑張って探すロララ、しかしいくら探せどそんなものはない、この時期のみかんは季節ではないためルカが買ってきていないことを知らないのである
「……あれ?ちょっとやばいですか…?」
流石に焦りが芽生えてくる、自分はちょっと、いや多分だいぶ役立たずなのでは?と
自分と同族だと思っていたミスチーは普段とは全く違う様子で自分にテキパキと指示を出した、対して自分はまだ果物を用意することすらできないというていたらく
(や、やばいです…!ルカが元気になったらどんな嫌味を言われるか…)
きっと厨二病とか頭のおかしい子とか言われるに決まっている、それはクララ家の人間としてプライドが許されない
「……お腹が空きました…」
一度朝ごはんを食べて考えを落ち着かせようとテーブルの上を見る、しかし何も置かれていないことに気づく
「あぁ!?そういえばルカがあんな状況なんでした!……あれ?」
そういえば妹が風邪を引いた時に母がいつも食べさせてあげていた料理がある、確かりんごを火で炙ってシナモンをかける、そんな食べ物があったはずだ、アイスと一緒に食べるとなおのこと美味しいやつ
「よ、弱めの緋色の獄炎!」
りんごをざく切りにして中火くらいで炙る、懐かしい香りが匂ってきたタイミングで火を消して次に少しひんやり程度に冷やす、そしてシナモンをかけて一口食べてみる
「……多分美味しい?」
不恰好でだが匂い自体は母のものと変わらないはずだ、味は…自分ではよくわからない、苦いとか辛いとかは無いしちゃんと甘い、けど美味しいかと聞かれたら少し返答には詰まる感じだ
(あ、だからいつもルカは美味しいかどうか聞いてくるのか)
美味しいと決まっている料理を毎回美味しいと言わしてくるルカが少し嫌味に感じていたが確かにこれは自分では分かりにくい、次からはちゃんと美味しいと伝えてやろう
「ルカ、食べるので……す…」
ようやく最低限病人が食べれそうな食べ物ができたためウキウキで扉を開いた、けれどルカはまだ少し体調は悪そうだがすっかり眠っている
「まぁいいですか、起きてから感想を聞けば」
ロララは気を効かしてなるべく静かに部屋から出た
ーー
アヴァンギャルドのパーティーハウスに怒号が鳴り響く
「だから!なんで風邪の僕に薬じゃなくて唐辛子を買ってくるんだよ!?もう僕はお前が怖いよ…!」
「い、いや、辛いものを食べれば汗が出て代謝が良くなると聞いて…」
薬を買ってきたというミスチーに感謝を伝えて服用しようとした時に中から唐辛子とか山椒が出てきた時、流石にバカに頼った自分への憎しみが湧いた
結局戸棚の中に常備している風邪薬を飲んで寝てかなり体調が治ったのと同時に怒りが湧いてきた
「頼むよ…、奇を衒う必要なんかないんだよ…、僕を見つけた時に真剣に対応してくれた時どれだけ僕が嬉しかったと……」
「す、すまん…」
流石に風邪薬と唐辛子を天秤に乗せて唐辛子を選んだのはダメだったかとミスチー、目の前で自分よりも10も年下の青年に半泣きでこんなことを言われたら流石にもう少し頑張ろうと思う
「あ、あとロララ」
「は、はいっ!?」
良い感じにヘイトがミスチーに向いて自分は許されるのではないかとずっと思い出されないように黙っていたロララに声がかかる
「焼きリンゴ、美味しかった」
「……ッ!?あ、当たり前です!!」
初めて面と向かって褒められたかもしれないと喜ぶロララ、けれどルカは当然それだけでは止まらない
「今度子供に道徳を教えるための絵本を買ってあげるよ、自室に置いてあるキャラ設定のための聖書とか神話の本を全部捨ててさ?そこに置いときなよ、そしたらお前もやっちゃいけないことがわかると思うよ」
ロララがかっこいい単語や語集、言い回しを覚えるために集めている詩集、アンルード神話、エリス教の聖書、リリー教の聖書などの世界中の厨二病御用達の資料集について言及する
「頭の方も少し成長したらきっとその貧相なおむ−−アガッ!?」
「死ね!死ね!死ね!死ねぇえええ!!」
ロララはすぐそばに落ちていた(勝手にロララが尻に敷いてた)枕でルカを袋叩きにし、物理的に黙らしたのだった




