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龍と魔法がありふれたこの地にて  作者: クラムボンのおにぃちゃぁん
少年期後半 青年期0
20/36

episodes20

一週間もの間毎日毎日冷えた部屋の中で魚を凍らせる作業というなかなかハードな仕事をこなし、帰りの五日間の間は掃除をこなし、大体借金のおおよそ三分の一を返却できた


「久しぶりの陸地だ〜!!」


騒ぐイルカ、僕に取ったら二週間あるかないかだったが彼女たちに取ったら二ヶ月ぶりくらいの陸地らしい、僕は二ヶ月も何も見えない海の上で永遠とあの生活を続くと考えるとそれだけで鳥肌が立ってくる


「ルカ、テメェはさっさと怪我を治してもらってこい、ここの教会に治癒師がいるはずだ」

「あ、はい」


水揚げというのだろうか、そういう作業を手伝おうと思ったのだが教会の場所が書かれた手書きの地図を渡された、ついでに金貨1枚、もちろんこれもあとで働いて返さないといけない、まぁ怪我さえ治れば金貨の2枚や3枚なんてどうと言うことはない


「ここか…」


手書きの地図に書かれていた教会は港町のハズレにあった、簡単に言ったらボロい、汚いとか穴が空いてるとかではないが年季が入っている、掃除は行き届いているけど夜とかに見たら恐怖が勝つと思う


「ごめんくださ〜い!」

「はいは〜い」


教会の扉を開く、宗教関連には全く詳しくないのでなんとも言えないが多分エリス教だ、教会に飾られている像がトルソの結婚式で見たことあるからだ、相手は確かエリス教だったからここもそうなんだろう


「本日はどういったご用件で?」

「こちらに神聖魔術の使える治癒師がいると聞いたのですが」

「そうなんですか!治療がご希望なんですね!あ、でも…」


申し訳なさそうに一度会話を止め、そして恐る恐るといった感じで尋ねてくるシスター


「治療の条件として…エリス様に祈る必要がありまして……、そして、その…可能でしょうか?」


異教徒は治せないよ、てか治さないよってことだ、確か僕の里には森の神様的な存在がいたのだが宗教ってよりも守神って感じだったし、何より祭壇の前で他宗教の形式で結婚式を挙げることも多くあったので大丈夫だろう、そもそも信仰していたわけじゃないし


「大丈夫ですよ、で、初めてなんですけどどのように…」

「わかりました!そしたら私の真似をしてください」


そう言って女神像の前まで行って膝をつくシスター、それを真似して一緒に膝をつく、そして両手を合わせて祈る所作を取る


「エリス様、今日も私たちがこうして生きていれるのも貴方様のおかげです。今日新たにこの地を訪れた旅人に貴方様の奇跡の力をお借りすることをお許しください、そして私たちの行く末を見守ってください、ハトゥーン」

「ハトゥーン」


最後の重要そうな語句を復唱する、するとどうやら正しかったようで満足そうな笑みで治癒魔術をかけてくれた


「どうですか?痛みや違和感などはないでしょうか?」


怪我していた部分を伸ばしてり動かしたりして痛みがないかどうか確認する


「大丈夫そうです」

「そうですか、ではお布施の方をお願いします」


寄付、唐突に出てきたワードに少し混乱したがすぐに治療代だとわかり借りた金貨を支払う


「––ッ!?」

「どうしたんですか?」

「い、いえ、治癒魔術はエリス様からお借りした力なので商売に使ってはいけないので私たちは皆様からの感謝のお気持ちでお布施をもらってるのですが…何せお気持ちなので、皆様のお好きな額となっていて…」


つまりケチな人間が多くいるらしい、まぁ僕もお布施と言われたら銀貨で払う気がするけど、しかしオオナの親分は金貨を持たせてくれたのだ、つまり金貨を支払えってことだ


「お世話になりましたので、では」

「またお越しください」


それに町の教会、それもエリス教は孤児院を兼ねていることが多い、現に今だって庭の方から僕のことをジッと見てきている子供が三人くらいいる、冒険者ギルドに行けば治癒師なんてザラにいる、それなのにわざわざ外れの教会を進めたってことは子どもたちを気にかけているのだろう


(まぁだったらその子供たちと遜色ない年齢の僕から金を取らないでほしいけども)


その優しさを少しでも僕に向けて欲しいと思う今日この頃であった



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