episode13
ある日のことだ、いつも通り哨戒で森に入っているといつもよりも興奮している状態の小狗竜を見つけた、と言っても所詮は小狗竜、特段怪我人も出ずに駆除できた、けれどそれが3日連続続いた、日に日に多くなる小狗竜の数
「おかしいっすね」
「そうだよね、記録を見返してみても浅瀬でこの数の小狗竜が確認されたことは無いし…」
非常に困ったことが起きていることは僕にでもわかる、今さっき森に入ったばかりなのにすでに3頭仕留めているのだ、明らかな異常事態だ
「里に引き返そう」
「賛成です」
急いで里に戻る、哨戒を続けることも可能だがもし僕が想定しているよりも大きなトラブルが起きた場合笑えなくなる、班員の命を預かっている立場上それは容認できない
「僕はこのまま報告に行ってくる、君たちは待機だ」
自警団本部、木材建築が基本となっている里内でここでしか味わえない靴が滑らか石を叩く音を味わいながら廊下を歩く、半分砦のような見た目だが実際緊急時には皆ここに避難する
「失礼します、ルカ・アンサンブルクスです、緊急性の高い報告があります」
ノックをしてそのまま許可を求めずに 入室する、中に入ると僕を驚いた顔で見るレオン団長と父がいた
「ルカ、入室時は…」
「–−報告します」
父の言葉を遮って報告に移る、森に入って三十分もしないうちに比較的浅瀬で興奮状態の凶暴な小狗竜を三体確認したこと、明らかな異常事態だったので引き返して報告に来たことをだ、前日から人伝での報告で森の様子がおかしいことは共有しておいたため比較的早い段階で理解を得れた
「そうか、確かに緊急事態だな」
「ルカお前入室時の…」
「クド、緊急時に何を小さなことにこだわっている、さっさと調査の準備をしろ」
さっきの話を遮られたのを根に持っているのか返事を待たずに入室したことをもう一度咎めようとする父をレオン団長が咎める、レオン団長からレノが絡まなければ比較的まともな人なのだ
「うっ!?……わかったよ、1班と2班でいいか?」
「いや4班までだ、里の防衛に5班と6班を残した総動員で調査にあたる」
実はレオン班、ルカ班とかの班長の名前で呼ぶ方は団員同士でわかりやすくするため呼んでいるだけで正式には頭に番号がついたのものが正式名称だ、そして今里に残すと言った5、6班、5班は僕の班で若手とすでに第一線を退いた団員で構成されている、そして6班は訓練と勉強が主な仕事の見習い団員の班だ。つまり本当に動かせる全戦力を動員してでの調査を行うと団長は言っていることになる
「…はぁ?聞き間違いか?……もう一度聞く、1、2班でいいな?」
当然父もこういう反応になる、報告した僕も少しやりすぎだと感じるほどのことをこの人は言っているのだ
「いや、1から4班までを動員しろ、今回で準禁域の全域を調査する、ここ数年少し引っかかる報告が多かったのだ、今回の件で一度調査する必要ができた」
思い切った団長の判断に父も動揺する、一度僕を見て「俺の勘違いじゃないよな?」と目で訴えかけてきて、やっぱり勘違いじゃなかったことを確認し、少し呆れの混じったため息を吐き、頷いた
「おっけぇ、オーケーだ、わかったよ、けど時間がいる、当然大規模の遠征だとな、ルカ!どうせ里に残るんだから物資の手配を手伝え」
「チッ…、了解しました、クド副団長、……レオン団長、突然の報告失礼しました」
団長に一礼してから退室して父を追いかける、物資の手配くらい自分でやれよ、副団長だろと思ったが口にはしない、上司に返す言葉は“はい“か“喜んで“の二択しかないのだ。遠征と一言に行ってもそれまでの準備がかなりかかる
「俺が団員への通達と馬車と馬の準備をする、お前はそれ以外をやってくれ」
「了解です」
一度班員のもとに戻り今日はもうやることがないため解散を命じて、副団長代理の腕輪を受け取って食糧庫に向かいおよそ20名の日数分の食料を手配しておくように伝える、そしてそのままの足で団倉庫に行って人数分の野宿の用意に加えて医療セットを手配する
言葉にすればかなり簡単な仕事だが毎回副団長代理であることを示す腕輪を見せ、なおかつ確認の時間をとり、人数分の物資があることを確認してからなかった場合は緊急時の物資から捻出するためにまた腕輪を見して…となかなかに面倒な仕事なのだ。
里内の物資、主に食料などは貴重なもののため本当に許可を得ているのか厳重に確認してから出ないと手配できないためしょうがないとはいえ本当に面倒な仕組みだと思う
そしてその仕組みのせいで昼に作業を始めたはずなのに全部終わった頃にはすでに夕暮れになっていた




