episode10
僕は多分だけどボッチの才能があるんだと思う、結構交友関係は広いんだけどそのどれもが友達未満知り合い以上みたいな関係だ、僕は特段一人でも寂しいとか思わないし友達がいなくて困ったこともない。だから仲直りの仕方がよくわからない、隣に座るシャルロットになんて声を掛ければ良いのかが一切わからない、気まずくなった相手をまぁ良いかと思って放置してきたツケが今ようやく回ってきたようだ
「………えっと、これ、母さんが焼いたアップルパイ」
「………ありがとう」
会話が途切れて気まずい空気が続く、いつもと違うテンションにまだ怒っていることがわかった、アップルパイを齧ってしゃべれない時間を生かして何かないかと模索する
「……ボクがなんで怒ってるのかわかる?」
見かねたシャルロットが会話のきっかけを作ってくれた。怒っている理由はわからないけど怒ったきっかけはわかる、僕の返事の仕方が悪かったのだと思う、僕の存在がシャルロットの可能性を狭める要素になってほしくなくて背中を押したのだけども、多分それがよくなかった、どう答えたら良かったのかはわからないけど
「あぁ〜、シャルロット…」
「––ほら、それもだよ?」
言葉を遮られた、心臓がキュッとなって冷や汗が出る、全く見に覚えのない部分にも怒っているらしい
「ユーリカちゃんの事なんて呼ぶの?」
「え?……ユーリ?」
「ならミナトは?」
「……ミナ」
ユーリもミナも周囲の人間が呼ぶからそう呼んでいるルカ、しかしそれに怒りを露わにするシャルロット
「シャル」
「…え?」
「シャルって呼ばなきゃ返事しない」
何度かシャルロットと呼んでみたが一切反応せずそっぽ向かれたので気持ち的に渋々シャルと呼ぶ
「シャル」
「うん」
「僕はそんなに人付き合いが得意じゃないんだ」
「わかってるよ」
「結構口悪いらしいし、自由奔放ともよく言われる」
「知ってるよ、長い付き合いだもん」
僕は持ってきていた刀を手渡す、シャルはそれをなんだろうと思いつつ受け取る
「銘は小鴉、……僕は応援してるよ、君がどこに行っても応援しているつもりだよ」
「ありがとう、……これ、ボクからも」
そう言ってロケットを手渡される、開けて良いかと確認してから中身を見る、すると昔ロンさんの所で撮った僕とシャルの写真が入っていた
「記念に父さんが作ってくれたんだ、ほら、お揃い」
そう言って首の鎖を引っ張って服の下から出して見せてくれた、僕のロケットは水色、シャルのロケットには紫色の模様が入っている、きっとお互いの色を入れたのだろう
「えへへ、……ボク頑張るよ」
「僕は多分……里から出ないと思うから次戻ってきたら副団長くらいにはなってると思うよ」
僕の人生計画では15で副団長補佐、18で正式に副団長になって里内の尊敬と信頼を一身に集めていくつもりなので嘘は言っていない
「その時はきっとボクは国家公認魔術師になっているよ、だからその時はルカはボクに敬語を使わないとね」
「言ったな?」
それから陽が暮れるまで一緒に話した、初めて会った時のことや一緒にバカやって怒られたこと、シャルがアップルパイを作ってたはずなのになぜか爆発させた時のこと、僕が川で足を攣って溺れかけた時のこと、いつの間にかアップルパイが一切れになっていてそれを二人で分けて、僕とシャルの両親が心配になって探しにくるまで一緒に喋った、一緒に怒られて、それがおかしくって二人で笑ったらまた怒られた、いや呆れてたのかもしれない、そして次の日、シャルは里から旅立った




