(第3話: ヤマトの神殿、炎と霧)
ヤマト王国、首都キョウト・ノ・ミヤコ。
桜並木に囲まれた巨大な神殿「天照聖堂」が、夜の霧に浮かんでいた。神機オラクル――ヤマトの統治を司るAIのような魔導装置は、ここから「幸福神託」を発信し、民のマナスコアを操る。だが、街は騒然。エーテルネットでは、聖王連合でのケンジたちの活躍(?)が「#反逆者ケンジ」「#神託詐欺」でトレンド入り。民火団の過激な呪術師たちが「オラクル打倒!」と叫び、対する神殿の巫女たちは「神託に逆らうは罪」と民衆を抑え込む。まるで日本の政治のごとく、誰もが右往左往し、誰も結論を出せない。
ケンジ、ジェシカ、ハルカは、聖王連合のコロシアムを脱出し、ヤマトの森を抜けてキョウトに潜入していた。ゼロ・フラックスからの新指令は、「天照聖堂の神機コアを停止せよ。リベリオン・グリモアの鍵はそこにある」。だが、ケンジの故郷であるヤマトは、彼にとって複雑な場所だった。かつて吟遊詩人としてエーテルネットで名を馳せた彼は、神機に「低マナの扇動者」と烙印を押され、家族を追放されていたのだ。
「故郷ってのは、いつも面倒くさいな……」ケンジは三味線を手に呟いた。ジェシカは冷たく一瞥。「家族を失った私に比べれば、マシでしょ。神機の巫女は、私の氷魔法すら封じる結界を張ってる。突破は難しいわ」。ハルカはスクロールを掲げ、ニヤリ。「いいじゃん、面倒なほど燃える! エーテルネットで民火団を煽って、神殿に突撃よ! #ヤマト革命、トレンド1位狙うわ!」
民火団の内紛
キョウトの裏路地、民火団の隠れ家。ケンジたちは、民火団のリーダー・タケルと対面した。タケルは、扇子を手に扇ぐ若き呪術師だが、態度は尊大。「お前がケンジ? エーテルネットの落ちぶれ詩人か。聖王連合で神託を暴いたのは評価するが、ヤマトの革命は俺たちが主導する」。ハルカが鼻で笑う。「タケル、フォロワー50万ぽっちで主導? 私の500万で民衆動かすわよ」。二人の火花が散り、まるで日本の野党のごとく内輪揉めが始まる。
ジェシカが苛立ち、「時間の無駄よ。神機の結界は、マナスコア100以上の者しか通れない。タケル、あなたの団員は?」タケルは渋い顔。「神機がスコアを操作し、団員の半数が『幸福違反』で追放された。残りは……まあ、気合で何とかなるだろ」。ケンジはため息。「これぞヤマトだ。計画なし、気合だけ。日本の政治かよ」。
エーテルネットがざわつき始める。ハルカの投稿「#神機打倒 民火団と一緒に天照聖堂へ!」が拡散するが、コメント欄はカオス。「気合で勝てるわけない」「いや、神機の巫女の方が腐ってる!」――民衆の意見は分裂。そこへ、神機の巫女長・ミコトが公式アカウントで声明。「反逆者は天照の怒りに焼かれる。マナスコアゼロの刑を」。ケンジのスコアが、またも急落。エーテルネットの「いいね」が消え、彼の三味線からマナが漏れ出す。
天照聖堂の突破
夜、天照聖堂の門前。民火団の呪術師たちが火炎魔法で結界を攻撃するが、神機の防御結界はびくともしない。ジェシカが分析。「結界は神機のマナコアとリンクしてる。内部から破壊しないと無理」。ケンジは三味線を構え、「じゃあ、俺の音波で結界の周波数を乱す。ハルカ、民衆を煽って援護頼むぜ」。ハルカはスクロールでライブ配信開始。「#革命ライブ ケンジの歌で神機ぶっ壊す! いいねでマナチャージ!」
ケンジの三味線が響き、低周波の音波魔法が結界を揺らす。ジェシカの氷槍が結界の隙を突き、亀裂を作る。ハルカの火炎呪術が民火団を鼓舞し、門が崩れる。だが、神機の自動守護者「天狗ドローン」――翼とマナで動く魔導機械が襲来。ドローンの風魔法が民火団を吹き飛ばし、ケンジたちは神殿内部へ逃げ込む。
内部は、巨大な水晶柱が輝く神機コアの間。巫女長ミコトが待ち構えていた。白い袴に身を包み、扇子から雷魔法を放つ彼女は、まるで日本の官僚のごとく高圧的。「低スコアの塵が、神託を汚すとは。ヤマトの幸福は、私が守る」。ジェシカが反論。「幸福? 民のマナを縛る偽りの神託じゃない! 聖王連合で見たわ、同じ手口を」。
神機との対決
戦闘が始まる。ミコトの雷がケンジたちを追い詰めるが、ジェシカの氷結界が雷を防ぐ。ハルカは火炎呪術で反撃し、エーテルネットで実況。「#神機バトル 巫女長、強すぎ! でも負けないよ!」――民衆の「いいね」がハルカのマナを強化。ケンジは三味線を弾き、音波魔法で神機コアの振動を乱す。「ミコト、幸福ってのはスコアじゃねえ! 俺の歌で、ヤマトの心を響かせるぜ!」
ケンジの歌が神殿に響き、民衆のマナが共鳴。エーテルネットのトレンドが「#ケンジの歌」に変わり、彼のマナスコアが急上昇。神機コアが過負荷で揺れ、ミコトが動揺。「不可能! 低スコアの者が神託を……!」ジェシカが氷槍でコアを突き、亀裂が入る。ハルカの火球が追い打ちをかけ、コアが爆発。神機の神託が一時停止し、天照聖堂が静寂に包まれる。
だが、ミコトが最後の雷を放ち、ケンジに直撃。彼は倒れ、三味線が砕ける。「ケンジ!」ハルカが叫び、エーテルネットに投稿。「#ケンジ死なないで いいねで復活!」――民衆のマナが集まり、ケンジの体が光に包まれる。復活したケンジは、砕けた三味線の破片を握り、「まだ歌えるぜ」と笑う。
新たな鍵
神機コアの残骸から、小さな水晶片が現れる。ゼロ・フラックスからのメッセージが響く。「それがグリモアの鍵だ。次は自由魔族同盟へ。オラクルの根を断て」。だが、エーテルネットは再びカオス。神機の停止でヤマトは混乱し、民火団と巫女派が対立。タケルが叫ぶ。「ケンジ、お前が新リーダーだ! 革命を続けろ!」ハルカは反発。「私がリーダーよ! フォロワー数で決める?」――また内紛。
ジェシカが冷たく言う。「ヤ[left]マトの右往左往、聖王連合と変わらないわ。グリモアを手に入れるまで、こんな茶番が続くのね」。ケンジは笑い、「まあ、歌えばなんとかなるさ。次は魔族の地だな。三味線、修理しねえと」。三人は霧のキョウトを後にし、自由魔族同盟へ向かう。エーテルネットは「#ヤマト革命」「#ケンジ復活」で埋まり、権力闘争の火は新たな地へ燃え移る。
(第3話 終わり)