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第1話: エーテルネットのささやき

エテルニア大陸の辺境、霧に包まれた酒場「霧の竪琴亭」。蝋燭の灯りが揺れる中、ケンジ・サトーは古びた三味線を爪弾いていた。弦の音は、かつての栄光を思い起こさせる。エーテルネット――魔法の通信網で、彼の歌は数百万の耳に届き、「いいね」のマナが溢れていた。あの頃のマナスコアは500万超え。だが今は、酒の肴代にもならない低スコア。客はまばらで、誰もが神機オラクルの「幸福神託」に従い、娯楽より祈りを優先する時代だ。

「まあ、歌えばなんとかなるさ……」ケンジは独りごち、グラスを傾けた。ヤマト王国の民は、神機の支配にうんざりしつつも、逆らう術を知らない。オラクルは王の代弁者として、民のマナを操作し、対立を煽る。今日も、エーテルネットのスクロール(魔法の水晶板)には、聖王連合の選挙騒ぎが流れていた。「聖王候補Aの炎魔法が神託!」「いや、Bの氷結が真の試練!」――すべてオラクルの捏造だ。

突然、水晶板が震え、プライベートメッセージが届く。送信元:匿名。「ゼロ・フラックス」。内容は短い。「リベリオン・グリモアを求めよ。聖都の影で待つ。成功すれば、自由の歌を奏でよ」。

ケンジは眉をひそめた。ゼロ・フラックス――噂の魔術師集団。オラクルの神託をハックし、偽の幻影をばらまく反逆者たち。グリモア? それは禁断の書、すべての者に平等な魔法を与え、オラクルの支配を崩すという伝説の遺物。興味本位で返信を打つ。「報酬は? 俺のマナスコア、上げてくれる?」

返事は即座。「スコアなど、幻想。真の自由を」。

翌朝、ケンジは霧の街を抜け、聖王連合の使者としてヤマトに潜入する偽の身分証を握っていた。ゼロ・フラックスの指示通り、港で待つのは黒いローブの女。ジェシカ・クロウ。元魔導騎士の彼女は、氷のような瞳でケンジを値踏みした。「吟遊詩人か。マナスコア低すぎて、笑えるわね。聖王選挙の裏切りで、私の家族は灰になった。あのオラクルの神託が、すべてを奪った」。

ジェシカの言葉に、ケンジは三味線を構えた。「なら、一緒に歌おうぜ。復讐のバラードを」。

二人はヤマトの森へ。そこに現れたのは、ハルカ。火炎呪術の使い手で、エーテルネットの炎上女王。赤い髪をなびかせ、笑う。「フォロワー500万の私が、こんな低スコア野郎と組むなんて、ネタになるわ! でも、民火団の名にかけて、オラクルをぶっ飛ばすのよ。見てなさい、この呪術で選挙の偽神託を燃やしてやる」。

三人は森の奥で初の試練に直面。オラクルの番人、影の魔獣が襲う。ジェシカの氷槍が凍てつき、ハルカの火球が爆ぜる。ケンジは三味線を弾き、マナの音波で獣を惑わす。「これが俺の魔法さ! いいね、稼げ!」――一瞬の隙に、獣を倒す。

だが、勝利の余韻に浸る間もなく、エーテルネットが騒然。ハルカの投稿が炎上中。「#オラクル崩壊計画 始動! フォローして革命参加よ♡」――民衆の反応は二極。「神託違反! スコアゼロにしろ」「待ってた! いいね爆増!」。

ケンジはため息。「これで、権力の渦に巻き込まれたな……」。

こうして、三人の旅が始まる。グリモアを求め、聖王の宮殿とヤマトの神殿を巡る闘争。オラクルの神託が世界を操る中、彼らは自由の歌を奏でられるのか? 果てに待つのは、真の権力か、それとも新たな幻想か……。

(第1話 終わり)


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