表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/21

 ベッドから見上げると頭上に見える天井がやけに高く感じる。


 寝たからといって推し欠乏症が治る訳ではないけど寝不足気味だったから丁度いいかな、なんて思いながら目を閉じる。


 暫くして何か冷たい物が私の顔に触れた。

  

「ひゃっ!」


 飛び起きると目の前には水が入ったボトル。一体誰が??


「か、カイル!?」

「殿下から聞いた。大丈夫か?」 


 シュゼットに横取りされた筈のカイルが何で保健室に?

 

 よく見るとうっすら汗をかいている……もしかして、あのあとセシリアから状況を聞いて急いでここまで来てくれた、とか。


 優しい……推せる! と、同時に開店休業中だった推しメーターが元気に稼働を始めた。グーンッと上昇していく。


「う、うん大丈夫。魔力の放出量が多かっただけで病気じゃないから」

「ならいいけど」


 ベッド横の椅子に腰掛けるカイル。差し出された水を飲むと体の中の放射熱が少し落ち着いた。


「最近ぼーっとしてること多いだろ。悩みがあるなら言えよ」

「悩みなんかないわよ。あんな陰口、私にはノーダメージだし」

「……陰口?」


 途端にカイルの目が鋭くなる。あれ、その事じゃなかった? ヤバい……墓穴掘ったかも。


「陰口って何だよ、お前何かされてんのか?」

「されてないされてない! 疑うんならセシリアに聞いてみてよ」


 あとでセシリアに口裏を合わせて貰えるよう頼まなきゃ……


「分かった。でも何かあったら絶対俺に言え。いいな」

「……うん」


 ああー、もう優しいんだから! これからも一生推し続けます!!


「ちゃんと寝て体力回復しとけよ。気分悪いとかはないのか?」


 と言いながら世話焼きモードのカイルが私に手を伸ばして来た。もうメーター振り切れそうだから今直接の接触はご遠慮いただきたい!! 


「ぜ、全然! もう何ともないし魔力も戻ってるから。ほら!!」


 焦ってハイテンションになった私は、さっきの演習で覚えた光の球体を生成してみせた。と、その両手を外側から抑え込まれる。


「やめとけって、またふらついたらどうすんだ」

「へ?」


 !!!!? カイルが私の手を!? 


 と思った次の瞬間、視界がぐるんっと回った。私の目の前にカイルの顔がある。え、何でカイルの顔がある??


 魔力発動を制したカイルが、そのまま両肩を押して私をベッドに戻した。というかこの体制は……傍から見れば押し倒されてるの図じゃん!!!?


 カラカラに乾いてひび割れた大地に水が染み込むかの如く推しの成分が一気に流れ込み体内に循環される。血の巡りまで良くなり顔に熱が集中するのが分かった。


「ユウナ、お前やっぱり」


 そう言ったカイルがもっと顔を近づけて私のおでこに自分のそれをくっ付けた。


「熱いな……熱があるんじゃないか?」


 いやああああああああっ!!!! 


 え、待って。めっちゃまつ毛長い、肌キレイ、何かいい匂いするううう……それ以上の供給は勘弁してええ!!


 モ ウ ム リ


「ユウナ? おいユウナ!!?」


 思考回路がショートした私はダウンし、暫くカイルに介抱される羽目になった。そして私の推しメーターは一瞬で100%に到達した。


*****









































「私のカイルにベタベタと……前作ヒロインの癖に! ほんと邪魔」


「シュゼット―! そんなところで何してんの、移動するよー」

「はい、今行きまーす!!」


 久々の推しとの接触に天にも昇る気持ちになっていた私は、その一部始終をシュゼットが見ていたことに全く気づいていなかった。

本日の更新です。


もしよろしければ、ページ下部の☆☆☆☆☆クリック評価を★★★★★に、ブックマーク追加で応援いただけるととっても励みになります!!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ