違いすぎた少女。
3人目の家出少女を面接していたのだが、彼女はユイやレナとは全く部類が違う人間であることを感じ、聞きたいことすらまともに聞けないでいた。
(そもそも、なぜ彼女は見たことがない精神薬を持っているんだ?……。精神薬を服用するってことは何か心の病ってことだよな……?)
心のなかで自問自答しながら彼女の面接を続けることにした。
「色々聞きたいことはあるけど、なぜ君が家出をし、ここに来ることになったのか、答えられる範囲でいいから教えて欲しい。」
正直、また笑って話をうまく誤魔化されるものだとその時は思っていた。だがその予想はいい形で外れた。
「管理人さん、私ね……生まれてすぐに両親に捨てられたの。なんで捨てられたか、私を見てたら分かるよね……?」
正直、見ているだけじゃ分からなかった。彼女はどうして両親に捨てられたんだ?精神薬を服用していることと何か関係があるのか?
考えに考え、彼女に対しこう言った。
「答えを言う前にまずは話してくれてありがとう。正直言うとまた笑って何も答えてくれないなんて思ってたんだ。君がどれだけ辛く悲しい思いをしてきて今ここにいるのか……それをいくら考えたって答えなんて見つからないよ。」
的外れな言葉だったのかもしれない……。だが、一瞬ではあったが彼女の表情が変わったのだ。動揺ともとれるものだった。
彼女には人から人へ与えられる温かさ、というものが全くないんだ。だからわざと笑うことで平静を保とうしているんだ。
管理人として彼女に何がしてあげられるのだろう……。もしかしたら何もしてあげられないのではないのか。
心のなかにいろいろな思いが駆け巡っていた。それ同時に彼女のことを抱きしめていた。抱きしめることが正解だったかなんて誰にもわからない。ただ1つ言えること……。
それは、彼女が抱きしめ返した、そのことがすべてを物語っていた。
まだ名前すら知らない家出少女、彼女はなぜ家出をしたのか?
「話を戻すけど、君はなぜ家出をしたの?ゆっくりでいいから話してほしい。」
彼女は涙を流しながらこう話してくれた。
「私は両親に捨てられて、そのあと親戚の家に引き取られたの……。最初は両親に捨てられた可哀想な子供みたいな感じで他の子供よりも可愛がられた。」
「だけど……、そんな幸せな毎日なんて束の間だった。生まれて半年ぐらい経った頃らしいんだけど、何に対しても表情1つ変えない私に違和感を抱いた親戚の人が私を病院へ連れてったらしいの……。」
「そこの先生は精神科の名医らしいんだけど、そこで私はいろいろな検査をさせられた。そしてそのあと私はまた捨てられた……。」
2度も捨てられたと話す彼女、正直驚きが隠せなかった。彼女はこう話し続ける。
「2度捨てられた私は今度は遠い親戚の家に引き取られたの。そこで私は小学校を卒業するくらいまで生活していたわ。卒業を間近に控えた頃に遠い親戚の人が何やら話し込んでるのをたまたま聞いてしまって……。」
そう話す頃には彼女は泣きじゃくっていた。
その時はまだ知らなかった。彼女が抱えている本当の心の闇に……。
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次話を投稿するのがかなり遅くなってしまい、大変申し訳ありません!
次話以降はだいだいで申し訳ないのですが、2週間間隔くらいで投稿できればと考えております。
読者様にはお待たせすることとなってしまい大変申し訳ございませんが、ご理解くださいますようお願い致します。