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この恋、甘くも苦くも。  作者: リュナ
3/9

2話目

みんなで話し合った結果、クッキーを作ることになった。


ガトーショコラとか、蒸しパンとか違う案も出たけど、早苗ちゃんが「基本から入りましょう。」と言って、クッキーに決まった。


まぁ、一年生と私は初めての活動だしね。


各々買い出しに行く準備をしていると、


「すいません、遅れました。」


と男子が1人家庭科室に駆け込んできた。


背が高く、切れ目が印象的な顔。


「三崎くんちょうど今から買い出しに行こうとしたところだよ。」


莉子が言った。


「すぐ準備します。」


と三崎くんは息を切らしながら言った。




スーパーはうちの高校から徒歩で歩いていけるくらいに近い。


「先輩って、前あった部の集まりに参加してましたっけ?」


みんなで歩道を歩いていると、三崎くんが話しかけてきた。


「いなかったよ。今日急遽入部することになったから。」


いきなり知らない人がいたら、誰だろうって普通思うよね。


「ですよね。俺三崎葵(みさきあおい)っていいます。よろしくお願いします。」


「柊桃花です。こちらこそよろしく。」


私は小さく会釈した。


「苗字ひいらぎっていうんですか?かっけー」


「そう?」


確かに自分の名前は結構気に入っている。


「俺苗字も名前も女っぽい名前だから、羨ましいです。」


「いい名前だと思うよ。」


三崎くんは凄いハキハキとした明るい感じで初対面なのに話しやすかった。


「三崎くん、料理好き?」


今度は私が質問した。


「はい。父親がホテルのシェフで、よく料理を教わったりしています。」


「そうなんだ。すごいねお父さん。」


やっぱり趣味は親の影響が大きい。


「うちのお母さんはね、小さい喫茶店を開いているの。」


「何ていう名前の店ですか?」


三崎くんは興味深々そうだ。


「ポポロっていう店だよ。」


たぶん知らないと思うけど。


「えっ俺その店のステーキ食ったことありますよ。」


「本当に?」


それには驚いた。


「先輩はやっぱお母さんの店継ぐんですか?」


「おじいちゃんおばあちゃんの代からある店だしね。継ぎたいけど…」


私は言いかけた言葉を飲み込んだ。


「けど?」


三崎くんがこっちをじっと見てる。


思わず目を逸らした。


「ほらもうスーパーに着いたよ。」


さっきの言葉の続きは言わなかった。



クッキーの材料は牛乳、卵、バター、小麦粉。


みんなで手分けして、材料を選んでくることになった。


私は美優ちゃんと小麦粉売り場に行った。


このスーパーは品揃えが良く、小麦粉だけでも10種類以上置いてあった。


値段も安い。


国産が多いし、安心感がある。


「薄力粉とか強力粉、中力粉って何が違うんでしょうか?」


美優ちゃんは私に質問してきた。


「タンパク質の量がね、それぞれ違うの。強力粉が一番多くて、次に中力粉。一番少ないのは薄力粉で、タンパク質が多いと、弾力性とか粘り気が増すんだよ。」


と答えた。


「そうなんですね。」


美優ちゃんは納得した様子だ。


「クッキーに使うのは薄力粉だね。」


私はしゃがみ込み、一番下の棚に置いてあった量の割には値段が安いものを手に取った。


3袋あればいいかな?


これで私たちの任務は完了。


「卵売り場に行ってみよう。」


莉子と早苗ちゃんがいるはずだ。




卵売り場に行くと、部員全員が集まっていた。


「じゃあ、私と莉子でお会計済ませてくるから、みんなは店の外で待ってて。」


と早苗ちゃんは言った。


莉子と早苗ちゃん以外の部員は外に出た。



空はいつの間にか雲が出て、茜色になっていた。


しばらくして莉子達が戻ってきた。


そしてまた学校に戻って、材料を冷蔵庫に入れて今日の部活は終了した。


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