あなたへ
暗く乾いた部屋の中で咽び泣く声がただ響いていた。
「どうして…どうしていなくなったの…」
あなたは私の光だった。私の闇を拭い去ってくれた、唯一の光だった。
あなたに恋に落ちて、私は幸せだった。あなたの前で始めて心の底から笑えたの。
でもそれも過去のお話。あなたはいってしまった。私を置いて、いってしまった。私は捨てられたの。この世の全てから必要とされることはなくなったの。
こんな私を可哀想と思うなら、お願い、帰って来て。
もう一度私の手を握って、「大丈夫だよ」って言って。
私の手にはまだ、あなたの温もりが残ってる。でもいつか消えてしまうのかな。熱い紅茶もいずれ冷めるように。
“大好き”なんて、もっと早く伝えてくれれば
「殺す必要もなかったのに」
この話はフィクションです。実在する個人、団体、出来事などとは一切関係ありません。