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悪役令嬢は大航海時代をご所望です  作者: 浦和篤樹
第三部 切り開くはアグリカ大陸への直通航路

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281 交易品候補の確認 2 毛皮と衣服と食料品

「この骨については十分だろう。では次だが……先に他の物から見てしまおうか」

「そうですね」


 大きな鯨の骨に目を奪われてしまったけど、他にも毛皮や骨や牙がある。

 なんとなく、魔石の検分は一番最後ね。


「骨はともかく、毛皮は見せて頂戴」


 お母様も、宝石と魔石は最後にしたみたいで、次に興味を惹かれた物を検分したいみたい。

 フルールとエマは骨があるせいで近づきたくないみたいだから、代わりにセバスチャンが毛皮を手に取って持ってくると、よく見えるように広げてくれた。


「この毛皮、狐……かしら? それとこちらはウサギね」

「そのようだね。島の固有種なのか、彼らの祖先が逃げ延びるときに持ち込んだのかは分からないが……」


 お母様が触れて、私も撫でてみる。


「……あまり手触りは良くないわ」

「そうですね」


 アンゴラウサギみたいな毛皮だったら良かったけど、どちらもゴワゴワして手触りが悪い。


「色も少し薄汚れたような茶色で微妙だわ。狐もウサギも、こちらでもっと色、質、共にいい物が手に入るし、どれだけ産地が珍しくても、どのご夫人もご令嬢も欲しいとは思わないでしょうね」


 お母様、あっさりと毛皮に興味をなくしてしまった。


「仮に平民の富裕層向けにするとしても、生息数が気になるところだ」

「そこそこの大きさがあると言っても、所詮は島ですからね」


 お父様と私も、さすがにこれを交易品にするのは無理かなと、小さく溜息を吐く。


 百や二百の話ではないと思うけど、さすがに何万()もは期待出来ないと思う。

 現地の人が自分達のために狩るならともかく、輸出するために狩り始めたら、あっという間に絶滅してしまいそうだわ。


 それに、小動物の牙や骨ともなると、積極的に輸入するような物でもないしね。


「布も服も、これでは駄目ね。むしろこちらからより良い品を輸出してあげないと」


 毛皮と衣服繋がりで、衣類を見るけど、お母様が言ったことが全てね。

 生地の質も悪いしデザインも悪い。

 織りも縫製も、腕のいい職人はいなさそう。


 小さな島で人口も少ないから、これまでの度重なる火山の噴火や地震などで腕のいい職人を失って、そのまま技術を失伝してしまったのかも知れない。


 ちなみに、装飾品も、飾って眺めるくらいなら物珍しくていいかも知れないけど、身に着けるにはすごく微妙。

 少なくとも、貴族の礼服やドレスには合わない。


 合う物を作って貰うにしても、木製がベースな以上、宝飾品にはなり得ないわ。

 ましてや、そこらの木を切って作っただけでは、ね。


 平民向けならありかも知れないけど、現地に行ってのお土産ならまだしも、輸入してまでとなると、どうかしら。

 そういうファッションの流行を作らないと、ただ売り出すだけでは厳しそうね。


 鉄製品については言わずもがな。

 普通にこっちで作ればいい。

 むしろ、鉄鉱石のままか、インゴットの方が良さそう。


「大麦、小麦は品種が違うのかしら? 使ってみないと、どの料理向きなのか、味も分からないわね」

「豆は空豆っぽいですね。これは良さそうな感じですよ」

「こちらにもあるから、彼らの祖先が持ち込んだのだろうな」


 火山島だから、火山灰で水捌けがいい痩せた土地なのかも?

 でも、森もあるようだし、大麦、小麦も育っているから、ある程度肥沃な土壌もありそうね。


「果物は、どれも干してあるけど、オレンジ、ブドウ、洋梨みたいですね」


 多分これも、フェノキア人が持って行った物でしょうね。

 味は確かめてみないことには分からないけど、二千年の間に品種がどう変化しているのか、ちょっと期待。


「見た目では何か分からない果物と木の実もあるが、これは島の固有種だろうか」

「魚や貝の干物も、そうなのかしらね?」

「お父様、お母様、美味しかったら、物珍しさを前面に出して、レストランで使ってみましょう」

「それはいいわね。うちでしか食べられないのだから、中央の貴族達がこぞって食べに来るわ」


 お母様は即座に招待客の選定を始めたみたい。


 でも、美味しかったらですからね?

 それに、現状彼らは食糧難っぽいから、輸出に回せるのはまだしばらく先だと思う。


 ちなみに、野菜も似たような感じ。

 アスパラガス、蕪、ニンジンなど。

 少々、色や形や大きさが違うから、こちらとは違う品種みたい。


 ただ、総じてフェノキア人が持って行った物が多いらしく、物珍しさと言う点では少々物足りなかったわね。


「さすがに異文化の品でも、全てが物珍しさから値が付くとは限らないようですね」

「フルールの言う通りね」


 お母様もフルールも残念そう。

 エマは、それでも顧客を開拓できないか考えているみたいだけど、その表情から、結果は芳しくなさそうだわ。


「私達に分かりやすい物から優先して持ち帰ったかも知れないし、季節が変われば収穫出来る物も変わる。今後の調査に期待しよう」


 お父様の言う通りね。

 火山灰で畑が壊滅して、森の恵みも打撃を受けていると言う話だから、そちらの復興を待ってからでも遅くないわ。

 だって今回の目玉商品は、火属性の魔石なんだから。



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― 新着の感想 ―
[一言] 文化侵略する気がないなら、こっちのデザイン島の方に逆輸入させたらダメなのでは?今あるのを一掃してしまう…。 防疫考えるなら、そこそこ長期の人体実験が必須です。 特に貴族とかいう特権階級で(…
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