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新たなる少女達

アロナが滞在している客間にいた少女とは違い、三人とも怖がる様子はない。それぞれが実に三者三様の反応を見せた。


「アル!あの人は誰?わたしというものがありながら、どうしてこのお城に女の人がいるの?」


アルベールの足元にしがみつきながらそう言うのは、ふわふわと髪の毛にウェーブのかかった瞳の大きな可愛らしい少女。まるで夫を守る妻のような顔つきで、アロナを睨みつけている。


「マルマ、顔が怖いぞ」


その少女に対し抑揚のない声色で言うのは、肩の辺りでぱっつりと切り揃えた切長の瞳を持った別の少女。アロナを睨みつけている子よりも幾つばかりか年上に見える。


「この人、変な匂いがする」


マルマという少女とは違い、彼女はアロナに近づくとまるで犬のようにくんくんと匂いを嗅ぎはじめた。


「変、ですか」


さすがのアロナも、少し傷つく。このアストフォビアは水が貴重であるため、毎日湯に浸かることはないと事前に聞いていた。そのせいで不快な臭いを発しているのだろうかと、アロナは自身の手の甲を控えめに嗅ぐ。


(だけど昨日は、長旅だったからと湯浴みさせていただいたのに)


「不思議。こんなの、アル以外はじめてだ」


彼女はしきりに鼻をひくひくとさせているが、アロナは一歩後ろに下がった。


「やめなさい、カーニャ。その方が困っているわ」


最後に口を開いたのは、三人の中では一番年上に見える落ち着いた雰囲気の少女だった。九か十か、あるいはそれ以下か。顔立ちはあどけないように見えるのに、立ち振る舞いには気品がある。


「初めまして、私はアビゲイルと申します。あなた様のお名前を教えていただけませんか?」


アビゲイルと名乗った少女は絹糸のように輝く滑らかな細い髪を揺らしながら、アロナに向かってにこりと微笑む。幼いながらも完璧な所作に感心しつつ、彼女も同じように淑女の礼を返してみせた。


「私はアロナ・フルバートと申します。神秘の地と名高いアストフォビアに興味を惹かれ、ロファンソン辺境伯様に無理を言って滞在させていただくこととなりました」

「アストフォビアに興味がおありなのですか?」

「ええ、もちろん」


(ごめんなさい)


口から出たでまかせに、アロナは心中で謝罪をした。アビゲイルは何度か瞬きをしてみせるが、長く濃いまつ毛がばさばさと音を立てそうだとアロナは思う。


しかし、クローゼットの少女といい目の前の三人といい、顔立ちはばらばらであるのに髪と目の色は完全と言っていいほどに同一だ。


そのことに、アロナは微かに首を傾げた。


「よろしくお願いいたします、フルバート様」

「こちらこそ、よろしくお願いいたします」


アロナとアビゲイルは、表面上のやりとりを交わす。カーニャと呼ばれた少女は、いまだに至近距離でアロナを観察していた。


「確かにカーニャの言う通り、フルバート様は他の方とは違うような気がしますわ。なにか、神事に関わるようなお仕事を?」

「いえ、特には。フルバート公爵家はそういったことを生業とはしておりません」

「そうですか」


アビゲイルはにこりと微笑んだが、アロナはなぜそんなことを尋ねられたのか分からなかった。

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