~第6夜~「空間作成能力のサポート係」「家庭で使う魔法道具」
異世界モノのファンタジーを読んでいると、大量の荷物を運んでるシーンが出てきませんか?ゲームなんかでもよくある現象なんですけど、どう考えても不自然な量の武器だとか道具だとかを持ち歩いている冒険者がいて、「その荷物、一体どこにしまってあるの?」って不思議に思うことがありますよね。
今回は、その疑問に答えるお話です。
ある世界では「空間作成能力」がメジャーとなっております。普通に考えると、とんでもなく高度な魔法でも使わないと不可能に思える行為が、この世界では「自動車の運転免許を取るくらい」簡単に行われているのです。
むしろ、他の冒険者に比べて役立たずの部類に入ります。なにしろ、単なる荷物運びですからね。前線に出て戦うわけでもなく、剣も振れなければ攻撃魔法も使えません。
他の冒険者たちのサポートとして、薬草やら水や食料を運ぶだけの役割です。そうやって、他の冒険者たちのおこぼれをもらって生活しているのです。
ところが、この能力もレベルが上がってくるとバカにはできません。
最初は、道具を入れて取り出すだけの能力に過ぎませんでした。
ところがレベルが上がってくると、収納できるスペースも広がっていきます。
コインロッカー1つ分の大きさだったのが、やがてタンス1つになり、4畳半の部屋1つ分まで拡大します。
「お前、どこまでレベルが上がるんだよ!?」と、サポート係は仲間たちからも驚かれる始末。
こうなってくると使用用途も変わってきます。
物だけでなく、犬とか馬とか、ついには人間まで収納して運ぶように。
すると、サポート係の優先度も上がり、最優先で命を守ってくれるようになってきます。そりゃ、そうですよね?サポート係が死んじゃったら、中に収納されてる人や動物も取り出せなくなっちゃうんですから。
それでも、際限なくレベルが上がっていき…
やがて、街1つを収納できるようになります。
こうなると、さらに用途が変更され、街ごと持ち歩き、人々はサポート係の作り出した空間の中で暮らすように。
冒険者も、疲れたら街に帰って宿屋で休むということができるようになりました。その間は、別の冒険者が外に出て守りを固めます。
それでも、レベルアップは止まりません。
さらに収納スペースは広がり、国ごと収納できるようになります。
さらにさらにレベルアップして、最終的には世界丸ごと、作り出した空間の中に収まってしまいましたとさ。
*
「家庭で使う魔法道具」
多くの異世界モノでは、魔法使いは魔法を使えるのに、一般人は昔ながらの生活を続けてますよね?
たとえば、クワやスキで畑を耕したり、馬車で荷物を運んだり。
アレって、おかしいと思いません?
そりゃ、そういう時代もあるかもしれません。けど、魔法文明が発展していけば、いずれどこかで魔法が一般人にも開放される時代が来るはずです。
今回は、そんなお話。
新婚夫婦が「家法具屋さん」にやって来ています。
この時代、この世界では、魔法が一般家庭にも普及していて、「家庭用魔法器具」というモノが売られています。家庭用魔法器具を略して「家法具」
夫が「魔法ゲーム機を買おうよ~」なんて提案すると、「ダメダメ!収入だって少ないんだから、魔法冷蔵庫にしましょう。冷凍庫もついてて便利なんだから」と妻が答えます。
いつの時代も女性は現実的なものなんですね。
そこに2人の母親がやって来て、「冷蔵庫は私が買ってあげるから、魔法レンジにしなさい。いつでもご飯を温められると便利よ」などと言ってきます。
「うわぁ!さすがお母様!やっさしい!じゃあ、この一番高いヤツで!」と新妻は容赦がありません。
目が飛び出るような値段に心を痛めながら、「まあ、かわいい息子夫婦の為だものね」と大枚をはたく母親でありました。
家に帰ると、さっそく魔法レンジを使ってみる妻の姿が。
箱の中に冷めた食べ物を入れて2分ほど温めると、ア~ラ不思議!アッという間に食べ物がホカホカに。
ちなみに、この世界での魔法レンジは、温め終わると「ポ~ンッ!」という音がして知らせてくれます。
別の世界で「レンジでチンする」なんて言葉がありますよね?こっちの世界では「レンジでポンする」と表現してるんです。
冷蔵庫やレンジだけではありません。
洗濯機も掃除機も、みんなみんな魔方式。それどころか、最近ではお皿も自動で洗ってくれるし、テレビやインターネットのようなモノまで発明されました。
人々は、小さな道具を片手に何やら熱中しています。
あ!これは、別の世界で言うところの「スマホ」ですね。魔法スマホに熱中して依存症になっちゃう子が続出!社会問題にもなっています。
テレビでは時代劇を放送しています。
ちょんまげ姿に着物着て、腰に刀を差した人が街を歩き回るような世界をドラマ化した内容です。もちろん、この世界にちょんまげで着物を着ている人なんていませんし、過去の時代にも存在したことはありません。
全ては「フィクション」なんです。別の世界での現実の歴史が、逆に異世界ではフィクションとして描かれているんですね~
おっと。そろそろお時間ですね。
それでは、続きはまた明日の晩に♪