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異世界千夜一夜  作者: 大西平洋(ヘイヨー)
~テーラやサルサラの物語~
318/1003

~第317夜~「退屈な星のサルサラ(その5)」

 サルサラがテーラ商団へとやって来て、半年の月日が過ぎました。彼女の生来の性格から、1つ所には長くいられないようで、ここでの生活にもそろそろ飽きが来たようです。

「困ったわね。せっかくあの退屈な家から逃げ出してきたというのに、ここでの生活も単調極まりないじゃないの。確かに、いろんな場所を訪れられるのはいいけど、それ以外の時間は同じコトの繰り返し。トラックに乗って移動してるか、荷物の積み下ろしをしてるか、倉庫で在庫管理してるか。さもなくば、料理や掃除なんかの地味な作業をさせられるばかり。アタシ、こんなとこで一生を終わらせたくない!」

 そう考えたサルサラは、さっそくテーラ商団の団長であるテーラに相談します。


 自室で紅茶をすすりながら一休みしていたテーラは、一通りサルサラの話を聞いてから答えました。

「そう。ま、そろそろそんな風に言い出すんじゃないかと思ってたわ。実のところ、あなたをこのままカゴの中の鳥のように扱っていていいのかどうか、考えあぐねてたところでもあるし」

「じゃあ、いい解決策をお持ちなんですか?」

「ええ。あなたには、ここを辞めてもらいます」

 テーラの決断にサルサラは「エ~ッ!」と声を上げて驚きました。

「どうしてですか?アタシ、何か失敗をしましたか?」

「いいえ、逆よ。あなたの働きぶりは目を見張る程よ。並の人の数人分は優秀なくらい。だから、もうこれ以上教えるコトが何もないの。このままここにいても、あなたの可能性をつぶすだけだわ」

「そんなぁ…」

「あなたはもっと広い世界を旅するべきだと思うの。その方が才能をより伸ばすコトができるはずよ」

「ほんとうに?」

「ほんとうによ。それに、ただポ~ンと放り出すわけじゃないわ。それぞれの世界各地にテーラ商団の支部があって、その施設を使う許可を出してあげる。寝泊まりに使うなり、気に入った場所で働くなりして旅を続けるといいわ」

「わ~!さすがテーラお姉さん!太っ腹~」

「さぁ。わかったら、サッサと準備なさい。これからあなたの未来には素晴らしい冒険が待ってるはずよ」

「アイアイサ~!」

 こうして、サルサラはテーラ商団を出て、世界各地を旅することになりました。

 はてさて、どのような冒険が待っているのやら?


         *


 この時代、自動車は電気や魔力で動かせるようになっています。

 20年以上前、テーラがお供の3人と旅を始めた頃とは比べものにならないくらいに文明は発達していました。あの頃はまだ、燃費の悪いガソリン自動車で旅していたくらいでしたからね。

 それもこれも、世界間をつなげ、異世界同士の交流がさかんになったおかげ!もちろん、テーラ商団の果たした役割も計り知れないモノがあります。


 しかし、時代は移り変わり、異世界間で物資を運搬する必要はなくなりつつありました。「魔法の道具の作り方」や「自動車や機械の設計図」をデータで送るだけで済むのですから。あとは、それぞれの世界で資源を発掘し、生産すればいいだけ。

 テーラ商団も、昔のように街ごと移動するようなことはなくなり、船やトラックで物資を運搬するだけの業者となっています。

 それでも、それぞれの世界においては、まだまだ重要な役割を(にな)っており、各世界に巨大な支部を置いて、クモの巣のごとく運搬ルートが確立されているのでした。


 サルサラが降ろされたのは、そんな星の1つ。

「じゃあ、気をつけて旅をしてね」

「寂しくなったら、すぐ戻ってこいよ!」

「な~に、またすぐに会えるさ!」

 テーラや他の団員たちに見送られて、旅立つサルサラ。

「ありがとう、テーラお姉さん!ありがとう、みんな!お世話になりました!」

 そう言って手を振るサラサラ。トラックに乗ってみんなが去って行くまで、その姿を眺め続けます。

 テーラ商団の一団がトンネルを通って別の世界へと姿を消すと、サルサラはひとりぼっち。

「さて、と。いつまでも感傷にひたってはいられないわ!とりあえず、街の中心部に行ってみましょう!」


 これまで働いた分として、当面生活に困らないほどの金額は、商団からもらっています。それでも、無駄づかいをしていたら、すぐに資金は底をついてしまうでしょう。

 なので、サルサラは、しばらくの間テーラ商団の支部に泊まらせてもらって、そこを拠点にいろいろと見て歩くつもりでいました。

 先ほどトラックを見送った場所が、この世界の出入り口にもなっている拠点です。そこから少し離れた所にある街の中心地へとバスで向かいます。

 中心地には、旅人のための宿泊施設があるだけでなく、商店もあるので、旅に必要な物をそろえるのにも便利だとサルサラは聞いていました。

 バスに乗って移動していると、しだいに大きな建物がいくつも乱立しているのが目に入り始めます。


 さて、今夜もお時間が来たようです。

 それでは、この続きは、また明日の夜に語るといたしましょう。

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