~第314夜~「退屈な星のサルサラ(その2)」
自分の星から抜け出すため、テーラ商団のリーダーであるテーラに「一緒に連れていって!」と頼むサルサラ。その頼みは、無下に断られてしまいます。
けれども、サルサラはこっそり、商団のトラックに忍び込みました。途中でトイレに行きたくなったときのために、オムツまではいて…
しばらくすると、トラックはサルサラを乗せたまま発進します。
「フゥ…これで退屈な星ともおさらばだわ。サヨナラ、無機質な日常。サヨナラ、お父さん、お母さん…」
自動車の振動音が聞こえる中、それを子守歌代わりにしてサルサラは眠りにつきました。
何時間が経過したでしょうか?
サルサラは、トラックの扉が開く音と、まぶしい日の光で目を覚まします。
荷の積み下ろしが始まると、当然ながら密航者の存在は明るみに出て大問題になりました。
「なんだぁ?コイツは?」
「前の世界から乗ってきてたのか?」
「お頭~!大変ですぜ!」
すぐさまリーダーのテーラに報告が入ります。
「あ!アンタは…」
「アタシ、サルサラ。お姉さん、これからよろしくお願いします♪」
「よろしく…って。一緒に行けると思ってるの!?」
「まあまあ、ここまで来ちゃったんだし、仕方がないでしょう。今さら追い返すわけにもいかないし」と、自分で言う始末。
あまりのポジティブシンキングにあきれ返る一同。
それでも“究極の自由主義世界”出身のテーラは、少女の勇気と冒険心に驚嘆と共感し、一緒に連れていくことにしました。
「やれやれ…ま、いいでしょう。その代わり、シッカリ働きなさいよ」
「アイアイサ~!」と元気いっぱいに返事をするサルサラ。
「ところで、アンタ。トラックの荷台で一晩中過ごして、トイレはどうしたのよ。まさか、その辺にしちゃったんじゃないでしょうね?」
テーラの質問に、下を向きながら恥ずかしそうに答えるサルサラ。
「そ、それは…大丈夫です。ちゃんとオムツはいてましたから…」
「それって、つまり…オムツの中にしちゃったってコト?」
「それ以上は聞かないで!」
顔を赤らめながら叫ぶサルサラに、その場にいた全員が愉快そうに大笑いするのでした。
*
サルサラが、テーラ商団に加わってから4ヶ月が経過しました。彼女はすっかり商団のアイドル的存在になっていましたが、同時にその自由奔放ぶりは、トラブルを起こすコトもままありました。
「アラ、また何かやったみたいね。今度は何?」
「あ、ハイ。実は…」と、いつものように、事の経緯をテーラに説明するサルサラ。
「なるほど。軽口を叩いてメンバーとケンカしちゃったのね。それは、確かにあなたが悪いわ。あなたのあっけらかんとした性格は気に入ってるけど、もうちょっと人の気持ちを考えないとね」
「ハイ、わかりました。ごめんなさい…」と、謝るサルサラ。こういうとこは素直なのです。
「それにしても、あなた。あのお堅い星の出身とはとても思えないわね。あそこは規律が厳しいコトで有名なのに」
「ハイ!アタシもそう思います!だから逃げ出してきたんです!きっと、コウノトリが運んでくる星を間違えたんでしょうね」
「フフフ…ほんっとあなたって不思議な娘よね。私の知ってるどの人にも当てはまらないっていうか」
「そんなコトありません!アタシはアタシです!アタシという枠の中に当てはまってますッ!」
「アハハ…まあいいわ。とりあえず、今日は休みなさい。明日になったら、みんなと仲直りすること。わかった?」
「アイアイサ~!」と、この調子。頻繁にトラブルは起こすのですが、根が明るいものだから、すぐに解決して、みんな根に持ちません。これが彼女の魅力なのでしょう。
*
翌日。
「けど、やっぱり少し心配だわ。ちょっと様子を見に行ってみようかな?」
サルサラの様子を見に行ったテーラ。すると、案の定…
「だからさァ、あんまりダラダラやってると、他の連中に迷惑がかかるっていうの!アタシみたいにテキパキ動きなさいよ!」と、さっそくトラブルの種をまきまくっています。
「コラッ!サルサラ!アンタちょこまかと素早く動き回って仕事ができるのはわかってるわよ。けど、人には人のペースってモノがあるんだから、せかさないの!」
テーラに怒られても全然こりる様子がありません。
「だって~!コイツ極端に動きが遅いんですよ!アタシたちの迷惑になってるのがわかんないかな~?」
「コイツって…一応オイラの方が先輩なんだけどなぁ…」と、太っちょの動きの遅い団員がつぶやきます。
「先輩として扱われたいなら、もっとやせなさい!とにかく、もっとテキパキ動くコトね!」と、さらに追い打ちをかけるサルサラ。
「やれやれ…困ったわね。動きが遅い人には動きの遅い人なりにメリットもあるの。たとえば、あなたよりも重い荷物を運ぶこともできるでしょう?」
「それは…」と、テーラに注意されてしょぼ~んと落ち込むサルサラ。
「とにかく。あんまりトラブルばっかり起こすようなら、こっから追い出すわよ!いいわね?」
「それだけは、どうかご勘弁を!アタシ、おとなしくしますから!」
…と、その場では反省するのですが、すぐにまた次の問題を起こすサルサラでありました。
さて。この続きは、また明日の夜に語るといたしましょう。




