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異世界千夜一夜  作者: 大西平洋(ヘイヨー)
~テーラやサルサラの物語~
310/1003

~第309夜~「予言者と鬼の娘テーラ(その6)」

 テーラ、モカメル、ミーシャ、サフルの4人は、ハイワンの街でお金をためると、旅を再開しました。

 以前にお世話になった馬車は売っぱらって、今度はモカメルの運転する中古自動車での旅。まずは国境を越えようと、東へ東へと車を走らせます。

 しかし、どうしたことでしょうか?いくら進んでも、一向に景色が変わりません。どこまで行っても、畑や田んぼばかり。建物らしきものは1つも見当たりません。

「オイ!サフル!これは一体どういうコトだよ?」と、運転手のモカメルはいらだちました。

「ワシに言われてもなぁ。けど、地図によるとこの辺りは巨大な農園になっておるらしい。それで、同じ景色ばかりなのじゃろうて」

「それにしてもヒドイわよね。まるで、迷路の中に閉じ込められているみたいじゃない。これじゃあ、いつまでたっても隣国へなんて行けっこないわ」と、テーラも言います。

「確かに、その通りじゃな。このままでは日が暮れてしまうかもしれん」

「ガソリンの心配だってあるんだぜ。自動車ってのは、いつまでも走れるものじゃない。どこかで給油しないと」

 この時代この世界での自動車は、まだスピードも出せず、燃費もあまりよいものではありませんでした。それでも、ほんの10年か20年前まで馬や牛に頼りきりだった人々にとっては、ありがたい存在だったのです。

「困ったわねぇ。このままじゃ、途中で止まってしまうかもしれないわ」と、ミーシャも不安を口にしました。

「仕方がないのう。かといって、今さら引き返すわけにもいかんし…」

 4人が不安に駆られながらも前に進み続けていた頃、ようやくポツポツと民家らしきものが見え始めました。そうして、宿屋や酒場などが建ち並ぶ小さな町へと到着します。

「やれやれ、助かった…」

 安堵のため息をつくテーラ。他の3人もホッとした表情を浮かべています。


 宿屋の前で停車する自動車。

「とりあえず、今日はこの町に泊まることにしよう。オレはスタンドでガソリンを給油してくるから、先に行っといてくれ」

 モカメルの提案で、3人は宿屋の中へと入っていきました。


         *


「お嬢さん。ここは初めてかい?」と、宿屋の主人がたずねてきます。

「ええ。ちょっと事情があって、旅をしているんです」と、テーラ。

「そりゃあ大変だね。もしよかったら、ウチで休んでいくといい。サービスさせてもらうよ。その代わりと言ってはなんだが、1つ頼み事を聞いてもらいたいんだが」

「頼み事?なんですか?」

「この宿の裏にある果樹園で採れた果物を、町の人たちに配って欲しいんだよ。最近、不作続きでさ。少しでも多くの人に食べてもらいたくて」

「わかりました。それくらいなら、喜んで」

 こうして、テーラたちは果樹園で収穫された新鮮なフルーツをおすそわけに回ることになりました。


 一方、その頃…

 モカメルがガソリンスタンドで給油していると、突然、誰かが肩を叩いてきます。

 振り返ると、そこには見知らぬ男の顔がありました。

「ちょっと、君。いいかな?」

「えっ?なんですか?」

「実は、僕は新聞記者なんだが、少し話を聞かせてもらえないか?」

「話って、何を?」

「なんでもいいんだよ。たとえば、最近この辺で起きた事件についてとか」

「事件って言ったって、特に何も起きちゃいないぜ。それに、オレはこの町は初めてだし」

「そうか。なら、質問を変えよう。君は、この自動車に乗って旅をしているようだね?」

「ああ、それがどうした?」

「どうして、こんな田舎町にいるんだい?」

「別に、深い理由なんてないよ。ただ、ハイワンの街には飽きて、それで別の国へ行くことにしただけさ」

「なるほど。では、ハイワンの街で何か変わった出来事が起きていたら教えてほしいんだが」

「変わったことねぇ~?そういえば、何ヶ月も前にロボットショーでロボが盗まれてたけど」

「その事件なら知っている。結局、犯人は捕まらず、うまく逃げおおせたらしい」

「へ~、そうなんだ。他には変わったコトは特にねぇかなぁ?」


 しばらくの間があって、新聞記者が再びたずねてきます。

「なあ、よかったら僕も一緒に連れて行ってくれないか?君の旅に」

「え?オレたちについてきたいのか?オレは別に構わないけど、他のメンバーがなんて言うかなぁ?」

「他にもメンバーがいるのかい?」

「ああ、今、宿屋に行ってるよ。オレもすぐに追いつくつもりなんだが」

「だったら、ぜひ紹介してもらえないか?なんだか、君らについていけばいい記事が書けそうな、そんな予感がビンビンしてるんだ!」

「わかった!じゃあ、ついて来いよ!」

 こうして、モカメルと新聞記者の2人は町の宿屋へと向かいました。


         *


 宿屋に到着すると、3人はその場にはいません。

「アレ?おっかしいな~?確か、この建物だと思ったんだが…」

 モカメルが迷っていると、宿屋の主人が声をかけてきました。

「お客さん、どうなさいましたか?」

「いや~、先にオレのつれが3人来てるはずなんだが…」

「ああ、そのお客様方なら、今出かけておりますよ。(わたくし)のお願いで、近所に果物を配りに行っております」

「近所に果物を?」

 さて、この続きは、また明日の夜に語るといたしましょう。

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