レナードとジーク
ライラさまが銀行に潜入。
表向きは、王立銀行の人手不足に王宮から人材派遣といった感じらしい。
「リアーノ、ごめんね。なかなかお休みをもらってのランチに行けないわね。」
「いえいえ、気にかけていただいて、ありがとうございます。このお仕事がひと段落したら、絶対に行きましょうね。」
2人で顔を見合わせて、クスッと笑う。
「ライラさまの婚約者様は心配されるのではないですか?」
「大丈夫よ。彼なら大丈夫。」
ふふふと含み笑いをされて、なんだか楽しそうだ。
「詳しくはこのお仕事が終わったら、リアーノに説明するわ。いまは与えられた仕事をきっちりこなすことに専念するわ。」
ライラさまの決意が顔に滲み出ていて、とても凛々しい。
ライラさまはいつも強く優しい。誇りを持ってこのお仕事に取り組まれていることがよくわかる。
ライラさまの横顔を見ていたら、きっと、大丈夫だろう。心配なんていらないんだろう…と思えてくる。
そっと、心の中でこの素敵な先輩の無事を祈ろう。
夜は久しぶりにあの景色が見たい。
なんかそんな気分だ。
もしかしたら…
アッサムに会えるとうれしい。
いろいろ話しがしたいとずっと思っていた。
ダナン宰相の屋敷で夜に会って以来、2人で会っていない。
だから… そんな淡い期待もある…
さっさと夕ご飯を食べ、とにかく早くあの倉庫に行ってみよう。
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俺の嫌な予感が当たった。
最初、リアーノをダナン宰相の屋敷に行かせる指示をした時、不安が頭によぎった。
…ジークいう男。
調べたが、間違いなくダナン宰相の護衛騎士だ。1年程前から、護衛騎士をしているらしいが…その以前や素性が全くわからない。
リアーノも言っていたが、隣国から来たのは間違いないらしい。
あの筋肉が均整についている体格や歩き方で騎士の訓練を長い間受けた者であることは明白だ。
そんなよくわからない男が、夕ご飯時の食堂の前で誰かを待っているのを執務室帰りに見つけた。
護衛騎士なら、ダナン宰相と屋敷に帰っている時間だ。
彼の視線の先にリアーノがいた。すぐにリアーノを待っているのだと理解した。
もう、それを頭で理解した時には足が動き出している。
「ジーク殿… なにをされているんですか?」
眼鏡の奥の瞳に宿る嫉妬に似た感情が灯る。
「レナード殿下!!!」
そして、…今に至る。
俺はジークをあの倉庫群に連れてきた。ここなら、人が少ないはずだ。
「レナード殿下、お話しって言うのは…」
「リアーノ嬢を食堂の前で待ち伏せして、なにをする気だ。」
「…。この間、リアーノに頼み事をしようと思ったのですが、貴方様に邪魔をされましたからね。今日も邪魔をする気ですか?アッサム殿下。」
「っーーーー!!!!」
レナードの時は、感情があまり出ないようにしてきたが、思わず目を見開く。
「ジーク殿… 君は一体、何者なんだ。」
「リアーノを借りるとなると、貴方様にいずれお話しをしないといけなかったので、声を掛けていただいて、助かりましたよ。」
ジークがひと息呼吸をおいた。
「隣国ニシアのジークフリート・フォンデルと申します。」
フォンデル… といえば、 隣国の筆頭公爵家だ。
「ニシアの… 筆頭公爵家の者がなぜ、ここセイサラ王国で護衛騎士のまね事を?」
「私は筆頭公爵家の次男です。ここで護衛騎士のまね事をしているのは、アッサム殿下と同じ理由ですよ。」
ジークが真剣な眼差しでレナードを見る。
そして、レナードも同じ真剣な眼差しでジークを見る。
今日もありがとうございます(^ ^)
レナード殿下の執務室。
仕事が忙しく休みが取れない。
ブラックですね。




