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再び王宮

 あっという間の10日間でした。

 結局、偽札についてはなにも掴めず、しかも密造酒疑惑という、厄介事を増やす結果に。

 帰りは、ナンシーさんの食堂でナンシーさんのご主人や娘さんと楽しく夕ごはんを食べさせてもらい、王宮の自分の寮に帰ってきました。


 今夜は久しぶりにまたあの屋根に行きたかったんですが、生憎、雨が降ってきました。

 この雨では行けそうにないです。


 アッサムはどうしているんだろう…

 一体、どこにいるんだろう…

 あそこに行ったら、会えたのかな。

 別に会いたいとか…そうじゃないけど。


 いろいろモヤモヤ考えて疲れました。

 早く寝よう。

 明日からはまた、レナード殿下の事務室での仕事だ。



 翌日、久しぶりに事務室へ。

 ホーシャック室長他面々はみんな、元気そうです。

「リアーノお疲れ様!」

 ライラさまが労ってくださいます。なんだかホッとしますね。

 ホーシャック室長はたぶんご存知であろうが、一連のことを報告をします。

「無事でなにより。」

と優しい眼差しで優しい言葉を掛けてくださる。

 今日はレナード殿下はこちらにお越しではないようです。レナード殿下の顔を見れると思っていたので、少しばかり残念。


 いつものカードの仕事に加えて、ライラさまとダーリア殿が密造酒疑惑発覚で、ダナン宰相が決裁した書類を片っ端から洗い直す作業を進められていたのを手伝うことになりました。

 机の上には、書類の束が堆く積まれています。

 「ライラさま、これどれぐらいで終わりますかね。」

「いつかは…おわるよ… いつか。」

ライラさま、目が虚ろですよ。



 しばらくは書類と格闘する日々が続き、動きもなにもないこと数日。

 少し遠くまで行かれていたというレナード殿下は久しぶりにこちらに来られています。

 「リアーノ、今、手が空いてない?レナード殿下にお茶を出してもらっていいかな?」

「はい!大丈夫ですよ。」

 お茶をセットして、久しぶりにレナード殿下の執務室へ。

 執務机で書類に目を通されているレナード殿下。

 今日も麗しく黒髪に眼鏡が知的に見え、素敵です。 

 本当にアッサムなのかと疑うけど、よく見ればアッサムなのですが、いまは「レナード殿下」です。


「お茶をお持ちしました。」

「ありがとう。ここに置いてもらっていいかな。」

 そっと、茶器を置きます。

 書類から目を離さないレナード殿下。

 話しかけたい気持ちを抑え、そのまま部屋を出る。

 なにをわたしは期待した?

 レナード殿下だよ…

 この少し淋しい気持ち…を気づかないでおこう。


 今日の昼ごはんもライラさまと王宮の食堂行きます。

王宮で働くたくさんの人で今日も混み合っていますね。

 席を確保できず、仕方なく中庭の花壇に座って食べます。


「おーい!リアーノ!!!」

 遠くから、手を振って駆け寄って来る騎士。

 見覚えのある金髪!

「!!!ジーク!!。」

 あの、ダナン宰相の護衛騎士のジークです。

 もう2度と会わないと思っていたのですが…

 ここ、王宮で会うなんて… まずいです。

 わたし…料理人の助手設定だったし…


「探したぞ!リアーノ!!」

「お久しぶりですね。変わりはありませんか?」

 否応なしに背中から冷や汗が…

「俺は元気だ。それよりもリアーノ、あれからすぐにいなくなるなんて冷たいな。」

 言われると思ってましたよ。

 一緒に星を見た、あの次の日には帰りましたし…

「最初から臨時と決まっていましたので。」

 しれっと答える。

 ライラさまが横でなにか、慌てています。

「リアーノに聞きたいことがいっぱいあるが、頼み事があって探したんだ。」

 ジークがわたしの両肩を掴んだその時、横からレナード殿下がーー!


「リアーノ嬢から手を離してください。リアーノ嬢はわたしの部下です。」

「アッ…レナード殿下?」

 急いで来たのか、少し呼吸が乱れ、長い黒髪が風に揺れている。

「これは…レナード殿下。大変、失礼しました。」

 ジークはレナード殿下の気迫に少し驚いたようだが、すぐにわたしの肩から手を離し、レナード殿下に恭しく挨拶を述べる。

 レナード殿下の眼鏡の奥の瞳が笑っていない。

「リアーノ嬢に何の御用ですか?」

「リアーノに頼み事があったんですが、今度にしますよ。大変失礼しました。」

 ジークがニヤリとしてお辞儀をし、踵を返し足早に去って行った。


「あの…レナード殿下…ありがとうございました。」

 恐る恐る顔を上げると、険しい顔のレナード殿下と目が合う。

「ナンシーさんが伝書鳩で知らせてくれたんだ。あいつがナンシーさんの食堂にリアーノを訪ねてきたと。」

 そんなことが!

 ライラさまも不安げです。

「リアーノになにかあったらと…。無事で良かった。」

 レナード殿下自ら、わたしを探してくれたようです。

 「すみませんでした。さっきの方がジークという者で、酒製造所の場所を教えてくれて人です。」

「…そうか。あいつが…。」

レナード殿下の表情がより一層険しくなった。

本日もありがとうございました。(^ ^)


レナード殿下とジーク、見目麗しいふたり。やっと、揃った!!

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