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星が綺麗な夜にて

いよいよ、明日でこの任務も終了です。

 厨房の仕事にもだいぶ慣れてきたのにな。

 当初の目的の偽札の出所については、全くなにも掴めずです。

 ダナン宰相は朝、あのジークという護衛騎士他、何名かに付き添われて王宮に行き、夕方には帰ってくるといった感じで怪しいところもなく…。


 夕方の賄いを食べ、厨房を出た例の食料庫前でぼんやり座り込んでいたら、ナンシーさんがやってきました。

「リアーノ、帰り支度は出来た?明日の出発はお昼ごはんが終わってからだよ。」

「承知しました!帰り支度は全然できてなくて…。もう、明日の帰る直前にしようかと思って。」

 ちょっぴり、しょぼくれているわたし。

「なにも掴めなかった事を気にしているの?」

「まあ、結果を出せてないというか…。」

 明日、帰るのが気が重い。

「そんなこと、気にすることないよ。簡単になにかをすぐ掴めたら、楽しくないじゃないか!」

 ナンシーさんがニカっと笑って、背中にボンっと気合いを入れてくれました。

「でも、この間の伝書鳩で知らせたザッハの山の麓の話や貿易商の足取りについては、もう人が動いているよ。」

さすが、情報通のナンシーさん!

「よかったです。少しホッとしました。」

 じゃ、最後の仕事しよーと言いながら、ナンシーさんは使用人のお茶会に戻っていきました。

 わたしももう少しここにいてから、戻りますね。



「おう!リアーノじゃないの?」

 下を向いていたので気づきませんでしたが、顔を上げるとそこには先日、地下室で会った金髪の端正な顔立ちのジークです。

「ジークさん!!」

「ジークでいいから。なにしているの?今ごろはみんなでお茶の時間だろ?」

「ちょっと、ここで休憩です。今夜は星も綺麗だし。」

2人で空を見上げます。

「…綺麗だね。リアーノの故郷も星は綺麗に見える?」

「もちろんですよ。条件が良ければ、水平線まで星が見えるんですよ。」

「海が近いんだ。」

「アマシアです。」

「アマシアか。いいところだよな。何度か行ったことがあるよ。」

「そうなんですね!ジークの故郷は?」

「俺は隣国の王都だよ。」

 意外です。隣国の方がうちの国の宰相の護衛騎士だなんて。

「隣国とは意外ですね。隣国の王都はここからだいぶ遠いですよね。でも、確か海沿いでしたっけ?」

「そうだよ。地平線まで星が見えるのは一緒だな。」


ジークが、じっとわたしの顔を見てきます。

「リアーノはアマシア生まれか?」

「いろいろありまして、どこで生まれたかは定かではないんです。」

「そっか。生きていたらいろいろあるよな。」

 ジークが何か考え込んでいます。

「…リアーノ、誰かに似ているって言われたことない?」

「???…ないですよ。木に登っている時なんかは猿っぽいと、よく言われますけど…。」

「そうじゃなくって… ほら、誰かの姿絵とか…。」

「…うーん。全くないですね。わたし、ジークの知っている誰かに似ていますか?」

「…いや気の所為だ思う。変なことを聞いてすまない。」

端正な顔立ちが深く考え込んでいますよ。

「リアーノって、何歳?」

んん?なぜ年齢…

「逆に嫌な聞き方しますけど、何歳に見えます?」

「…16。」

「どこを見て16って言いました?絶対、身長とかでしょ!」

 ああっ!もう!拗ねてやる!ちょっぴり小さいことは自覚しているんですが…いろいろ。

「18歳です。大人ですよ!オ、ト、ナ!じゃあ、ジークは27、8歳といったところですか?」

ジークが端正な顔を歪めて、

「22歳だ。」

やってしまった!!!

「あーー、ジークは落ち着いて見えるからね…本当にすみません。」

「「…………。」」

ふたり、顔を見合わせて吹き出してしまいました。

 少し塞いでた気持ちが晴れました。


「わたし、そろそろ戻ります。」

「うん。ではまたね。リアーノ。」


 また…はないですね。

 明日でわたしは王宮に戻るし、もう会うことはないですが…。

今日も読んでくださり、ありがとうございますm(_ _)m


リアーノは身長158センチぐらいの痩せ型をイメージしています。お年頃なのでいろいろ気になるようです。

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