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海からの贈り物

 翌日、わたしは協力してくださる料理人の方のお店にひとりで向かう。

 お店は王都の中心街の一角なので、王宮から歩いてもすぐのとこだ。

 そして、そこで料理人の方と合流してから、貴族の方々の領地のお屋敷とは違う、王都で過ごすための別邸が建ち並ぶ高級お屋敷街にあるダナン宰相の屋敷に向かう。

 移動が30分程の徒歩圏内で助かる。


「こんにちは!リアーノです。」

「はーい、待ってたよ。」

 店の奥から元気な中年の女性の声が聞こえる。バタバタと出てこられた。

 肩が丸い少し大柄なおばさまだ。

「リアーノだね。よく来たね。」

「はい!これからしばらくお世話になります。よろしくお願いします。」

「話は聞いているよ。大きな声では言えないけど、わたしも協力するからね!一緒にがんばろうね!」

「そうそう、わたしはナンシー。よろしくね。」

 ニカっと笑って、「そこ、座っていてー。」と言いながら、またバタバタと奥に戻られる。


 待つ間、この食堂を眺めていると、祖父母が営む食堂を思い出し少し淋しくなるが、同時に最近は手紙を出してないことをうっかり思い出してしまった。

 まずいなぁー 絶対、心配している。

 まずいぞ。まずいぞ。

 これが終わったら真っ先に手紙だわ〜

 なにかと過保護な祖父母だ。手紙が来ないと騒いでいる姿がありありと目に浮かぶ。



 ナンシーさんとともにダナン宰相の屋敷に向かう。

ナンシーさんはよくお屋敷に出入りしているのか、地図すら持っていない。

「ナンシーさんは、ダナン宰相のお屋敷によく出入りされているんですか?」

「たまにだけどね。こうして、お屋敷の方になにかあった時は、お手伝いに行っているんだよ。店は主人も娘もいるから困ることはないしね。」

「そうだったんですね!心強いです!」

 頼れるナンシーさんです!


「リアーノはアマシア出身なんだってね。」

「はい!わたしを育ててくれた祖父母もアマシアで食堂を営んでいるんです。名物料理は鶏と玉ねぎを煮込んだ変な名前の料理なんです。」

「それって!!リアーノ!その料理は「帰れ、鶏肉へ」なんじゃない?」

ナンシーさんが驚いた表情でこちらを見る。

「よくご存知ですね。王都でうちの食堂のメニューが有名なんですか?」

 名物料理と謳っているだけあってそこそこ美味しいが、有名になっているなんて、そんなありがたい話は聞いたことがない。

「ダンさんの店だろう!!同業者では有名もなにも…!!」

 ナンシーさんが目を白黒させている。

「ダンはおじいさまの愛称です。ナンシーさん、祖父と知り合いだったんですね。わたし、存じ上げずに申し訳ないです。」

「いやいや、こちらこそ、気づかなくて…。」

 そうか… そうか…とナンシーさんが横で呟いている。

 ナンシーさんはきっとわたしの事情を知っておられるのだろう。

「ナンシーさん、あの… 多分、ご存知だと思いますけど…」

「うん。リアーノはダンさんにとって、「海からの贈り物」だろう。知ってるよ!同業者ではそれ、伝説だからね。」

 ナンシーさんが少し興奮気味だ。

 伝説… なんですね。初めて聞きましたよ。


 わたしは、生後間もなく、港から少し外れたところの小さな砂浜に籠に入れられて置かれていたと聞いています。

 だから、祖父母は孫として育てて、ずっとわたしのことを「海からの贈り物」だと言ってくれていましたが、ナンシーさんの耳にまで届いているんですね。一体、どこまでこの話をしているのやら…。お恥ずかしい限りです。


「ナンシーさん、伝説とはありがとうございます。そんないい話になっていたんですね。おじいさまは本当にわたしに甘くって…。」

「わたしも伝説の女の子に会えてうれしいよ!立派に育ったんだね。リアーノ、ありがとうね。」

ナンシーさんはとても楽しげです。

 そんな他愛もない話をしているうちに、今回の任務の伏魔殿に到着です。


 さすがはダナン宰相のお屋敷。木々でよく見えませんが、門から玄関まで広いお庭が広がっています。

 この伏魔殿でなにが待っているのか…。

今日もありがとうございました。m(_ _)m


アッサム… レナード殿下…出番なし…。

ごめんよぉ〜


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