表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

102/103

コミカライズ14話(最終話1つ前)記念SS: リアーノに指輪(首輪)を

ちょうど、第二章の冒頭「姉からの叙事詩と栞」「懐かしい」の頃のアッサムの視点です。

 「アッサム、いまから1週間の長期休暇を取るんだ!アマシアに帰って養父母やダン様たち、その…あれだ。うちの娘になる可愛いリアーノ嬢に顔を見せてこいっ!」

 陛下に急に呼ばれ何事かと慌てて駆けつけたら、ものすごく照れながら、ぶっきらぼうに休暇を告げられた。


 長期休暇を取りたくても取れなかったのは、俺に元宰相の事件の後処理を任せっぱなしの上、お披露目だのなんだのと親交のある各国をうれしそうに連れ回してくれて、寝る暇もなかった日々にしてくれたのはどこの誰のせいだと言ってやりたいが、俺の隣で一緒に呼ばれた兄である皇太子殿下と陛下の発言を黙って聞いていた王妃様がニヤニヤと目配せしてきたので、この人達が進言をしてくれたんだろうと察する。

 

 正直、その心遣いに感謝だ。

 ずっとリアーノに会えてなかった。

 たまに鳩を飛ばして手紙を送っているものの、俺の立場を気遣ってあまり手紙を送ってこなくていいと言うリアーノには、寂しい思いや不安な思いをさせているのは間違いない。

 これでようやくアマシアに帰れる。

 帰ったらリアーノにしてやりたい事が山のようにある。


 (はや)る気持ちを抑え私室に戻ると、ずっと考えていた計画にすぐに取り掛かる。

 アマシアにある昔馴染みで仲間の宝石店に指輪の制作依頼を書き「鳩」を飛ばした。

 職権濫用だと言われても今は構わない。

 それぐらい俺には緊急案件だ。


 リアーノに指輪かネックレスを贈りたい。

 ずっとずっと思っていたことのひとつだ。

 いつからと問われれば、俺がまだアマシアで暮らしていた頃からだ。

 でもあの時はレナードの身代わりをしていたし、いつか王城(ここ)に来なければならないとわかっていたから、リアーノの幸せを考えると中途半端なことは出来なかった。


 やっと実現が出来る。

 指輪やネックレスをリアーノに贈って、リアーノに近づく男に牽制が出来る。

 これは男避()けの首輪だ。

 リアーノは俺のものだって主張できる形を身につけていて欲しかった。


 プロポーズの時は、あちらこちらの根回しに忙殺されて指輪を用意する時間もなく、アマシアに来るだけで精一杯だった。

 ジークのせいでひどい焦燥感に駆られたのはよく覚えている。

 リアーノに物理的にも心理的にも距離を置かれて、俺も全然余裕がなかった。


 ようやくリアーノに指輪という首輪をつけることができる。

 そして、俺の想いを形にできる。


 本当は婚約式の時に渡したいが、俺とリアーノの立場上、婚約式や結婚式などは大人の事情で遥か未来になりそうだから、待つなんて選択肢は俺にはない。


 夜中になっても良い。

 潮風の優しい深い青の海が広がるアマシアに帰ろう。


 早くリアーノの待つアマシアへ。

読んで頂き、ありがとうございました。

コミカライズ14話配信記念SSでした。

来月、最終話です。

その時はまた最終話記念SS、書きます!





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ