日常と妖たち
次の日の朝、学校でいつも通り席に着きカバンを開けた。
すると何か毛玉のようなものが入っている。
一度、カバンを閉める。
昨日会った毛玉に似ているように思えたが、まさかカバンの中になんか入っているわけない。
美都は再びカバンを開ける。
するとそこにはやはり昨日の毛玉が。
「な、なんであなたがここにいるのよ!?」
驚きと戸惑いのあまり、大きな声を出し勢いよく立ち上がった。
美都の声が教室に響き、みんなが不思議そうに美都の方を見つめている。
その視線に気づくと、美都は顔を赤らめながらゆっくりと椅子に座った。
美都はカバンの中に入っている毛玉に
「なんであなたが私のカバンに入ってるのよ」
と言った。
「妖が見えるようになった美都が心配でさ」
「心配?」
「見えるっていう事を危険な妖に知られると狙われるから」
「そんな......」
授業中、毛玉は机の上で寝ている。
先生が教科書を読むように、他の人を指す。
美都は読まれる文章の文字を目で追っていた。
すると窓を叩く音がした。
最初は気のせいだろうと無視をしていた。
しかしあまりにもうるさいため、窓の方を見た。
「なっ!?」
その瞬間、美都は驚きのあまり勢いよく立ち上がった。
なぜなら窓の外からこちらを覗いている大きな犬のような妖がいたからだ。
その犬のような妖は驚いた美都の顔を見ると満足げに笑いながら空を飛んでどこかへと行ってしまった。
すると教室中から笑い声が起こった。
先生も
「如月、今日は元気がいいな」
と笑いながら言った。
恥ずかしい......
「すみません」
そう言って静かに席に座る。
朝といい、授業中といい、妖に驚かされてばかりだ。
「なんなのよ......」
小さな声で美都が呟くと
「あれは風吹。いろんな妖を背中に乗せて運んでくれるんだ。すっごく優しいんだよ?」
「でも、今のは」
「きっと美都のことが気になっただけだって」
「そう、なんだ」