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今はもう居ない、わたしへ  作者: 杜戸河 しずか 
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第1話 メモリーズ (記憶)

昔昔の物語


ある所に、なおという子がいました。


なおは、ちっちゃくて

おとなしい普通の子でした。


ごく普通のおうちに生まれ

ごく普通に育ち

ごく普通の子供でした。


私には、わからないけど

そうだったって


事件の起こるあの日まで


ずっと普通に

これからもずっと普通だと信じてたあの日

全てが壊れました。


それは小学2年の一学期


夏休みまであと数日のある日

事件は起こりました。


それは、ほんの些細な事


先生が大事に育ててた、大きなサボテン

教室に置いてあった大きなサボテン


私は見たことないけれど

きっとあなたは、見てたのでしょう。


その日の夕方

ホームルームの時間


先生が、みんなに問いかけました。

先生は、おばあさんにはあと少しと言う感じの、厳しい怖い先生。


先生は、言いました。

「クラスのみんなが、大切に育ててるサボテン

それを、ポッキリと、折った生徒が居ます。」


「先生は、大変残念に思います。

生き物の命を大事にしない、残酷な出来事です。」


「やった人は、名乗り出てください。

やった人が分かるまで、私は授業は、しませんから!」


そう言い捨てると

先生は、教卓に、出席簿を叩き付けるように置き

ドアを、バタンと締め出ていってしまいました 。


翌日は、二時間目がその先生でした。


先生は、言いました。

「今日は昨日言ったように、授業はしません!

今日は、犯人がなのり出るまでなにもしません。」


なおは、どちらかと言うと、人見知りで


大人しく、友達と遊ぶより

本を見たり、ぼーっと空を眺めたりするのが好きな子供でした。


先生の、睨みつけるような視線が怖くて

おびえながら、時はながれ、二時間目が終わりました。


その日のホームルーム

また先生が睨むように教室に入って来ました。

「最後のチャンスです。

もう、私には、誰がやったのかも分かってます。」


「でも、先生は、やった人には自分から名乗り出て欲しいです。

みんな、目をつぶってください。

やった人は、手を上げてください。」


息の詰まるような重い空気が

教室中を埋め尽くしていきます。


しばらくすると、

「もういいです!分かりました!あくまでも嘘をつくなら

先生にも考えがあります。

これから学校裁判を行います。」


小学2年生です、みんなが裁判の意味もよくわからず

ほかーんとしている中、

先生が、重い空気を断ち切るように、


「なおくん、私はあなたが、1人の時にサボテンを折ったのを知ってます!

それを見た人が、私に教えてくれました。」


もちろん、なおには覚えがありません。

でも、人見知りのなおは、うまく説明出来ません。


「違います、やってない!」

その小さな声は、

先生の大きな声で、さえぎられます。


「嘘つきの、なおくんとは、みんな、これからお話をしてはいけません。

無視の刑に、します。

なおさんと、話した人は、嘘つきとして

おんなじ無視の刑に、します。

なおさん以外は、帰って良いです。

なおさんは、図書室に来てください。」


図書室についたら、冷たい床に正座をさせられました。

先生は、なおくんの声をさえぎるように

「なんで嘘を着くの!」

やってない!って答えても、

「そうやって嘘をついても無駄です。

見た人も居るんです。」の繰り返し!


泣いて、声が声にならないくらい

しゃくりあげながら、

いくらやってないと、言っても信じてもらえず。


その、ただただつらい時間は

日が沈むまで続きました。

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