三つの願い
一人の女性がいた。冷々とした佇まいゆえに人は寄りつかず、彼女も人に関わろうとしなかったため、いつも一人でいた。
そんな彼女の下に、ある日男が訪れた。
男は悪魔だと名乗り、女性に向けて言った。
「願いを三つ叶えてやろう。ただしその全てが叶った時俺がお前の魂を貰う。お前の魂はあの世へ行けず、輪廻から外れるわけだが、たいした問題じゃないだろう?」
女性は鬱陶しそうに悪魔を睨み言った。
「黙れ、そしてあの世へ行け」
伝わるか不安なので説明を
悪魔は三つの願いが叶ったときに魂を貰うといい、それによってあの世に行けなくなるはずでした。
が、「黙れ」「あの世に行け」という二つの願い押し付けられてしまいました。
黙ってあの世に行けば三つ目の願いを聞くことはできなくなり、女性が死んであの世に行ったところで三つ目の願いを聞き入れて女性の魂を貰うことはできなくなる(という記述はないけどきっとそういうことなんだ。うん)というようなまあそんな感じです
200文字中で作中の世界における出来事のルールを宣言するのは難しく、そこに文字数を割くとどうにもつまらなくなってしまうような気がしています。
最初の行での女性についての説明が長いのは、「鬱陶しそうに悪魔を睨」むシーンを強めたかったから、と言いますか、趣味です。
自分の脳内にあるものを人と共有するのはとても難しく、完璧な共有は不可能なのかなぁと思いますが、そういう技術が身についたらいいなぁと思うのです。
悪魔が三つの願いをかなえてくれる理由について、仮面ライダーオーズを見てなんとなく考えたことを。
全能たる悪魔は充足感・満足感を得る手段がない、と仮定すると、悪魔は「願いを叶えたことで満たされた魂」を貰うことにより擬似的にそれらを感じることができるという考えに至りました。
願いが三つなのは、それが最も効率よく人の願望を満たせるからだと思います。
少なすぎれば欲望に具体性を失ったり、大規模・長期間なものになったり、直接的に満たされるものではなくなるでしょうし、逆に多すぎれば、願いの矛先は散漫し、軽視され、使い切るころにはその万能性に飽きてしまっているでしょうから。