単純にして強力
10階の街が石と煉瓦でできた街だったのに対して、20階の街は木造建築がほとんどだった、この街あちこちから勝手に木が生えてくるので、当然といえば当然なのかもしれない。
しかしその自然と同化したその景色はさながら田舎町のようだ、岩で覆われた天井を無視するならばの話だが。
セーブポイントに行き終え、宿に泊まる、1階建ての小さな家で、気の良い老夫婦が細々と営んでいた。
今でこそこのような雰囲気だが、昔は凄腕の冒険者としてブイブイ言わせていたらしい、夕食の際昔の冒険譚をうれしそうに語ってくれた。
「さてと、ぼちぼち始めますか。」
睡眠の間際、そう言って自分はステータスを表示した。
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【Name】 影山 亨
【Race】 人間
【Sex】 男
【Lv】67
【Hp】 760
【Mp】 760
【Sp】 5220
【ATK】 760
【DEF】 760
【AGI】 1140
【MATK】 684
【MDEF】 684
■■【職業】■■
【忍者】
■■【装備】■■
【無銘の魔剣】
【無銘の魔剣】
【鉄の鎧】
【厚手のマント】
■■【スキル】■■
<特殊スキル>
【分身】Lv,5
<職業スキル>
【偽装】Lv,5
【鑑定】Lv,4
【看破】Lv,4
【隠密】Lv,6
【忍び足】Lv,5
【抗体】Lv,5
【短剣術】Lv,5
【影縫い】Lv,5
【多段突き】Lv,5
【投擲】Lv,4
【自己鍛錬】Lv,1
■■【称号】■■
【異世界人】【冒険者】
■■■
始めに注目するのはSpだ、階層ボスの分があんまり入らなかった。
確かボスに挑む前はSpは5100ぐらいだった気がする、森の中にいたモンスター達は平均して大体Sp300~400ぐらいであった、そう考えるとかなり少ない。
理由は40人という数の暴力で挑んだことが原因だ、使い魔も含めればボスの経験値を大体50等分したことになる。
そう考えると【分身】というスキルはとても有能だということに改めて思い知らされる、分身体たちと戦っても実質すべての経験値とSpを独占できるからだ。
想像してみてほしい、残りの経験値がそれぞれ100でLvアップできる5人パーティーがいたとしよう、そして目の前に経験値100、Sp100の魔物がいたとする。
これを倒した場合、彼らそれぞれに経験値とSpが20ずつ取得することができる。
しかしこれが自分自身と分身体4人の計5人の場合どうだろう。
自分は経験値100取得しLvアップすることができる上に、分身体もLvアップした時のステータスとなる。
Spでも同じ事がいえる。
そのおかげでほかの冒険者の何倍も早く成長できている。
いや、その何倍も早く成長したステータスが分身体にも反映されているので何倍どころか何十倍の速度で成長できていることになる。
「今度分身体達にご飯でも奢ろうかな?」
彼らはスキルの一部かもしれないが感謝の念は忘れてはいけないと思う。
とりあえず【隠密】と【短剣術】をそれぞれLv.7にしておく今までこの2つのスキルのLvの数を3や5まで上げると【多段突き】や【抗体】のようにスキルが派生してきた。
なので次の奇数の7まで上げれば何か新しいスキルがもらえるかもしれない。
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スキル【短剣術】Lv,7を取得したことにより条件が満たされたため。
新しく【三日月燕】Lv,1を取得できるようになりました。
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スキル【隠密】Lv,7を取得したことにより条件が満たされたため。
新しく【自爆】Lv,1を取得できるようになりました。
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「…なんだか物騒な名前が見えた気がするのだが。」
自分の勘違いかもしれないので説明欄を読んでみた。
【三日月燕】
短剣の斬撃を飛ばすことができるスキル。
Lvによって威力と飛距離が上がる。
【自爆】
【忍者】が敵に情報を与えないように自分の体ごと吹き飛ばすスキル。
身代わりまたは分身体でも可能。
「なるほどね…」
説明欄はもっと物騒だった、しかしこれは意外と使えるスキルなのではないだろうか?
【三日月燕】はナイフを投げる以外での遠距離技として使えるし、【自爆】は使いようによっては相手に大ダメージを与えることができるかもしれない、とりあえずこの2つは取っておいて損はないだろう。
他にも自分とリンのスキルを強化した後、自分はある実験をしてみた。
「【自己鍛錬】を使ってみるか...」
Spを50も使ってとってみたのに今まで使うのを忘れていた。
ポツンと一つだけLv,1のままだったので、試しにどのくらいの効果なのか実験してみようか。
「確か自身を鍛えるとポイントが入るんだっけ。」
体を鍛えるというと筋トレしか思い浮かばない、一瞬自分のジャージ姿を思い出した。
◆◆◆
一時間後、そこには汗だくで床に這いつくばっている自分の姿があった。
「まさかこれだけとは...」
あれから腕立て100回腹筋100回スクワット100回を10セットほど行ってみたのだがSpはたったの1しか溜まらなかった。
翌日の筋肉痛を覚悟してのこの鍛錬だというのに、あんまりではないだろうか?
「まぁ…まだLv,1だし、こういうものは継続させていくしかないよな…」
立ち上がると膝が笑っている、きっと明日は体が悪い意味で素晴らしいことになっているだろう。
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【Name】 影山 亨
【Race】 人間
【Sex】 男
【Lv】67
【Hp】 760
【Mp】 760
【Sp】 381
【ATK】 760
【DEF】 760
【AGI】 1140
【MATK】 684
【MDEF】 684
■■【職業】■■
【忍者】
■■【装備】■■
【無銘の魔剣】
【無銘の魔剣】
【鉄の鎧】
【厚手のマント】
■■【スキル】■■
<特殊スキル>
【分身】Lv,5
<職業スキル>
【偽装】Lv,5
【鑑定】Lv,5 (▲1)
【看破】Lv,5 (▲1)
【隠密】Lv,7 (▲1)
【忍び足】Lv,5
【抗体】Lv,5
【自爆】Lv,3(New)
【短剣術】Lv,7 (▲2)
【影縫い】Lv,5
【多段突き】Lv,5
【投擲】Lv,4
【三日月燕】Lv,3 (New)
【自己鍛錬】Lv,1
■■【称号】■■
【異世界人】【冒険者】
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翌朝、宿を出発し次なる街、すなわち30階を目指すため宿を出発した。
朝早くにもかかわらず宿の老婦人は自分のために昼食を持たせてくれた、感謝の念を抱きながら新たな階層へと足を踏み入れる。
ふと数えてみると自分はこの世界に召喚されてから2週間立っている。
様々なことがあった2週間だった、城を脱出したり、魔物を倒したり、今ダンジョンに潜ったりと毎日が充実している。
そして王城に召喚された時と比べてだいぶいい意味で成長したと感じている、前は魔物を倒すのに少しばかりの抵抗があったが今では冷静に戦闘の状況を分析できるようになった。
この調子で次の階層も突破していきたいものだ。




