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影の使い手  作者: 葬儀屋
王城編
10/207

ステータス公開

どうぞ

 無事朝食を終えた自分こと影山亨とクラスメイト達は、今国王との対談があった場所で出席番号順に並んでいた。


「なぁ、自分のステータスをクラスのみんなに見せるときの気分って、期末テストの点数をみんなの前で読み上げながら返す時と同じだと思わないか?」

 柿本が前で何か言っているが今はそれどころではない、自分のステータスを王国やクラスのみんなに欺き通せるがの瀬戸際せとぎわにいるのだ。

 柿本にはばらさないように言ってある、わけを話したときとてもにやけながら聞いていて少しイラッとした。

 自分の言った意見でこの影山亨が四苦八苦している様子がさぞかし滑稽で、可笑しくて仕方ないのだろう。

 後で何かプロレス技でもかけてやろうか。


 昨日のカトリーナ王女様がクラスの前に歩いてくる。

「皆さま昨晩はよく眠れたでしょうか?」

 社交辞令に始まった彼女の説明によると、

 彼女の横に控えている魔導士みたいな恰好の男が持っている水晶は、【鑑定】Lv,2クラスの効果を誰でも使用でき、かつ誰もが見えるようにマジックアイテムらしい。

 試しに出席番号一番の井川が触ってみると。


■■■

【Name】 井川いがわ かける

【Race】人間ヒューマン

【Sex】 男

【Lv】 1

【Hp】 100

【Mp】 100

【Sp】 0

【ATK】 120

【DEF】 120

【AGI】 90

【MATK】 90

【MDEF】 90


■■【職業ジョブ】■■

戦士ウォーリア


■■【スキル】■■

<特殊エクストラスキル>

充填チャージ】Lv,2


■■【称号】■■

【異世界人】


■■■


 とクラスの前に文字が浮かび上がった。

「うわ、あいつ一気に使ったなあ…」

 柿本のいう通り彼のSpスキルポイントが空になっている、特殊エクストラスキルに全て費やしたようだ。

 どうやら自分の他にも、Spスキルポイントを使っている人がちらほらいると見た。


 生徒会長がクラスの職業が書かれたメモを渡すが、念のためという事でそのメモと確認しながら行うことに事が進む。

 番号順にクラスメイト達は水晶に触っていき、自分たちのステータスを公開していった。


 そして、

「次の方どうぞ。」

 柿本の番が終わり自分の番が来る。


「【戦士ウォーリア】ですね、ではどうぞ」

「はい」

 このときこの瞬間に心臓が跳ね上がるのを、いやでも感じ取ることができた。


【偽装】Lv,2は【鑑定】Lv,2まで対応しているため理論上はばれない。

 しかし彼らの言っていたことが完全に信用出来るかといわれると、怪しいところがある。

 もしこの場で自分の職業を偽っていることが知れたら注目の的だろう。

 我ながら分の悪い賭けを行ったという自信がある。


 背中に嫌な汗が流れるのを無理やり無視して水晶に触れる、そして


■■■

【Name】 影山かげやま とおる

【Race】 人間ヒューマン

【Sex】 男

【Lv】1

【Hp】 100

【Mp】 100

【Sp】 100

【ATK】 120

【DEF】 120

【AGI】 90

【MATK】 90

【MDEF】 90


■■【職業ジョブ】■■

戦士ウォーリア


■■【スキル】■■

<特殊エクストラスキル>

充填チャージ】Lv,1


■■【称号】■■

【異世界人】


■■■



 賭けに勝った。

 ふと水晶を持っている男を見ると、気のせいか落ち着かない様子だった。

 少しの考察の後、なるほどと納得する。

 自分のすぐ後ろには【聖女プリースト】である桐埼琴葉と【勇者】である言峰明が並んでいるのだ。

 生徒会長が持っていたメモから彼らもそれを把握している、早く伝説の職業の内容が知りたくてうずうずしているのだ。

 それに比べれば目の前の奴なんて眼中にない。

 結果として自分への注意が逸れたことが、賭けに勝った一因になったのだろう。

 運が良かったと彼らに感謝しておく。

 それではさっさと退散しよう。

 邪魔な自分モブは早くこの場から消えるに限る。


 ステータス公開が終わった集団に行くと後ろで「おぉ」とざわめきがこだまする。

 二人のステータスに驚嘆しているようだ。



■■■

【Name】 言峰ことみね あきら

【Race】 人間ヒューマン

【Sex】 男

【Lv】1

【Hp】 100

【Mp】 100

【Sp】 100

【ATK】 120

【DEF】 120

【AGI】 120

【MATK】120

【MDEF】120


■■【職業ジョブ】■■

【勇者】


■■【スキル】■■

<特殊エクストラスキル>

【聖剣術】Lv,1


■■【称号】■■

【異世界人】【勇者】


■■■



■■■

【Name】 桐埼きりさき 琴葉ことは

【Race】 人間ヒューマン

【Sex】 女

【Lv】1

【Hp】 100

【Mp】 150

【Sp】 100

【ATK】 90

【DEF】 90

【AGI】 90

【MATK】120

【MDEF】120


■■【職業ジョブ】■■

聖女プリースト


■■【スキル】■■

<特殊エクストラスキル>

【詠唱短縮】Lv,1


■■【称号】■■

【異世界人】【勇者】


■■■


「素晴らしいです! コトミネ様、キリサキ様、お二人の力で悪しき魔王に聖なる裁きを下してください!」

 王女が感極まったように言峰の手を取り頬をすり寄せている、その動作は長年の思い人を見つけたようで、見る人を美しいと思わせ引き込ませるものがある。


「任せてください、必ず魔王を私と言峰君で討伐して見せます」

 桐埼が言峰と王女の間に割って入りながら、堂々と宣言をして見せた。


「そうですか…期待させていただきます」

 王女はどこか残念そうに言峰を見つめる、対する桐埼は笑顔を崩さずにその視線と向かい合った。

 なぜか後ろに般若が見えるのは、気のせいだろうか?

「はい、行きましょう言峰君」

 桐埼は言峰の手を引いて、こちらの群へと歩き出した。


「またか…」

「まただ、相も変わらずあいつの周りは見てて飽きないねぇ」

 いったい何度目の掛け合いになるのだろう、彼の周りでの恋の戦争にクラスメイト達は暖かい目を送り続けていた。



◆◆◆



 自室に戻って再度思考を巡らせる。


 あの後クラス全員のステータス公開が完了し、一度お開きとなった

 王国側で各分野の専門家が集合し、職業ジョブに合った育成プランを考えてくれるらしい。

 それは嬉しい事なのだが、自分がそのプランで修行すると戦士ウォーリアでないことが確実にばれてしまう。

 何か手を打っておかないとまずい、非常にまずい。


 最善の策としては自分がクラスメイト達よりも強くなって、クラスの平均並みに貢献すればいい。

 偽装というスキルもあることだし、それなりに実力をつければ他の職業を演じ切ることだって可能だろう。

 適当な敵を倒して、魔王や四天王などといった強者は言峰に任せて後ろから見守っているというのが一番理想的だ。


 強くなるにはLv(レベル)を上げたり強力なスキルをとればいい。

『だがそれをどのようにすれば実行できるのだろうか?』

 王城内では人目につくだろうしやりにくい。

 それ以前に人並以上に強くなろうと努力すれば、クラスの中で注目される。

 ならばと王城から出て強くなろうとすればさらに目立つ。


 だとするならば導き出せる答えは一つ。


『王城ひいてはクラスの中で目立たない行動をしながら、王城の外で努力する。』

 これしかない。


 一見すると矛盾した答えとなっている…しかし、自分はこれを実行する手段がある。

「分身体を城に置いて自分自身は城を出るか…」

 放っておいても自立して行動してくれるし、何より意識がつながっているので逐一王城の行動を把握しやすい。

 まるでこのために用意したような特殊エクストラスキルだ、こちらの願望にあらゆる面で答えてくれている。


 作戦を決行するにあたって一番の問題は解決した、次の問題は自分がどうやってこの城から出るかが問題だ。

 それに城から出てどう動くのかも重要になるはずだ。

「課題が山積みだな...」

 今更ながらその壮大さにため息が出る、要は個人で国家を騙さなければならないのだから。


 鞄のノートを取り出し、そこにシャープペンシルで思いつく限りの論点を書き込んでいく。

 計画を練りに練りながら、召喚二日目の日を終えた。

主人公の目的がぶれてきた気がするのでひと段落着いたらここに修正加えようと思います。

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