静かなる怒り
シャノが村に戻った。村はもうけっこう破壊されていた。
「今頃戻って来たのか。もう終わりだよ!」
盗賊はシャノに言った。村人はもうタケル以外いなかった。シャノは怒った。
「てめぇら、よくもやりやがったな。」
この時のシャノの心情は村を滅ぼしてしまった時のようだった。シャノは能力を開放した。巨大な植物がシャノの周りに、タケルを守るようにして生えた。
「な、なんだこれは…。」
盗賊の大将はうろたえた。うろたえているうちに仲間はどんどん消えていった。
と、その時、タケルの胸を矢が貫いた。矢は盗賊の下っ端の放った矢であった。シャノは一瞬の出来事を信じれなかった。
「え………」
タケルの胸からは血が吹き出していた。
「おい、大丈夫か、タケル、なぁ。」
「ぐ、し、シャノ、ミコを、ミコを頼んだ、ぞ……。そしてこれは、お前への…プレゼントだ…前、言って、いたろ。欲しいって。こんな時になって、すまねぇなぁ。」
「もう喋るな、ミコは絶対に守る。そしてお前も…」
シャノはタケルを助けようとした。しかしその時はもう遅かった。タケルの命は終わっていた。シャノはどうすることも出来ず、立ち尽くしていた。
─────続く────
もう少しで完結します。