番外編、過去記
少々痛々しい表現がありますがご了承ください。
ある晴れた日の午後、少年は1人、森の中にたたずんでいた。少年には植物を生み出し、操るチカラがあった。そのチカラのせいで住んでいる村の人だけでなく、家族すら少年を気味悪がっていた。ふと、少年は背後から自分に向けられた殺気を感じた。森の中なので獣かと思い振り返ると村の人が農具や武器を持ってたっていた。その集団の先頭に両親もいた。
「シャノ、ごめんね。あなたがいると不幸になるの。だから、私たちのために、死んで。」
母からこんな言葉を聞く日が来るとは思っていなかった。母に続いて父や、村の人も同じようなことを言った。シャノは10歳だが、いつかこうなることは理解していた。シャノは口を開いた。
「ねえお母さん、お父さん。僕ってほんとに2人の子供だよね。」
母は言った。
「ええそうよ。」
「ならなんで助けてくれないの。みんなと違うってだけでなんで、なんで殺されなきゃならないの。」
その質問に対する返答はなかった。両親にとって自分は邪魔なんだ、シャノはそう思った。そしてシャノが何か言おうとした瞬間、村人達は襲いかかってきた。
五分後、シャノは血の海の中にいた。周辺の空気には微量ながら毒が含まれていた。村人は一人残らずシャノの手によって殺されてしまった。シャノは最後まで自分の存在を許し、庇ってくれる人はいなかった事に悲しくなっていた。
「みんな違うのに、一番変わっているというだけで邪魔者扱い。まるで違っていることが悪いことみたいじゃないか。……寂しいなぁ。」
そしてシャノは森の奥へと消えていった。