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パニック☆スター  作者: モエLOW
パニック☆スター2
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   スピンスター その3

・・・・・・。


 時間がどれだけ経ったのであろうか。小春は今も回り続けていた。時折夢の中にいたり、夢の中でも世界が回っていたけどーー多分何回か意識を失っていた。失っては、気持ち悪くて起きて、また失う。ループしていたのだ。

 慣れとは怖いもんだね。

 環境に適応しつつある小春がいたのだ。

 今は意識もはっきりしていた。目が回って平衡感覚を掴めないのは変わらないけど。

 気持ちも悪くはない。胃が空っぽになっただけかもしれないが、


 「ポジティブにいこう」


 きっと小春のレベルが急激に上がった。うん、そうしとこう。

 ポジティブにどんどんと前には進んでいる。運任せではあるけどね。それでも、数打ちゃ当たる戦法だ。


 「行けるとこまでぶっ飛ばすぜぇ」


 よりいっそう星の力を開放してスピードを上げた時、


 ドカッ


 「いてぇぇぇぇぇぇ」


 前方の障害物に当たって勢いが止まった。

 気合を入れ直した時にこれって、


 「ついてないなぁ」


 何かに激突した衝撃で体にも痛みが走る。


 「いてててて」


 体を摩りながら体を起こそうとするも、長時間回り続けていた小春は真っ直ぐ立てずに地面を転がる。


 「目が回って上手く立てない」


 地面なのか天井なのかも目が回りすぎてゴチャゴチャであった。なので、小春は立つことを諦め大の字になってじっとする。すると、耳に声が届く。


 「これは驚いた。スピンスターの迷宮をこうも早く攻略する輩がいるとは」


 太い声は男の人の声。スピンスターの住人? 


 「監視の目を掻い潜ってここまで来たとはやるな。監視カメラにはお前が近付いている映像は流れていない。誰かの手回しか」


 ここまで来れたと言っていたが、もしや・・・・・・。


 「強星を二つも相手にしているんだ。迷わせ続けることは無理だと思っていたがな」


 小春は起き上がる。


 「ゴールに着いたの?」


 目のピントが平常に戻っていくのが分かった。回る景色が停止する。


 「そう、ここはゴール。ようこそスピンスター本部へ」


 声の主は奥に立つ男。首には金ピカに光るネックレスがジャラジャラ、金ピカに光る腕輪に、全ての指に指輪。それもやっぱり金色だが、中石の部分には歯車の形をした石がついている。特徴的なのは、時折見せる歯も金ピカ。

 どれだけ金が好きなんだよ、と思いながら小春はゆっくりと立つ。

 見える景色は広い空間。広い空間の天井にはシャンデリアと思わせる装飾物があった。それは、大きく太くぶら下がる歯車であった。

 歯車の下には歯車を祈り祀るように、十人の人達が腕を天井に掲げている。その向こう側の男が小春に話し掛けているのだった。


 「いいだろう。ゴールに辿り着いた褒美をやろう。お前にはスティールスターとリンクスターの行く末を見届ける権利を与えようじゃないか」


 男の後ろにある大きなモニターの画面が変わった。


 「!?」


 流れる映像は、隊長と誰かが戦っている映像。時子ときねちゃんが横たわっていて、れんちゃんが倒れている映像。やよいちゃんがカッコイイメカと戦っている勇ましい映像?(嘘でしょう?)。留衣るいちゃんが見知らぬ人の後について行っている映像。小春が迷宮を走っている映像。色々とおかしい映像達が画面に分割され流れていた。


 「・・・・・・これは?」


 小春はここにいるぞ? いやいや、そこではなく・・・・・・。頭を横に振り男の言った言葉について考える。


 「行く末ってどういうーー」

 「炎魔によって仲間の命の灯火が消える瞬間を」


 男は言う。


 「さぁ、お前達最後の回転だ」


 男の合図に、歯車を掲げる人の手が光る。手に持つ物は男の指輪の同じ形の物。歯車の形をした石だった。

 これはスピンスターの欠片か? どういうこと?


 「ハハハハハハハハ、終わりだ」


 男の低い笑い声に合わせて、天井の歯車が回りだす。歯車が動くと部屋全体が横に揺れだしたのだ。


 「え? え? 何が起きているの」


 天井の歯車がゆっくりと回る。回る歯車と連動してこの地揺れが起きている。でも、小春は一体何をすればいいの? 


 『こはる!』


 途方に暮れる小春に聞き覚えのある声がした。


 「弥ちゃん?」


 どこから? 


 回りを見渡しても弥ちゃんの姿がなかった。突然の声に男の様子も慌ただしくなる。


 「どこだ?」


 男に応えるように弥ちゃんは言う。


 『歯車をとめろぉぉぉぉぉぉ! 小春の力で歯車を逆回転させるッス』


 言葉はモニター一杯を占拠した弥ちゃんから流れたものだった。


 「回線に入り込んだか?」

 『スピンスター長、金田定男かねださだお! リンクスターを甘く見るなッス』


 この男がスピンスターの長なのか。


 「遅いな! この小娘一人に何が出来る」

 『九仞の功をいっきにかく。その過信が命取りッスよ。弥達の光はまだ消えていないッス』

 「口だけでは何とでも言えるわ」

 『リンクスター一番隊所属、桃井小春を侮るなッス』

 「盛り上がっているところ悪いけど何で弥ちゃんが言うの? そこは小春が言うところだと思う」

 『文句の前に早く歯車を止めろッス! それが後一回転すると迷宮全体に炎が焼きまわるッス! そしたら迷宮にいる皆は終わりッス』


 連続で変わる対敵侵入者用防衛システムはこれを狙っていたのか!


 「それは不味い」


 時子ちゃんがいる十区住居地は安全だとしても、隊長や弥ちゃん、留衣ちゃんはまだ迷宮内だ。あれを止めないと皆が黒焦げになってしまう。

 スピンスターは回転の力。回せる方向は自分で決めれる。これを、歯車に向けて今回る向きと逆に回せばいいんだね。

 片手を天井にぶら下がる歯車に向ける。


 「星の力解放。スピンパワー」


 時計回りに回る歯車を小春の力で逆回転にして止める。小春にしてみれば造作もない。


 「まさか・・・・・・たった一人の力で・・・・・・」

 『見たか! 天才はここにあり』


 小春ここにありだよ。

 しかし、造作もない力でも押し戻せない。これでも結構な力を放出しているのだ。歯車下で両手を掲げる人達は、この男が長ならスピンスター兵と判断できる。その十人のスピンスター兵の力を上回れない。


 「むむむ」


 結構重い。まるで綱引き状態である。

 地味な絵面だが、やっている小春は結構キツかった。


 「どういうことだ! 何故、こんな小娘一人に・・・・・・。何をしたぁ」

 『最後まで油断するなってことッス』

 「弥ちゃん? ちょっと押し返せない。これ以上の星の力の増大には耐えれないかもしれない」

 『今行くッスから絶対にその歯車を死守するッス。皆の命が掛っているッスから」


 十人分の星の力を一人で受け持っている形となっている。小春自身の星の力の出し入れは自由自在だけど、体力があってこそである。呼吸と同じだ。普段何気なく息を吸う吐くの動作は体にとって負担にはならない。しかし、大声を上げたり叫んだりの急激な呼吸は体を極端に疲労させる。

 小春の体力が十人分ではない。長期戦になればなるほど不利だ。


 「弥ちゃん早く頼む」

 『分かっているッス。直ぐに向かうッスからがんばーー」


 弥ちゃんの言葉が途切れた。


 「そこまでだ」


 モニターの中央には石が突き刺さり割れていた。画面が黒い砂嵐を巻き上げプツリと映像が消えた。


 「回線の侵入とお前の不思議な力に少し焦ったが、別に焦る必要などどこにもなかったわ」


 見ると男は余裕の笑を向けている。


 「計画に支障はないのだからな」


 男は計画と言った。


 「計画って、サプリメントスターの欠片を偽物にして?」

 「あぁ、そうだ。サプリメントスターの欠片を偽物に変えれば食料輸出星の生産力を大幅に低下させれる。そして、輸出が困難になる頃に合わせて仕上げだ。サプリメントスターを証拠諸共抹消する。攻撃的なスティールスターを利用して」


 サプリメントスターとスティールスターの衝突にはそんな裏が隠されていたとは。二つの星を利用した計画は、自身であるスピンスターは手を下さない。


 「サプリメントスターに潜り込ませた部下によってスティールスターを攻撃。戦争の理由を与え、サプリメントスターがスティールスターによって消されて終わりだった。サプリメントスターが滅亡すれば真実は自ずと闇に沈む」


 卑怯で卑劣極まりない。


 「しかし、スティールスターの行動を未誤った。あろうことか、食いちぎる獲物と馴れ合いおって。御陰で強星二つが攻め込んでくる始末だ」


 淡々と喋る男には悪びれた様子は微塵もなかった。自分の目的の為に消えゆく星の事情など考えてもいない。自分のことしか考えていなかった。

 自分のこと、


 「市場を独占する為」


 時子ちゃんが言った内容。食料輸出星を潰し、スピンスターの食料を大量に広める。

 顔に自然と力が入る。小春の瞳の中には、男が顎を触り半開きになった口から金の歯がピカピカ光っているのが映る。


 「為は、全ては金の為さ。独占したいワケではないが、スピンスターの独占は金が大量に私の手の中に入る近道だ。食料輸出星が消えれば全宇宙で食料不足に陥る。それを大量生産が出来るスピンスターで満たす。金だよ、金金。私は金が大好きなのだよ」


 男は言うと、手を額に当て口調をガラリと変えて声を下げる。


 「失敗に終わったがな」


 しかし、失敗と落胆する男の口元が笑っていた。顔に手を当てている、指の隙間からは男のにやける目が見えた。

 それを見て小春は言う。


 「何を企んでいる!」

 「保険という奥の手は準備しとくべきだよな? あぁ、今や奥の手は切り札へと変わったがな」

 「切り札?」


 手を顔に当てる男は、今度は両手を広大に広げる。


 「そう、切り札だよ。スティールスターの襲撃が失敗した時の為に仕込んでおいた奥の手。サプリメントスターの欠片に毒をな。後は私の指示一つでサプリメントスターに潜む部下達が各星、計一三六星に出荷するのだ」


 最初は星の欠片ではない偽物で、奥の手に毒? 

 ここで小春の中に一つの疑問が浮かんだ。

 どうして毒が奥の手になるのだろう? っと。食料輸出星を落としたかったら、最初から毒物を輸出した方が早いのではないだろうか? そして、スティールスターにサプリメントスターを落とさせる。

 二重で手段を用意している意味が分からなかった。


 「今どうしてと考えただろう? 何故最初から毒を仕込まなかったのか」

 「うっ」

 「計画は至って単純だが、中身は至極複雑なのだよ」


 小春の考えが読まれていた。


 「少し説明してろうか?」


 小春をおちょくるように笑を向けて言う。


 「欠片を毒に差し替えるとな、誰でも気付いてしまうのだよ。肥料にしても餌にしても、使ったら急激な変化を起こす。気付かないバカはいないさ。それにだ、毒による恩賞も見込めない。全ての農作物、家畜に一気に使うとは限らない。一部の被害だけでは食料輸出星は落とせないさ」


 そうか。コットンスターのように餌に欠片を染み込ませる準備期間もある。毒なら、餌事態が腐ってしまうので気付いてしまう。


 「だから、星の欠片を只の偽物にして気付きにくいようにした。徐々に生産力を低下させて、下がりきった所でサプリメントスターを落とす。食料輸出星一位の崩落と、星の欠片の欠如。生産力が激減している時に、追討ちを掛けて重要である欠片がなくなる。肥料や餌全てを担っていた星の欠片の欠如は、また最初からそれを試行錯誤しなくてはならない。どん底に落ちている状況では挽回不能。再起不能になるワケだ」

 「だったらーー」

 「毒を仕込む必要などないわな。しかし、保険は必要と言っただろ?」

 「・・・・・・」

 「スティールスター襲撃が失敗した時に、欠片を毒に変えて出荷する」


 生産力が低下している星に、さらに毒による追い討ち。確かにこれでも再起不能にはなるが、


 「今、毒入りの欠片を出荷しても食料輸出星に呼び掛ければ止めれる。お前の言う奥の手は切り札でもなんでもない!」


 サプリメントスターから毒が輸出されても一三六星の多くの星だろうが、通信や連絡を入れれば食い止められる。


 「じゃー、どうしてスティールスターは戦っているんだろうな。リンクスターの長もだ」

 「どうしてって・・・・・・」

 「別に毒入りの欠片を使えとは言っていない。あくまでサプリメントスターが食料輸出星を落とそうとして出荷した事実が大切だ。それは、サプリメントスターの信用と信頼を全てなくす。結果、宇宙から疎外されて、崩壊するのだ。サプリメントスターとその他食料輸出星がな」


 でも、スピンスターが犯人な訳で小春達も知っている。


 「犯行がスピンスターと言えばーー」

 「無駄だ。いくら強星だろうが証言に力はない。強星が持っているのは武力による力だけ。真実を知っていようが、物的証拠がなければ一星の無駄意見にしかならんよ。物的証拠である輸送船などは輸送が完了次第部下諸共爆発させるから、スピンスターの犯行とは誰も思うまい。あぁ、念の為に、スピンスターも被害を受けたと被害者面でもしていれば完璧だな」


 すると、男は壁に立て掛けてある鍬の所まで行き、それを手に取る。


 「ここでようやくお前からも奥の手から切り札になった」


 鍬を持ち小春の立つ場所まで近寄ってきて、男は鍬を持ち上げる。

 男の行動は分かる。小春は片手で歯車を止めつつも、腰のナイフをもう片方の手で掴み、

 キーン

 鍬をナイフで受け止める。

 そうだ、さっきも奥の手から切り札になったと言っていた。と、考えつつも男の鍬の重みと、星の力で歯車を止める重さ、ダブルの重さに踏ん張るしか出来ない。


 こ、これは、かなりキツイ・・・・・・。


 「どうした? もっと力を込めんか? お前の首が跳ぶぞ?」

 「う、くぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」


 男が遊ぶように力を強くする。それに伴い鍬の歯が小春の顔面に接近する。


 「あっ、お、おもい」

 「もう少し、絶望を与えよう」


 男が叫ぶ。


 「お前達、欠片の力を増大させろ」


 言うと、歯車を掲げるスピンスター兵の手に欠片が追加される。同時に、歯車が小春の望む方向とは別の向きに、正常に回り出す。

 小春が出す星の力を、欠片の増大で上回ったのだ。


 「うぐぐぐぐぐぐ」


 押し返されている。徐々ではあるが、歯車が回る。大幅な力の増大によって、小春の力では止められなくなってしまった。

 しかし、まだ、まだだ。

 希望は捨てちゃぁいけない。諦めてはいけない。粘って、粘って、粘ってみせる。だって、


 「み、み・・・んな」


 重さで声が沈む。

 だけど、


 「皆、皆、頑張っているんだ。・・・・・・、それを、こんな卑劣なやり方で」


 コットンスターやブレイブリースターの民達はどん底に立たされていても、這い上がろうと必死に汗水垂らして歩いていた。


 「誰のせいにもしないで、自らの力で立て直そうとしていたんだ」


 それを、それを、


 「踏み躙るな!」


 皆が諦めないで頑張っているなら、小春も最期まで頑張る。

 言い切った小春に、男はあざ笑うかのように言い放つ。


 「お前の行動次第で、今にでも毒を出荷してやろうか?」

 「ど、どくを?」

 「言ったであろう? 奥の手から切り札に変わったと。お前らが来たことによって、毒の出荷はお前らの行動を制限する切り札へとなった」


 な、なに?


 「俺が親切丁寧に計画の全貌を話すと思っていたか? そう、お前は頭が足りなかったようなので説明する必要があった」


 男の力に負けて小春の膝が地に着き、鍬が目と鼻の先まで近付く。

 もう後がない。後がないのにプラスされ、


 「計画の全貌を知ったからこそ、武器を捨てて大人しく死ね」


 更なる絶望。このまま、踏ん張っていても男の力に押されてエンド。そして、毒の出荷を防ぐ為に踏ん張り禁止令。


 「俺は本気だぞ? 毒の出荷の危険性は存分に理解出来ただろ?」

 「ほ、ほんきって、ど、どくを出荷した地点で、小春達を抑えつけとく枷は、な、なくなる」


 ハッタリだ。そう、思いたかった。

 男は鍬を両手持ちから片手持ちに変更し、懐からボタンの沢山付いたリモコンを小春に見せつける。


 「チキンレースといこうじゃないか! 最後を飾るには実に面白いとは思わないかね?」


 リモコンを持つ男の指が、ボタンの上に乗る。


 「押した瞬間に広域に特殊な電波が発信される。それをキャッチした部下が指示通りに動く。どうだ面白いだろ」

 「や、やめろ」

 「やめてほしければ武器を捨て、おかしな力を止めろ」


 武器を捨て、星の力の放出を止めれば男の思うが壷。だけど、このまま踏ん張っていて、もしも毒を出荷されたら大変な事態になる。

 どうすれば・・・・・・。

 どの選択肢でも待っているのは食料輸出星の崩落。


 「いいのか? お前は食い止める為にここにいるのではないか? それを、自らの意思で棒に振る。まぁ、それもいいだろう」


 男の指に力が入るのが分かる。これは脅しではなく本気だ。そう感じ取れたのだ。

 その時だった。男がボタンを押そうとした間際に、小春の良く知る声が空間に響いた。


 『こはる!』


 声は男の注意を引きつけた。小春も同じく声に導かれて、横を向く。


 「小春に何やっているんだぁ!」


 留衣ちゃんの登場だった。その後ろには小春の知らない人が三名。それは置いといて、留衣ちゃんが背中に掛けてあるスティックを掴み走ってくる。眉間にしわを一杯寄せて男を睨みながら。


 「今日は餓鬼が多いな」


 留衣ちゃんが持つスティックが光を帯び始める。

 これは、いろんな意味で不味い。留衣ちゃんが戦ってはいけないこと、攻撃的になった留衣ちゃんを見て男がボタンを押すこと。

 だから、小春は精一杯の声で叫ぶ。


 『止まって留衣ちゃん!』


 小春の壮絶なる叫びは留衣ちゃんの足を止める。


 「でも、小春が・・・・・・」

 「小春は大丈夫だから」


 どうしようもない場面でも諦めない心は消えていない。だから、大丈夫。


 「ふんっ! まぁ、いい。ここで時間を割く必要もない。ここに居る奴らは何とかなるだろう。いつもまで切り札として持っていても仕方がないしな」


 男が留衣ちゃんから小春の方に振り返ろうとした瞬間。

 一瞬の隙だった。留衣ちゃんが作った隙。

 男のボタンを触る指が数ミリだが、離れたのだ。それを小春は見逃さなかった。

 ここしかない。

 小春は鍬を片手で支えながら、回る歯車を必死で食い止めながらも、ほんの少しだけの星の力を片手ナイフ側の手に込めて、


 「ターン」


 リモコン目掛けて放った。


 「な!」


 驚く男の手の中をリモコンはクルクルと回る。そして、リモコンは男の手から離れて、地面へと転がり落ちた。


 「小癪な!」


 男が声を発すると同時に、小春の横腹に衝撃が走った。鈍い音は男の足スネが小春の横腹にヒットした衝撃。


 「つっ」


 衝撃で歯車を止めていた力が離れて、小春は転がる。しかし、痛んでいる暇はない。小春の目には男が転がるリモンコンに向けて走り出していた。

 小春の力が無くなったことにより歯車が平常に回りだす。どうすると考えるよりも先に体が動く。思考は動いた直後にやってきて、

 まずはリモコンだ!

 倒れた体を起き上がらせるのではなく、うつ伏せの状態から片足のつま先と片腕に力を入れて、倒れた状態から走り出す。獣のように、両手、両足を使い助走して、加速に合わせて上体を上に起こす。


 「させない!」


 上体を起こした時には、男はリモコンを拾う為に前かがみになっていた。だから、小春は星の力を解き放つ。男に向けてだ。


 「スピン」


 リモコンに手を伸ばす男の足が後ろへと上がり、前かがみになっていた上体も前転する。星の力は男を縦に回転させ、リモコンの場所から通過させる。三回と前方に回転させると、


 「ふざけるなぁ!」


 男の顔から余裕は消えていた。切り札であるリモコンを手放されてだ。

 この距離なら奪える。

 転がった男は切り札であるリモコンから距離が開く。加えて、止まっている男に対して小春の走りはトップスピードに到達している。地面に落ちるリモコンまでは後少しだった。早くリモコンを回収したい気持ちから、小春はリモコンに向けダイブをする。


 「グランドセレモニー」


 ダイブした小春の指先にリモコンのカド部分が接触したが、男によって遮られた。

 男の指にはめてある指輪の数々が光りだしていた。男は言葉と共に両手を地面に付けて、リモコンが落ちてある地面付近を回転させた。もう少しの所で掴めたリモコンが地面ごと吹き飛ばされる。小春も巻き込まれて宙に浮く。リモコンを中心に円形に形どった地面が回転する。最初は一つの円形の地面だったが、回転することにより空中で分裂して破片になる。そして破片もクルクルと高速回転して、小春の体を襲う。


 「くっ」


 攻撃はそれだけではなかった。地面の回転は床下をも抉り取る。それは、地面の崩壊。下にも通路が存在しているらしく、ポッカリと空いた穴は小春を場外に退場させる。空いた穴に吸い込まれるように降下する小春。目には、リモコンが男の元へと弧を描き飛んでいる光景が映る。

 空中では身動き出来ない。後は自然の摂理に従って落ちるのみ。

 後少しのところでリモコンを奪えたのに、と悔やんでも悔やみきれない。

 しかし、最期の最期まで粘った小春の意地は無駄にならなかった。それは、


 「小春! よく頑張ったッス!」


 弥ちゃんの声が小春の体を押し上げたのだ。


 「弥ちゃん!」

 「グッジョブッス!」


 落ちる小春の体が、下から上がってくる物体の上に乗ったのだ。物体は、胴体内部が剥き出しのカッコイイメカ。それが下からジャンプしていた。

 中には弥ちゃんと、


 「どうも、舵機かじきと言います」


 操縦する舵機ちゃんがいた。

 一回落ちた小春は弥ちゃん達の下からの登場で、再び男がいる空間まで持ち上げられた。

 援軍の登場程嬉しいものはなく心強い。

 ポッカリ空いた穴から小春達を乗せたメカが上昇すると、弧を描くリモコンに手を伸ばす男の姿があった。リモコンは手の中に入り後は掴むだけの状態。

 本当に援軍は心強い。

 男の後ろに音も無く立つ一人の女の子がいた。


 「スティールスター音組・組長、音無音々(おとなしねね)さんです」


 舵機ちゃんは言う。

 舵機ちゃんが言う音々ちゃんは、リモコンを掴もうとした男を両手に持つ短剣で切り刻む。


 「ぐはっ、いつの間に・・・・・・」


 男はリモコンを掴むことなく地面に倒れ込んだ。同時に小春達を乗せたメカはドンと音を立てて地面に着地した。リモンコンは遠くに転がる。

 毒物出荷の脅威は消えた。でも、


 「はぁはぁ、まだだよ弥ちゃん! あれを止めないと」


 歯車は回り続けている。このままでは、隊長とかが危ない。助ける為に小春は立ち上がろうとするも、クラッと一瞬だけ世界が歪んだ。立ちくらみのように、膝が曲がり頭が下がる。


 「小春?」


 弥ちゃんが倒れる寸前で体を支えてくれた。


 「はやく、はやく、止めないと」

 「それはそうッスが、力を酷使しすぎッスね」


 小春の体が限界寸前だった。今になって限界の症状が遅れてやってきたのだ。


 「はぁ、はぁ、はぁ」


 長時間に渡る迷宮探索の際に使った星の力。歯車を止める為フルパワーでの星の力の使用。体力を空っぽにするには十分だった。


 それでも、止めなくては。


 弥ちゃんが支える手を振り払いもう一度立ち上がる。星の力を吸収して、天井にぶら下がる歯車に集中する。そして、力の解放。


 「うおぉぉぉぉぉぉ」


 小春の体内から力が解き放たれる。力は、回る歯車の逆回転の力。時計回りに回る歯車は徐々に勢いを弱めーー、


 「止まらない!」


 小春の今の体力では歯車の回転を弱めるだけしか出来なかった。体力の低下は制御出来る星の力を減少させる。

 放出が弱い。

 力の放出出力を上げようとしても、意思とは裏腹に放出が弱まってくる。


 「歯車が一回転するッス。舵機! メカメカデラックスで歯車を回している奴らをやっつけるッス」

 「まっかせろぉ!」


 弥ちゃんの言う通り、歯車は後数センチで一回転に達する。弱まる力では回転の力を少し抑えているにすぎない。

 弥ちゃんの指示で舵機ちゃんがハンドルを動かして、メカの腕部分を操作する。力を使っているスピンスター兵に向けて腕を上げると、手の甲から丸い筒のような物が飛び出る。それは銃口で、舵機ちゃんがハンドルにあるトリガーに指を掛けて引く。

 銃口からは、バババババババババ、と激音を鳴らし銃弾が発射される。が、なんとメカの立つ地面が傾いた。


 「ああああああああああああ」


 叫ぶ声は男の怒声だった。男は這い蹲りながらも、地面に片手を置きスピンスターの星の欠片を使ったのだ。

 怪我を負いながら、なんという執念。

 メカが立つ地面が半回転した。半回転した地面によって、メカから発砲された銃弾の軌道がズレて的を大きく外す。


 「外れた!」


 メカは地面の半回転によってバランスを崩し、横向きに倒れ込む。乗っていた小春と、弥ちゃん、舵機ちゃんはメカから外に放り投げ飛ばされる。

 ドテッ、と音と共に転がる三人。弥ちゃんと舵機ちゃんは転がるままに体を地面につけるが、小春は力の放出を維持したまま、片手を地面に突き出し一回転して足裏で地面に着地する。


 「何やっているッスか舵機!」

 「私としたことが。的に集中しすぎていてメカの操作を怠りました。面目ない」


 倒れながら嘆く二人。


 「・・・・・・・・・・・・しまった!」


 音々ちゃんは歯車を止める為に、力を使うスピンスター兵まで走っていた。しかし、男を放置したこと、急なアクシデントにこちらを振り返ってしまうこと、全てが裏目に出てしまっていた。

 一旦止まってしまった音々ちゃんからの距離ではもう間に合わない。そこまで歯車の回転はギリギリの所まできていたのだった。


 「お願いだから、もっと力をでてよ!」


 小春の強い思いでも、力の放出が上がらない。本当に限界寸前。


 『俺の勝ちだぁぁぁぁぁぁ!』

 『止まれぇぇぇぇぇぇ』


 男の叫びと小春の叫びがぶつかる。ここ空間に二人の叫び声と、歯車がギシギシとゆっくり回る音が交差する。

 その刹那。交差する音を打ち消すように、轟音が空間中を支配した。


 ゴォォォォォォォ


 一室出入口から凄まじいジェット音をかき鳴らして入場してくる機体が一体。


 「でかした機人きじん! その歯車を止めるッス!」


 機人が猛スピードで低空飛行している。弥ちゃんの指示に機人は低空飛行から歯車に向けて急上昇。歯車が一回転する寸前の寸前で、機人は歯車を食い止めた。体を平行にして歯車に両手を突き出し、足から噴射するジェットで押し返す。

 機人の御陰で間一髪止まった。

 小春の星の力の放出と、機人の押し返しで、力が均一になる。歯車がピタリと止まるのだった。


 「くっそぉぉぉぉぉぉ! お前ら何をしている! もっと、もっと力を増大させろ!」


 そして、機人が入場してきた出入口から新たな入場者の追加。

 一人はチャイナドレスを着用している美人に、もう一人は魔女の格好をした人。

 二人は走りながらも周りを見渡し言う。


 「あのメカを追い掛けていたら変な場面に遭遇したさ? どういうこと?」

 「分からないネ」


 戸惑っている二人に舵機ちゃんが叫ぶ。


 「風華ふうかさん、祐巳ゆみさん。歯車下にいる奴らをコテンパンにしてください」

 「舵機か。どうしたネ?」

 「いいから早く!」

 「よく分からないが、行ってこい風華!」

 「祐巳も行くネ」


 チャイナドレスの人は魔女の人を掴み走り出す。歯車下に手を掲げているスピンスター兵十人に、チャイナドレスの人と、魔女の人、音々ちゃんの三人が突進。


 「・・・・・・・・・・・・心臓に悪い」

 「おい音々、状況を説明しろさ」

 「・・・・・・・・・・・・無駄口無用」

 「取り敢えずこいつらをぶちのめせばいいネ?」

 「・・・・・・・・・・・・そう」


 三人は声を掛け合い動き出す。

 音々ちゃんは手に持つ短剣で、一振り、二振り、三振りと、三人の無防備である兵を切りつける。

 魔女の格好をしている女の子は、無防備である兵三人に向けて箒の先端から小さな針を幾つも放つ。針が刺さると、三人の兵は急に苦しみ出し地面に蹲った。

 チャイナドレスを着ている女の子は、そのまま突進してジャンプ。まず、一人の兵の顎目掛けて飛膝蹴りを直撃させる。着地と同時に隣にいる兵に飛び掛り、足裏を兵の胸辺りにぶつけ吹っ飛ばす。すると、ネックレスが光りだし女の子の両手に風が集まる。その両手を広げ、左右にいる兵二人に向けて風の塊を放った。風の塊は左右一直線を走り、兵二人を風に乗せて吹っ飛ばした。

 そして、ものの数秒で全員の兵を倒したのだ。

 今まで均衡を保っていた歯車の回転が、兵による力の欠如により反時計回りに動き出す。


 「止めろ・・・・・・止めてくれ。歯車を逆回転させることはスピンスターの崩壊を意味する。私が築き上げた財産を壊すな」


 男に今までの威勢はなかった。消沈する表情に哀れな声。


 「私の護衛はどうした? 早く、早くここに来い。早く来てあいつらを止めるのだ」


 男の見苦しいとも言える言葉に音々ちゃんは応える。


 「・・・・・・・・・・・・あなたの部下は誰一人ここには来ない」

 「なに?」

 「・・・・・・・・・・・・全員始末するのに手間取って遅れた」

 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 奥の手でもある切り札も、自身の護衛でもある兵達も、全てが男の手からなくなり無念の声と共に崩れ落ちた。

 後は、本当の本当に仕上げだ。

 見上げる天井に飾る、歯車の存在。

 小春は両手を歯車に向けて掲げる。


 「小春大丈夫か?」


 留衣ちゃんがか細い声で言ってきた。知らぬうちに小春の後ろにポツンと立っていたのだ。


 「うん、大丈夫だから」


 残り僅かな気力を振り絞り、もう一度星の力に集中する。空っぽになりつつある星の力を補充。小春の至る所から星の力が水のように流れ込んでくる。それを今度は一気に吐き出すのだ。


 「弥ちゃん! 機人をどかせて」

 「了解ッス。おーい、機人戻ってこーい」


 弥ちゃんの指示で、機人が歯車から離れる。


 よし。行くぞ!


 機人が離れたのを確認して、星の力全てを放出する。


 「回れ、メリーゴーランド!」


 ゆっくりと反時計回りに回っていた歯車が、星の力に当てられて徐々に加速する。小春は前に出す両手を交差させて、パッ、と交差の状態から振り広げた。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


 瞬間に歯車が高速回転する。


 「やめてくれ、スピンスターが、スピンスターが・・・・・・」


 涙ぐむ男を無視して、歯車に同調してボロボロと天井が落ち始める。ガタガタと揺れも大きくなり、立っていられなくなる。


 これで、これで、終わりだーー


 小春の視界が歯車から、真上の何もない天井に移行する。体が意思とは関係のない動作をした。体を支えていた足の力がスゥーと消えた。体が後ろに引っ張られるように倒れる。


 「小春!」


 倒れた筈なのに固い地面の感触がない。ある感触は温かいく柔らかいクッションのような物。

 見える景色は崩れる天井を遮る留衣ちゃんの顔。

 あぁ、留衣ちゃんが支えてくれたのか。


 「小春? どうした?」


 泣きそうになる留衣ちゃんの頭を撫でる。


 「うん、ちょっと疲れたのかも」


 体に力が入らなかった。立つ力も残っていない。今回はハードだったからな。

 小春の感覚がだんだんと乏しくなっていく。意識がぼやけて、音も遠くなってくる。


 「小春が、小春が」


 頭をグラングラン揺すられる。


 「えーと、あまり頭を揺らさない方がいいのでは?」


 聞こえる声は舵機ちゃんだった。


 「だってだって、顔が死人のようで」

 「分かりましたから、動かさないで」


 止めてくれる舵機ちゃんには後でお礼を言わないと。


 「ヒィーヒッヒッヒッヒッ。さて第二戦でもおっぱじめるさね」

 「やはりそう来るッスか、スティールスター! 機人戦闘準備ッス。ってあれ? 機人がかなり損傷しているみたいッスが・・・・・・」

 「それは風華がやったさ」

 「私か? 祐巳だって少しはやったネ」

 「最悪ッス! 機人の修理費だってバカにならないッスよ! 修理費だせ!」


 何やら騒々しい雰囲気。けど小春の視界は閉ざされ、もう微かな音しか聞こえてこない。


 「ほら風華、修理費出せとさ!」

 「何でそうなるネ! 今月は結構ピンチだからお金ないネ。ってちがーう。今から倒す相手に金など払う必要ないネ」

 「お金を踏み倒すとは根性が捻くれ曲がっているッス! お前らに誇りはないのか!」

 「くっ、分かったネ。修理費は出すネ。いくら出せばいいネ」

 「宇宙船五隻ぐらいのお金ッス」

 「ねぇーよ。一個人が持てるお金の額じゃないネ」


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


 「おいお前ら、あたいは今日凄い疲れたから早く帰りたい」

 「流石悪流あくるさん。この状況であくまで自分のことしか考えない自己中さ。尊敬します」

 「私らはついて行くお方を間違ってはいなかったようですね」


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


 「・・・・・・・・・・・・これやばくないか?」

 『?』

 「・・・・・・・・・・・・ここ崩れるぞ?」

 『!』

 「皆さん早くメカメカデラックスに乗ってください。ここから脱出します」


 バタバタバタバタ


 「うぎゃー、歯車が落ちてきた。あぶねーじゃねーか。あたいに当たったらどうすんだよ」

 「・・・・・・・・・・・・取り残された皆は?」

 「途中で拾って行くから心配無用です」

 「お前らリンクスター勢が何で乗っているさね。降りろ」

 「こんな迷宮弥の頭なしで無事脱出出来ると思っているッスか? 歯車が止まっているならここにある地図も使えるッス」

 「ーーしょうがないさね」

 「いいから早く行けよ舵機」

 「重量オーバー」


 楽しそうで何よりであった。




 途中で意識を失い、起きた時にはつばめ号で宇宙に飛び立っていた。

 弥ちゃん曰く、全員無事に脱出したと言っていた。つばめ号船内には、隊長と弥ちゃん、留衣ちゃんしか乗っていなく、他の皆さんは崩壊したスピンスターで別れたとか何とか。スティールスターはそれから闘争もなくあっさり引いてくれたみたい。時子ちゃんも任務の報告があるから「小春に宜しく」と言って帰っていったと。しかし、本当は怪我をした姿を小春に見せたくなかったんじゃないかと弥ちゃんは言う。副長との戦いは無傷では済まなかった。小春よりも時子ちゃんの方が重症だったと。そして、隊長もである。スティールスターの長と殺りあった隊長は、小春が目を覚ました時には包帯グルグル巻きで眠っていた。手当て後でも戦闘の激しさが伺えた。

 隊長が休養中の船内は慌ただしい空気が流れていた。いつも面倒くさいとしか言わない弥ちゃんも珍しく積極的に働いてた。任務の報告やスピンスターの処遇に追われていたのだ。小春も手伝いはしたが、殆ど弥ちゃん一人でこなしていた。やっぱり、いざという時の副長である。

 スピンスターの今後は長の逮捕と迷惑を掛けた星に賠償でかたが付きそうであった。スピンスターの存続も懸念されたが、どうやら立て直しは可能。農業技術は決して低くはなく、星の立て直しは次期頭首次第だと。

 後処理に追われて一週間が過ぎた頃に隊長も立てるぐらいには回復した。それからは、隊長も業務に復帰して後処理に目処が着いた。目処が着いた辺りにコットンスターとブレイブリースターからお礼の通信が飛んできた。

 内容は、シーズニングスターへの招待状だった。

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