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葵、19歳 フリーター2
可愛いらしい音と一緒に、テレビ 画面の上の方が邪魔される。
「なんだって?」
「南のほうで、大雨注意報だって。」
隣で携帯の操作に夢中になってた妹が、それを読み上げる。
「てか葵、メガネしなよ。」
「えー、じゃあ探すとこから手伝って」
「はあ?」
怪訝な顔で、こっちを向く妹の愛。
「そんなに見えないわけ?」
「まさか。やる気の問題。」
ぶつぶつ文句をいいながらも、周りに散らばってる雑誌を持ち上げて探してくれる。
わざと偉そうに誉めてみると、そのまま雑誌を投げつけられた。
「いい加減、コンタクトにすれば?痛くないよ。」
偽物の青い瞳を指差して、愛が言う。
「嫌だよ、面倒そうだし。」
「私は、このぼやけた視界も割りと気に入ってるの」
「毛穴とか見えないから?」
「そんな感じ」
よく見えすぎるのも、困りものでしょう?