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そこに置くと、なくなる

作者: Wataru
掲載日:2026/02/15

最初は、リモコンだった。


テーブルの端に置いたはずなのに、気づくと消えている。


ソファの下や棚の裏を探すと、別の場所から出てくる。


まあ、よくあることだと思っていた。



次は、鍵だった。


玄関の床に置いた記憶はあるのに、見当たらない。


結局、翌朝、寝室の机の上から見つかった。


自分で移動させたんだろうと思った。



だが、同じことが何度も続く。


物がなくなる場所は、決まっていた。


リビングの床の、ある一角。


そこに置いた物だけが消える。


試しに、ボールペンを置いてみた。


翌朝、やはりなくなっていた。



気味が悪くなったが、好奇心もあった。


ある夜、スマホをその場所に置き、離れたところから様子を見ることにした。


動画を回しながら。


何も起きない。


五分。


十分。


やっぱり気のせいかと思い、スマホを拾いに近づく。


しゃがみ込み、手を伸ばした瞬間だった。


床の隙間から、


黒ずんだ指が一本、にゅっと出てきた。


そして、スマホを掴み、下へ引きずり込もうとする。


息が止まる。


慌てて引っ張り返すと、指はするりと床の下へ消えた。



翌日。


床を確認した。


どこにも隙間なんてない。


動画も、途中から記録が消えていた。



それ以来、その場所には何も置かないようにしている。


だが最近、気づいた。


物が消える場所が、


少しずつ、


ベッドの方へ近づいてきていることに。

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