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サクサク読める短編集

異世界専門クレーム受付サービス

作者: 2626
掲載日:2026/02/07

 ここは異世界専門のクレーム受付サービス。

今日も電話がピピピ!と鳴ったのを、私こと新人のクロが確かに引き受けました。




 「はい、こちら異世界専門のクレーム受付サービス担当のクロと申します。お客様のご用件は何でしょうか?」

『お願いします!助けて下さい!僕の姉が悪役令嬢にされそうなんです!』

おや、急ぎのご用件のようです。

「承知いたしました。まずはお客様のお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

『……フォ、フォーデです。トマス・フォーデ。エルファ王国の、一応、公爵家の者です』


 ……知っています。

国王夫妻が病なのを良いことに、(アホバカクソ)王子が好き勝手しているらしくて、私達にとっても要注意対象なのです。


 「エルファ王国のフォーデ公爵家のトマス様ですね。それで、詳しいご事情をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

ありったけ優しい声で私が訊ねると、電話の向こうで声変わり前の少年らしい彼は鼻を啜りました。

『姉は……トマシンは……弟の僕が言うのも変なのですが、勝ち気な人です。でも決して、人の心が分からない人でも無いし、細やかな気遣いだって出来る人なんです。

けれど王子達にしてみれば、何かと口煩い姉が邪魔になったのでしょう。今日の夜会で姉を追い詰める計画を立てているそうで……』

「それは一大事ですね。でも、貴方のご両親は何をしておいでなのでしょうか?」


 少年が嗚咽のような泣き声を出しました。

家族の事を思い出したことで、心が折れかけているのでしょう。


 『僕の両親は、王子達が仕出かした外交上の失敗を挽回すべくまだ隣国にいるんです……!勿論急いで使いを出しましたが、戻ってこられるのは最短で明後日なんです!』


 うわあ。

本当にろくでなしですね、王子達。


 「そうだったのですね……。事情は承知いたしました。お客様のご意見に迅速に対応すべく、もう何点かこちらから質問をしてもよろしいでしょうか?」

『は、はい……勿論です!』

私は落ち着くために深呼吸をしました。

「まず、王子達とトマス様の姉君の関係が、どうしてそこまでこじれたのでしょうか?理由を教えては頂けませんか?」

『……姉は、異世界法で固く禁じられている【勇者召喚】に大反対したんです』


 これまた……とんでもない単語が出てきました。

元々がエルファ王国は要注意対象でしたが、これは……即座に私達も対応しなければならない緊急案件です。


 『僕も勿論反対しました。でも、王子達は何も聞いてくれなくて……』

「なるほど……それは本当に大変でしたね……。ではもう一つ。夜会で王子達はどうやって姉君を追い詰めるつもりなのでしょうか。トマス様がご存じでしたら教えて頂けませんか?」

トマス君は悲壮な声で言います。

『宰相閣下が密かに教えて下さいました。王子にたてついたと言う事で、姉を犯罪者に貶めて国外追放にするつもりなのだと……!「急いで逃げなさい」と言われましたが、領地は遠いし、何処に逃げれば良いのかも分からなくて……』

「承知いたしました。では、これが最後の質問です。貴方は今、何処からこの電話をかけていますか?」


 場合によっては急いで天使を現地に派遣して、彼らを保護しなければならない案件です。


 『えっ?王都の大教会からですけれど……?その、すみません、「電話」って何ですか?もうどうしようもなくて、姉と一緒に女神に祈りを捧げに来たら、突然、貴方のお声が……頭の中に……』


 ぎゃっ!!!!


 「あ、いえ!何でもありません!『電話』の事は忘れて下さい!良いですね!?忘れて下さい!」

『は、はい……はい……分かりました』

「それでは、異世界専門の(女神)クレーム受付サービス(への祈り)――貴方のご意見とご用件は確かに聞き届けました。勇気を持って今日の夜会に臨みなさい。私達の加護があなた方の上にあります」

『あ、ありがとうございます!ありがとうございます!!!』




 電話を切った後、私は実働部隊であるムッキムキの天使部隊にエルファ王国への緊急派遣をお願いして、ふう、と一息つきました。

いやー、一時はヒヤッとしましたが、これでどうにかなりそうです!

今日の夜会は、王子達が調子に乗っている所にムッキムキの天使部隊がカチコミをかけてコテンパンに懲らしめると言う『地獄』……もとい、『修羅場』になりそうですね!


 私が安心してお茶菓子のお煎餅に手を伸ばした瞬間です。


 「――クロさん」

「ぴゃあああああああああああああああああ!?」




 とっても偉い御方の跡取り娘様であらせられる、マロ先輩が私の背後で腕組みをして仁王立ちしていました。


 ……これは、私、死にましたね……。


 「貴方……何をやっているの?入りたての新人だからって、神界の機密情報を漏洩して良いと思っているわけ?」

「誠に申し訳ございません……!」


 ここは謝るしかありません。

だって、私が巨大ポカをやらかしたわけなのですから……!


 「ハァ……トマス君の記憶の改ざんと消去も忘れずにね。それと業務中の過度な飲食を慎むこと。――クロさん、返事は?」

「はいいいいいっ!!!」

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