6:太陽と、説明と昼食。
遅くなりました・・・。
短いです、マジで。
ごめんなさい。
「つまり、君はあの時の子だったのか。」
「そう。」
今俺たちは屋上に丸く座って昼食を食べながら俺にいきなり抱きついてきた銀髪少女、水無月薫に説明を受けている。まあ、言葉数が少ないので俺が質問しているのだが。
質問に答えていくうちにどうやらこの子は朝夢の中で出てきた子であったことが判明。・・・確かに銀髪を珍しがって近づいて一緒に遊んだ記憶はある。
「しかし太陽、お前スゲえな。あの水無月グループのご令嬢さんと知り合いだったとは。」
蓮だけでなく、皆そのことに驚いていた。うん、俺も。あのときは俺も子どもだったからどこの子なんて気にも留めずにただ一緒に遊んでただけだからな。
そういう水無月グループっていったら日本の中で五本の指に入る大企業。いろんな職種に手を出しているし、傘下の企業もとても多い。年間何十億と稼ぐ経済界の大御所だ。
「まあ、ただ一緒に遊んでただけだけどな。」
「でもいつ遊んでたの?私、知らないんだけど・・・。」
月夜が怪訝な顔をする。確かに月夜は俺の幼年期からの親友だ。ほとんど毎日遊んでいた仲なのに薫を知らないことを疑問に思ったのだろう
「ああ・・・っと。確かお前子どもの頃一週間くらい旅行行ってたろ?」
「え、あ、うん。」
「その時薫に出会ったんだよ。お前がいなくて暇してたからな。」
そう、あのとき俺の家の近くには友達は居なかった。俺は少し遠くの幼稚園に通っていたため休日ともなると暇でしょうがなかったのだ。ちなみに花恋たちとは小学校からの付き合いだ。
「へえ、そうなんだ。」
月夜も納得した様子だった。
「ところで薫とやら、君は武道をやっている、もしくはやっていたな?」
ふと、花恋が繰り出した発言に俺たちはまたか、と思った。
「柔道と合気道をやってた。」
案の定やっていた薫。てか、やってたのかよ。
「では・・・一度、手合わせ願いたい。」
花恋はそう言って真剣を抜く。
そう、彼女は言うなれば戦闘狂なのだ。相手の武道の経験を一瞬で見破り、手合わせを申し込んでくる。しかも一定以上の実力がある者をだ。彼女曰く、「弱いやつを倒しても意味がない。強い者と闘い己を磨くのだ。」 ちょっとおかしいですね、分かります。
くいくい。すると薫が俺の制服のすそをつかんでくる。
「どした?」
「・・・怖い。」
そう言って薫はぎゅっと抱きついてきた。まあ、そりゃ怖いわな。いきなり真剣で試合したいとか言うんだもの。・・・てか薫俺に抱きつきすぎじゃね?しかもなんか抱きつくと月夜の視線が鋭くなるし。あ、目が合った。それも一瞬でふいっと横を向いて口を尖らす。ふむ・・・これは拗ねているな。あとであいつの好きなパフェを奢ろう。金銭的出費は痛いが止むを得まい。幼馴染とは仲良くやっていきたいからな。
流石に手合わせは忍びないので花恋を説得する。
「別にいいだろ、手合わせなんて。」
「いや・・・うん、どうやら私は君に負けてから大分焦ってるようだ。武士たるもの心を乱されてはいけないというのに。すまない、薫殿。」
うん、分かってくれて何よりだ。
「別に・・いい。」
薫のほうも快く花恋を許した。まあ、闘ってもいい勝負にはなるだろうけどな。手や体裁きを見た感じ、どうやら薫はかなりの実力のようだし。
何はともあれ、一件落着。