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3:太陽と、登校。

結局月夜と共に登校することになった。

ちなみに俺たちが今登校しようとしているのは「私立奏零学園シリツソウレイガクエン」という学校だ。学校設備も充実し、校風も自由なため、ここを目標にする生徒が多い。まあ、俺はただ近いからという理由で選んだだけだが。俺の家からは歩いて十五分ほどである。


「よお、太陽!静川!」

数分ほど二人で歩くと突然後ろから声をかけられた。

同時に振り返るとそこには一人の男が立っていた。

騎馬鹿彦キバシカヒコ。去年からの俺の友人で、名前にもあるとおり、馬鹿である。どれくらい馬鹿かというと神様が生暖かい目で見つめてるくらい?馬鹿である。


「あ、おはよう!騎馬君。」

いつもどおり月夜が笑顔で挨拶。それに彼は、

「おう!」と笑顔で返す。俺とも互いに片手を挙げて「ウッス。」と挨拶。



しばらく三人で談笑しながら歩いているとふと鹿彦が、

「そういや、今日転校生来るってよ。」

と言ってきた。

ちなみに彼は女のことになるとすごい。いろんな意味ですごい。彼の脳の約八割は女のことである。

だから転校生も女だろう。全く、その煩悩を和尚さんに振り払ってもらいたい。

「俺の脳はそこまで女の子のことは考えていないわ!!てか女の子のことを考えれなくなったら俺は死ぬ!!!死んでしまう!」

どうやら思考が漏れていたのか、鹿彦が反論してきた。

しかし死ぬとは・・・。月夜も一歩後ずさったではないか。口の端も引きつってるし。


俺は月夜を呼び寄せ、小声で話す。

「月夜。最近あいつやばくなってきてねえか?」

「・・・うん、そうだね。」

「たとえあいつが変な奴になっても二人で温かい目で見守ってやろうな。」

「うん、そうだね。・・・・・・二人で・・・か。ふふふっ。」

最後のほうは小声で聞こえなかったが同意してくれた。


「ちょ、そこ聞こえてるんだけど!!・・・あ、やめて!そんな汚物を見るような目で俺を見ないで!あでも静川にならいいかも・・・。」


もう変態だった。

「・・・行こ、太陽。」

「ああ、そうだな。」


ということで無視を決め込むことにした。


「あ、ちょっと!!!待って!!!置いてかないで!!」

そうやっていつものように鹿彦いじりをしながら登校している俺たちだった。


さらに数分歩くと、一人の女性が声をかけてきた。

「月夜と太陽と・・・馬鹿、おはよう。今日もいい天気だな。」


「あ、花恋ちゃん!おはよー!」

「おお、花恋。」

「俺は馬鹿じゃねえ!!!」


姉柴花恋アネシバカレン。月夜の中学生のときからの友人で俺とも面識がある。あ、馬鹿とも。

苗字にもあるように言葉遣いや容姿が姉のようである。多くの女子生徒に慕われており、男子生徒にとっては憧れであり、一部からは「姉御」「お姉さま」などと呼ばれているらしい。容姿は月夜に負けず劣らずの美貌で、長い黒髪が一層姉成分をプラスする。勉強は月夜についで次席ね。ちなみに剣道部である。

見た目的にもなんら問題のない女子高生である。ただ一つの部分を除いて。

一応本人に忠告してみる。

「なあ、花恋。いい加減その刀帯刀するのやめろよ。」

そう、彼女はいつも腰に木刀を差しているのだ。それを忠告しても、

「む、これは乙女の嗜みだ。こればかりは太陽からの忠告でも引かんぞ。」

ふいっと横を向く花恋。そういう仕草は可愛いのに・・・。

全くどこの乙女が脇に刀を差すのか教えて欲しい。


そのまま四人で談笑しながら学園へ向かって歩き出す。

しかしそのとき俺は安堵していたのかもしれない。


他愛もない会話。いつもの登校風景。

そういういつもと変わらない日常に。


今思うとそれは嵐の前触れだったのだ。


そう、転校生が引き起こす嵐の・・・。


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