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10:太陽と猫と乙女の昼下がり。

「太陽!!!」



「またお前かよ…」


昼食時。屋上にいる俺を呼ぶ声に振り向いてみれば扉の前で一人の少女がこちらを睨んでいた。燃えるような赤い髪につり上がった目。強気な口調のわりに体つきはまだ子供っぽい。その体には俺らの高校とは違うブレザーをまとっている。


「勝負だ、太陽!」

「懲りないな、灯火とうか…。ていうかまた無断で入ってきたのかよ」

「うるさい!」


そう言いつつ、俺に蹴りをかましてくる彼女の名は梢灯火こずえとうか。よっと。隣の学校の自称不良少女である。ほっ。とある理由で彼女と対戦する流れになり、勝ったことで彼女の闘争心に火がついたのか、ちょくちょく勝負をふっかけられる。ほいっと。


「太陽、涼しい顔で蹴りをいなしてる」

隣にいた薫が現状を解説してくれる。

「だってなあ…。こいつ、本気じゃないし…」

明確な殺意も感じられない。これじゃあまるで、


「灯火ちゃん、太陽にかまってほしいだけじゃないの?」

にやにやしながら灯火の顔を見る月夜つくよ

「なあっ」

その言葉に過剰に反応し、攻撃の手が止まる。その拍子に蹴ろうとした足がもつれ、バランスを崩す。

「おっと」

ぽすっ。

結果、灯火は俺の胸に収まった。


一、二、三秒経過。


「何すんだ馬鹿野郎!変態!」

「いや、お前が倒れ込んできただけだろ」

「うるさい!」

そう言って攻撃を続ける灯火。その顔は真っ赤に染まっている。


そうしてしばらく俺と猫のじゃれあいは続いた。



わたしは遊んでいる太陽を月夜ちゃんと観戦していた。

「も~。灯火ちゃんも強情なんだから」

そう言う月夜ちゃんは苦笑している。

「いいの?」

「薫ちゃん、何が?」

「あの子も・・・太陽」

「好きだってこと?いいの、あの子は。まだまだ恋を知らないみたいだし」

「・・・確かに」

そうかも。そもそもあの子、本当に同い年なの?中学生って言われても違和感ないかも。性格的にも、身長的にも・・・体つき的にも。


「にしても太陽ってほんとに女たらしだよね~」

「そうかも」

私、月夜ちゃん、花恋ちゃん、灯火ちゃん(?)。私はまだそれだけしか知らないけど、月夜ちゃんの口ぶりから察するにもっといるのだろう。太陽に心を奪われた人は。

「これ以上はライバルいらないんだけどな~」

そう言って溜め息をこぼす月夜ちゃん。

「いつになく弱気」

「だってね~。みんな可愛いんだもん」

そう言って唇を尖らせる月夜ちゃん。そして恨めしそうに太陽を見ている。

「全く。太陽と結婚するのは私なのに」

「だめ」

とっさに言葉が出てしまった。でもしょうがない。私だって・・・。そういった感情を持って月夜ちゃんを見つめると、

「ふふっ。薫ちゃんも好きだもんね」

「うん。・・・好き、太陽」

ぽつりとそう言ってしまい、思わず顔に血が上る。恥ずかしい。

「も~。恥ずかしがっちゃって!薫ちゃん、可愛いんだから!」

人の恥ずかしさをよそに私に抱きついてくる月夜ちゃん。



そんな感じで昼休みは過ぎていきました。

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