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ライリー目線 2

「ライ!ライ!待ってくれ!」


 俺はいきなり肩を掴まれ後ろを振り向く。

 走って来たのだろう、肩で息をしているアインスだった。


「アインスどうしたんだい?」


 何を聞きたいのかわかるが、白々しく聞く。


「ちょっとここでは・・」


 そう言われ場所移動した。

 おそらく聞きたいのは夜会でのソフィア嬢の事だろう。と、言うことはアインスはソフィア嬢に気付かなかったんだな。


(まぁ仕方ないか・・結婚してから一度も会って無いんだもんな・・それにしたって俺の勘は当たったな。)


 ライリーはそう思った。

 だからと言って本当の事を教えるつもりも無いけれど・・

 アインスは聞きづらそうに視線を彷徨わせている。


「アインス、用が無いのなら失礼するよ。」

「まてまてまて!!!この間、ライが連れていた令嬢は、何処の家門なんだい?」


 やっぱりな、あの日のソフィア嬢はアインス好みの令嬢に仕立てられていた。

 雰囲気がシンディ妃殿下にそっくりだったのだ。

だからこそアインスの結婚相手に選ばれたのだろうが、俺は教えるつもりは無い。


「あの後、色々な夜会に顔を出したんだが見当たらなくて。知っていたら紹介して欲しい。」


(夜会嫌いのアインスが?!)


「彼女はダメだよ。俺の婚約者になる方だからね。」

「えっ!そうなのか!もう、申し込んだのか?」


(こいつ何驚いているんだ?自分が結婚している事を忘れているのか?)


 アインスの言葉に驚いた。

 いや、アインスの顔を見れば一目瞭然!完全にソフィア嬢に関心を持っている!そう気付いたライリーだが、何だか本当の事を教えるのも面白く無い!

 ライリーは少し考えて、聞いてみた。


「彼女の事を聞いてどうするんだ?君には奥方がいるのに。もしかして、結婚している事を忘れたのか?」

「!!?!」


 今の顔を見れば分かる、アインスは本当に今まで結婚していた事を忘れていたようだ。

 それなのにソフィア嬢の事が気になるとは・・


「話は叔父上から聞いているが・・君は一度屋敷に帰った方が良いと思うよ。」

「カイに俺の気持ちなど分からない。惚れた女性と離されたかと思えば、見ず知らずのパッとしない女性と結婚させられたんだ!」

「それでも結婚したのはアインスの意思じゃないのか?奥方の気持ちを考えた事あるのかい?」


 アインスは俺が簡単に教えると思ったのだろう。見るからに気に入らない!と、顔に出ている。

 でも何故か本当の事を教えたくない俺は、わざとこう言った。


「何処の家門かは教えられないが、クローザ伯爵家の夜会に出席する事になっている。」


 そう言い残しその場を離れた。俺は賭けに出た。

その日はマシュー殿下とシンディ妃殿下は孤児院への慈善事業で訪れる日で、出掛けるのは昼過ぎだ。

 しかもシンディ妃殿下と会える日なのだ!


(夜会に来るか来ないかでアインスの気持ちがわかる。)


 俺は急いで侯爵夫人へ手紙を出した。



「で?あのバカはクローザ伯爵家の夜会に来ると?」

「おそらくは来るでしょう。完全にソフィア嬢の事が気になっている様子でしたから。」


 俺はアインスに声を掛けられた夜、侯爵家に足を運んだ。

 あの後すぐに夫人から連絡が来たからだ。

 目の前の夫人はお茶を飲みながら何かを考えている様子で、俺は黙って夫人の顔を見ている。


「それで、ライリーはアインスにソフィアは自分の婚約者になる人・・と言ったのね?」


 俺はハッとしてすぐに頭を下げる。


「すみません、意識せずに口から言葉が出てしまい・・」

「まぁ良いでしょう。ソフィアに気付かないあのバカも悪いから。・・この事は主人にも伝えて、また連絡しますわ。」




 その日から二日後、叔父上からまたエスコートを頼まれた。


 




次回はアインス→ソフィアへと戻ります。



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