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ライリー目線 1

 俺の従兄弟であるアインス・フログラエルは、四年前に婚約を解消された。

 相手のご令嬢のデビュタントの際、第二王子マシュー殿下に見初められてしまったのだ。

 いくら高位貴族と言えども皇族からの、しかも主人となるとお方の申し出に逆らう事も出来無かったと、その当時泣きながら暴れた。

 俺から見てもシンディ嬢との仲も良好で、結婚も秒読みだっただけにアインスが暴れるのも仕方なく、侯爵も侯爵夫人も目を瞑った。


(新しい婚約者が出来れば、前のアインスに戻るだろう。)と・・


 しかしアインスは諦める事が出来なかったのか、その後も一人を貫く。

 マシュー殿下とシンディ妃殿下が結婚してもなお・・


「アインス、マシュー殿下の側近は辛くはないか?」


 アインスは殿下の側近を辞めなかった。もしかしたらシンディ妃殿下に会えるのでは・・と思っていたのか?

 アインスも二十五になり、さすがに慌てた侯爵夫妻はある子爵家に目を付けた。


 ソフィア・バーロイ子爵令嬢。


 バーロイ子爵領は王都からも遠く離れていて、酪農で成り立つ小さな領地であった。

 王都からも離れているせいで、アインスとシンディ嬢の件は知らなかったのだろう。

 この話を持って行った際、身分差の事だけを心配していたそうだ。

 ソフィア嬢は良くも悪くも素朴。

 シンディ妃殿下と比べては失礼だが、アインスが興味を持たないのも仕方ないと思っていた。

 が・・


「ライリー、済まないが今度の王宮での夜会でソフィアのパートナーをお願い出来ないか?」


 王宮で仕事をしていると叔父上に声を掛けられた。


「ソフィア嬢?アインスはどうしたのですか?」


 ここでは何だから・・と連れて行かれた庭園で聞かされたのは、アインスのソフィア嬢への態度。

 結婚後、ソフィア嬢のいる屋敷へは一度も帰っておらず放ったらかしだったのだ。


「いくら自分の子が可愛いと言っても、ソフィアへの態度に妻が怒髪天でなぁ・・ソフィアを着飾って夜会に連れて行くと言い出したんだ。」


 あ〜、なるほど。 

 ソフィア嬢とは会った事ないが、あの侯爵夫人が手を入れると言う事は・・


「良いですよ。アインスの替わりにソフィア嬢のエスコートをお受けします。」


 叔父上は 助かるよ! と練習場へと戻って行った。

 アインスはマシュー殿下と一緒に庭園を歩いている。

 きっと今からシンディ妃殿下の元へ行かれるのだろう。

 聞くとシンディ妃殿下はご懐妊されたらしく、ぼちぼち諦めもつく頃だろう。

 小さな頃から侯爵家嫡男のアインスと、子爵家嫡男の俺とは比べられた。

 歳も同じで父親が兄弟だからか?どうしても良いものはアインスだった。

 だから、アインスとシンディ妃殿下が婚約解消された時は不謹慎ながらも笑った。

 これでアインスも屈辱の味を知るんだ!と・・

自分が味わい続けたものを、アインスも味わうんだと・・

 でも、ソフィア嬢に対する態度は間違っている。

一度、アインスに言ったことがある。


 自分の想いを奥方にぶつけるのは間違っている!と。

 アインスは


「彼女には了承を得ている!ライに言われる事では無いから口を出さないでくれ!」


 怒りながら去って行く後ろ姿を見て、まだ見ぬ奥方へ同情してしまった。


 夜会も近づき侯爵家へと足を運んだ。

 夫人から渡すものが有るから!と言われたからだ。


「本当は揃いの服にしたかったけど、時間が足りなかったから・・」


 手渡されたのはハンカチーフ。

 我が家の家紋が刺繍されていた。


「ソフィアに頼んで刺して貰ったのよ。」


 ハンカチーフを手に取ると、家紋の周りに色とりどりの糸で刺された花が。


(綺麗だな・・)


 彼女に会うのが楽しみになった。

 そして夜会当日、着飾ったソフィア嬢に会った時、初めて知る胸の高鳴りを経験してしまった。

続きます!

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