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ソフィア目線 4

「あの、ライリー様。申し訳ありませんでした。」


 あの後休憩室へと通されたわたしは、ソファーで縮こまった。

 旦那様に思いがけず声を掛けられ、自分の事を伝える事も出来ないばかりか、ライリー様にまで迷惑を掛けてしまったからだ。


「ソフィア様は何も謝られるような事はされておりませんよ?」


 対面のソファーに腰掛けるライリー様は、前のめりの体勢で心配そうに声を掛けてくれた。


「あの、わたしはアンが来てくれたから大丈夫です。ライリー様は会場へお戻りになってくださいませ。」


 あの後わたし付きの侍女アンをこの部屋に呼んでくれた。なので自分は大丈夫なので!と伝えても腰を上げる様子は無い。

 アンが淹れてくれたお茶を飲んで沈黙を誤魔化す。

すると、


「ソフィア!あのバカが声を掛けて来たそうね!」


 お義母様が部屋へと入って来た。お義父様は挨拶周りで会場から離れる事が出来なかったそうで、お義母様が駆け付けてくれた。


「ライリー、あのバカの様子はどうでしたか?ソフィアだと気付いたのかしら?」


 お義母様はわたしの横へ腰掛けると、目の前に座るライリー様へ様子を聞く。


「残念ながらアインスは、ソフィア様に気付いた様子は無かったですね。普通に令嬢への対応をしていましたから。ただ・・」


(ただ?ライリー様は何を言うのかしら?)


「アインスは、ソフィア様だとはまったく気付いてなくても、ソフィア様に興味を持たれたかと・・」

「へっ???」


 変な声が出てしまった。



 その日は両陛下へ挨拶し、わたしの我儘で一曲だけライリー様とダンスを踊ると屋敷へと戻った。

 旦那様からの視線を感じたけれど、お義父様とお義母様が足止めをしてくれたおかげで馬車に乗る事が出来た。

 あんなに会いたかった旦那様なのに、会ってみたら何も感じる事が出来ない自分に驚いてしまった。


「ソフィア様、どうかされましたか?」


 優しい声に思わず胸がドキッとしてしまう。


「いえ、その・・デビュタント以来の夜会に疲れてしまった様です。」

「屋敷に着いたらすぐ、お休みくださいね。」


 ライリー様へ ありがとうございます。 と答えるのが精一杯で、何故かライリー様の顔を見る事が出来なかった。


 侍女のアンに夜の身支度をお願いし、寝る前に温かなミルクを飲む事がわたしの日課なため、アンは何も言わなくても用意をしている。


「アン?あの、こんな事を聞くのは間違っているのかも知れないけど・・」


 アンはミルクをテーブルに置くと、


「わたくしの答えられる事でしたら。」


 と、わたしの斜め前に移動する。


「ライリー様の事だけど。こちらとの関係はあるのかしら?ほらっ、今夜急にパートナーをお願いしたじゃない?ご迷惑じゃ無かったのかしら・・と。」


 ホットミルクを口にする。

 アンは軽く顔を傾けると


「マデリート子爵様は、アインス様とは従兄弟になられます。前子爵様とご主人様はご兄弟だったとお聞きしております。」

「あの、婚約者様とか奥様とかは・・」

「どちらも聞いた事ありませんねー。もしおられたら奥様のエスコートはされないのでは?」

「そっ、そうよね!変なこと聞いたわ!もう下がって大丈夫よ!」


 ミルクを全部飲み干し、水で軽く口をすすぐとアンは台車を押しながら部屋から下がる前にこう言った。


「明日の朝は少し遅めにお声掛けしますので、ゆっくりお休みくださいませ。」

「わかったわ、ありがとう。おやすみ。」


 わたしはベッドに横になるも今夜の事で興奮しているのか・・なかなか眠れなかった。

 内心、旦那様に気付いて貰えるのでは?

 ダンスを一緒に踊ってくれるのでは?

 と、思っていた。


(わたしに気付くどころか、別人だと思われてたわね・・)


 そのせいなのか?ライリー様との事を思い出すと、何故だか胸が騒がしくなる。


この感情が何なのか、ソフィアには初めての事でわからなかった。

次回はライリー目線になります。

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