ソフィア 13
社交シーズンも終わり、それぞれの領地に戻る頃の時期にパニラ様とアインス様の結婚式が行われた。
カールトン侯爵領にある教会での式にアインス様は納得いかなかったが、王太子であるマシュー様の一声で決まってしまった。
「アインス、今までご苦労さまだったね!これからはカールトン侯爵領の為にパニラ嬢と力を合わせて発展させて欲しい。君の結婚式には出席するから楽しみにしているよ!あの時期のカールトン領は色とりどりの花が咲くと聞く。楽しみだなぁ!」
さすがに王太子殿下にここまで言われては言い返す事も出来ず、最終的に頷くしか無かったらしい。
わたし宛にパニラ様から招待状が届き、今は出席する支度とライとわたしの結婚式の準備に忙しい。
「フィア、今良いかな?」
ノックと同時に部屋に入って来たのは、正式にフログラエル侯爵の養子となったライリー様だ。
本来なら結婚式後に入る予定だったわたしだけど、侯爵と夫人に
「そんな仲では無いだろう?今回は君の意見も入れたいから早めに入りなさい。」
「そうよ!前はアインスが勝手に行ったから納得いかなかったわ!今回はもっと大きなお式にしましょう!」
と言ってくださり、ライの部屋の隣に用意してもらった。
前の部屋は客室だったそうだ・・
(客室と言っても豪華だったから満足してたけど・・)
部屋のソファーへライを導き、アンへお茶の用意をお願いした。
ライはわたしの部屋を見渡すと、
「大変そうだね・・」
「そうね!でも、パニラ様のお式だから楽しみでもあるのよ!良い演出があれば真似たいし・・」
アンが目の前にお茶を置くと、手に取り一口飲む。
ライも同じようにお茶を一口飲むと、懐から手紙を出した。
差出人を見ると
「王太子妃殿下!?」
からだった。
「元婚約者と君の事を耳にしたらしく、出来たら直接会って話がしたいそうなんだ」
ライは今、アインス様の代わりに王太子殿下の秘書となって働いている。
その関係で手紙を預かったらしい。
わたしは断る理由などなく、ライに返事をお願いした。そしてカールトン領へ出発する前日、妃殿下とのお茶会へと足を運んだ。
通されたのは妃殿下専用の庭園にある東屋で、すでに妃殿下と王子殿下が席に座っていた。
わたしは両殿下へ最上の礼をすると、席に勧められた。
今年で三歳になられる王子殿下は、挨拶を済ますと侍女と共に下がって行った。
「フログラエル子息との事、聞きました。その事で貴方には大変な・・」「妃殿下」
わたしは妃殿下の言葉を遮った。本来なら罰せられる事だが、頭を下げようとしていた為やも得ない。
「確かに寂しい思いも致しました。ですがそれ以上に良くもして頂けました。なので、わたくしにとって幸せな二年間でした」
妃殿下の目を真っ直ぐ見つめながら、ハッキリと伝える。
妃殿下もわたしの目を見つめ、何を言いたいかを理解されたようで、
「ありがとう」
と一言だけ発した。
パニラ様とアインス様の結婚式は、雲ひとつない晴天に恵まれた。
式は屋敷より少し離れた教会だったが、沿道には領民達が並び馬車で通過する二人に声を上げてお祝いの言葉を贈っていた。
その日は屋敷の外庭も開放して、料理や飲み物を提供。領民達が続々とお祝いに駆け付けている。
招待客も多く直接パニラ様と会話出来たのは、お式前に会った時だけだった。
明日帰る前に会う約束をしたからその時に、わたし達の結婚式の招待状を渡そう。
「素敵な披露宴ね」
「ああ、領民達に一緒にお祝いして貰えるのは良いな」
わたしがライの顔を見上げながら言う。
ライもわたしの顔を見ながら言う。
アインス様もカールトンの一員になる覚悟が出来たのか、顔付きも変わりパニラ様と一緒になって来客に挨拶回りをしている。
わたしはそんな二人を見つめながらライが持って来たグラスを口を付けた。
それはレモン水で、口の中に広がるレモンの香りにあの日の事を思い出していた。
「ねぇライ」
「?」
ライはわたしの言葉の続きを待つように、わたしを見つめ続けている。
そんなライにわたしは、心からの言葉を贈った。
「ライに初めてエスコートされたあの夜会からずっと、貴方の事が好きだったのよ!」
お読み頂きありがとうございました!
最後にアインス目線で完結したいと思います!




