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残念ですが、あなたが愛したのは妻であるわたしです。  作者: おつかれナス


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ソフィア 9

 離婚してから三ヶ月が過ぎた。

お義父様、お義母様は(どうせアインスは帰って来ないから)屋敷に残っても良いと言ってくれたけど、やはり離婚した元妻が居座るのも変なので、実家の子爵家へ帰った。

 両親は侯爵様から


「ソフィアには全く問題はない。有るとしたらバカ息子の方だから。」


 と、仰ってくださり、また契約通り慰謝料を払ってくださったおかげで、我が家からも追い出される事は当面無いでしょう。

 離縁してから何かが変わったかと言えば、結婚前には参加したくても出来なかった夜会に顔を出すようになった。

 もちろんアンは居ないので実家の侍女にメイクを頼む。するとどうでしょう!

 地味な顔はそのままでした。

アンの腕は確かでした。

 時々、元旦那様にお会いするけれど、あちらも見て見ぬふりをするので丁度良い。

 今の社交界では、今まで滅多に顔を出さなかったフログラエル子息が出席するから、独身女性の的である。

 わたしと離縁した事で、優良物件に空きが出来た訳なのでそれはもう、令嬢達に囲まれて大変そうです。


「いつ見てもフログラエル子息の人気は凄いわね〜」

「あら、パニラ様。ごきげんよう。」

「ソフィア様、ごきげんよう。」


 彼女はカールトン侯爵家令嬢のパニラ様です。

 元旦那様と離縁して、初めて顔を出した夜会がカールトン侯爵家でした。

 お義母様に呼ばれ紹介して頂いてからのお友達です。そして・・元旦那様と縁談の話が出ているお方でもあります。

 その事を聞かされた時、わたしは隠す事なく


「アインス様とは白い結婚でございましたし、夫婦として生活した日は一日もございませんでした。」


 と答えた。

 その、ものの言い方を気に入ってくださり、会うと必ずお声をかけてくださります。


 「ところで・・今夜はライリー様はいらっしゃらないの?いつもフィアにくっ付いているのに。」

「フフッ、いらしてますよ?あちらに・・」


 顔を横にずらすと、第二王子殿下と談笑されているライリー様がいた。

 元旦那様はあいも変わらず女性達に囲まれて、身動きが取れない様だ。

 今さらだが、


(あの方が、わたしの旦那様だったのよねー)


 他人事の様に思えて仕方ない。


「フィア、何か考えごと?」

「ライ様!いいえ?ライ様をパニラ様と待っておりましたの。」


 ライリー様は勘が働くので気を付けないと!


「マーデリート子爵様、ごきげんよう。」

「カールトン侯爵令嬢様、ご無沙汰しております。」

「フフッ子爵がいらしたのでフィア、私はお父様の元に参りますわ。」

「ええ、お付き合い頂きありがとうございました。」


 お互い軽く挨拶をして別れた。


「フィア、私と踊りませんか?」

「もちろんですわ!」


 ライリー様にエスコートされ、この日は三曲通して踊った。


 ① 一曲踊るは挨拶

 ② 二曲踊るは好意を持ってます。

 ③ 三曲踊るは自分だけを見て欲しい。


 パニラ様から教えられた日。

 わたしはライリー様の事で胸が苦しくなり、夜も眠れなかった。

 ライリー様はわたしが離婚してからは、必ずわたしと三曲踊る。

 他の令嬢達とは一曲しか踊らないため、嫌でも意識してしまう自分がいる。


「わたしだけがこんな気持ちになるなんて、何だか癪に障るわ!」

「何の話?」


 踊ったあと、ライリー様に連れられバルコニーへと移動した。


「飲み物を取って来るから待ってて。」


 と、ベンチに座らされライリー様は会場へと戻っていった。と思ったのに、戻るの早くないですか!?


「会場に入ったら、直ぐそこに給仕がいたんだ。」


 グラスを渡されそれを受け取る。

 二人で他愛のない話をしながら過ごすこの時間は、わたしに取っては至福の時間となる。

 侯爵家での生活もそれなりに快適ではあったが、夫が帰って来ない家と言うのは居心地はやはり良いものでは無かった。


「ソフィア」


 少し無言のあとライリー様はわたしの目の前に膝跨いだ。

 

「ソフィア・バーロイ子爵令嬢。わたくしライリー・マーデリートは一生を賭けて貴女を守る事を誓います。

貴女は先の結婚で、辛い思いをしながら過ごしていた。私は貴女にそんな思いをさせないと誓う。どうか、私の気持ちを受け取って欲しい。」


 目の前に差し出されたものは、マーデリート子爵家の家紋が彫られた指輪だった。


「わたしは出戻りです。いくら白い結婚であったと言っても、それを知る人は少ないです。それでも、、

それでも良いのですか?」


 ライリー様は微笑みながら


「私は、それを知る一人ですよ?もし、そうで無かったとしても、私は貴女を選びます。どうか私を信じて欲しい。」


 わたしの目を見て気持ちを伝える彼に、わたしはもう一度信じたいと思えた。


「わたしを一人にしない?」

「いつも一緒に。」

「わたしだけを見てくれる?」

「もちろん。貴女にも私だけを見て欲しい。」


 わたしはライリー様の首に抱きついて


「もちろんですわ!」


 と答えた。

少し長くなりました。



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