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そんな文芸サークルでの時間が過ぎていってね…。
僕は、あまり文芸サークルの人達とは、
話さないんだ。
「どうして?」
いや、特に理由は、ないよ。
それで、サリーと僕の冊子は、
今まで、かなり出来ていたわけだ。
僕は、そんなサリーの小説を読む。
サリーが書くのは、いつも恋愛小説…。
それを僕は、文芸サークルに入って以降、
全部、彼女の作品を読んできた。
でさ、
面白くないんだよ…僕にとって、
彼女の書く小説は…。
でも、そうとは彼女に言ったことはない…。
で、
製本に、なるとき、サークルメンバー同士で、作品を読み会いするんだけど、
僕の作品の、
誤字脱字を指摘してくれるのは、
サリーだけなんだ。
サリーだけ…。
つまり、僕が彼女の作品を読んでいるように、
彼女も僕の作品を読んでくれているんだな…。
ある時、
ふいに、教室に、彼女と二人だけになった時、
彼女が僕に話してくれたんだけど、
彼女、スゲー長編小説が書きたいけど、
私は、書けない!みたいなことを、
僕に言ったんだよ。
僕は、そんな彼女に、
「君は、君らしく書けば、いいんじゃない?」と、
僕の気持ちを込めて言った…。
昨日さ…コミュニティアの次回、案内があって、
彼女、それに向けて既に、
長編小説を書き上げたんだって…。
「おまえの小説が、そのコミュニティアでは、冊子には、ならない…のか?」
うん!
で、その次のコミュニティアが既に決まっていて、
彼女は、それに向けての中編小説を既に書き上げている…。
僕の掲載ページは、ジャスト4000字。
「400字づめ、原稿用紙10枚分か…?
サム、新作、それで書けそうか!?」