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彼女は異世界で王様でした  作者: オランジェ
プロローグ
1/30

前世の記憶

以前、別アカウントで投稿した物語を改変に改変を重ねたものを再び投稿します。

多少の暇つぶしにもなれば幸いです。


『ーー彼の者は王!


 王の中の王なり!


 世界の覇者!我らの統治者!


 世界を統べる者!


 我らを導き給え、我らが覇王よ!!』



 天上界にまで響き渡りそうなほどの声。

 目下には大群衆。皆一様に私に目を向けていた。希望に輝く瞳、崇拝の目、品定めをするような眼。それを堂々と受け止め、口の端を持ち上げる。そう人々の期待を、のしかかる重荷も、重圧もなんでもないことのように傲慢に笑って見せる。


 その表情が何よりも自分に似合っていることを知っているのだ。


 そして、確かに自分の中に自信が満ち溢れていた。この世界を民全てを守ってみせようと。

なぜならーー


 直ぐ後ろを振り向けば、共に戦った仲間たちがいた。様々な容姿を持つ彼らは、それぞれ違う(ばしょ)で産まれた。戦いの中で出会い、共に行くことを誓ってくれた大切な仲間だ。彼らがいるのに、何を恐れる必要があるというのか。

 誰も飢えを知らない世界を創るのだ。そう友と誓った。すぐ傍らにいる唯一無二の友は、目が合うと穏やかな笑みを見せる。こんな状況だというのに、いつもと変わらぬ笑みに、やはりコイツは只者ではないなと内心苦笑する。

千年も続いた暗黒の戦は終わった。

 この先千年、いや、何万何億年と希望に溢れた時代にしてみせる。

 この仲間や友がいれば、そんな壮大過ぎる夢も現実なるだろう。


 そう、思っていたーー


 強過ぎる光は、濃い影を生み出した。速すぎる流れは、多くのものを溺れさせる。それは1枚の布が綻ぶように少しずつ壊れていった。


「王よ!ロード公が討ち死にしたと知らせが…」

  臣下の言葉を聞いて驚愕よりも、いよいよかという思いの方が強かった。

「どうやら、国王軍の一部が反旗を翻したようです…」

「そうか」

 落ち着いた声音で言えば、王の間にいた者達が戸惑うように目配せする。しかし、ずっと考え込むように黙り込んでいた側近だけは、はっとしたように息を呑み、絞り出すように言葉を紡ぐ。


「っ、ま、まさか…あやつ裏切ったのか!!」

 裏切り。

 その言葉が心の底に、響き渡る。そう裏切りだ。ロード公と共に遠征に向かった一人の男を思い浮かべ嘆息した。

 裏切り者と言われた男は、

「 」は、幼き頃から共にいる親友だーー

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