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私のことを嫌っている婚約者に別れを告げたら、何だか様子がおかしいのですが  作者: 水谷繭
8.やっぱり嫌いです!

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8-4

「じゃ、じゃあ今度の休日にまたどこかへ出かけないか!? 劇場でもカフェでも買い物でも、どこでもエミリアの好きなところへ連れて行ってやるから!」


「今度の休日はレスター様とファロンの街へ行くので無理です」


「え?」


 私が答えると、クロード様は呆気に取られたような顔をする。


「レスターと? どういうことだ?」


「今日の精霊学の授業の前に約束したんです。『妖精と花の迷路』の舞台になった場所に行ってみようって」


「な……っ、何もレスターと行くことないだろ!? そんな場所、俺がいつだって連れて行ってやるのに……!」


「結構です。もう約束してしまいましたし」


 澄まして答えると、クロード様は何か言いたげにこちらを見る。



「駄目なのですか? それほど遠い場所ではありませんし、いいではありませんか。クロード様とミアさんのように泊りがけで行くわけではないのですし」


「……!」


 私がミアさんの名前を出した途端、クロード様は顔を引きつらせる。


「泊りがけの予定で行ったわけではない! 馬車が壊れて仕方なかったのだと説明しただろ!?」


「あぁ、そう仰っていましたね。失礼いたしました。けれど、お二人で出かけたのは事実でしょう?」


 クロード様は何か言いたげにしているけれど、何も言葉が出てこない様子だ。私はちょっと胸がすく思いで彼に笑いかける。



「そういうわけなので、クロード様とは出かけられませんわ。お出かけならミアさんでもほかの方でもお誘いして、どうぞご自由に行ってらしてください」


「エミリア……!」


 クロード様に背を向けて、校庭を駆けて行く。もうクロード様のことで一喜一憂したくない。


 今度こそ彼に振り回されるのはやめるのだと、もう何度もした決意を再び新たにした。


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