それぞれの話(勝ち組)
それぞれの話(勝ち組)
ホテルのラウンジで両手に花状態のコウ、話は殆ど彼女らが率先して話しかけるのでコウは話を聞きつつ相槌を打つことに終始していた。
「ようお三方」
「何かその言い方含みを感じるんだけど、というかそっちも同じでしょ」
「そう言えばそうか」
陽の隣には妹の星とマーサのボディガードの明実がいるのだから。
「ところで何の話をしていたのかな?」
「いや何の話もしていないよ」
そこへ外の散歩が終った所とセリアが参加する。
「やあ君たち、夜の海辺は気持ち良いね」
そう言うと椅子を引いてセリアを座らせてから自分も席に着く。
「所先輩何時からセリアと?」
その瞬間セリアの顔が真っ赤に染まる。
「昨日だよ、彼女は僕の憧れさ」
まさか所がこの機に積極的に出るとは、元々彼はオタクだというのはわかっていたのでセリアと付き合うこと意外での違和感はそれほど感じていない。
だがなぜセリアが?と言う疑問は誰でも感じているはず。
「先輩も隅におけませんね」
「彼女以外僕には考えられないからね、これは前からそう思っていたことさ」
それはたぶん全員がそう思っていても聞き出せなかった事だ、付き合う前ならまさかそれを聞いた後でご愁傷様ともがんばれとも言えない。
上手く行くとも行かないとも判断の出来なかったカップルの成立、よくよく考えれば実はベストマッチングだったのではと、今更ながら己の勘の鈍さが浮き彫りになってくる。
「セリア良かったね」マーサ
マーサは彼女らと一緒に暮らす手前、何を考えているのかある程度は知っている。
但し恋愛については明実の話だけで、セリアの事は過去の事しか聞いていないが。
彼女はそう言う事を断ち切って仕事に赴いているものだとばかり思っていた。
だがよくよく見ていると、違和感よりも何故今まで気が付かなかったのかと、今更ながら自分の鈍さに感心しているようだ。
確かにマーサはコウのことで頭がいっぱいの所があるそれは否めない。
でもマーサとて普通の大学生とはいえないぐらい、頭もよく勘の良い方なのだ。
2人を目の前にしても、感心と驚きが交互に頭の中を巡っている。
「…すみません私…」
「セリアおめでとう」
「お嬢様」
「あなたがチャレンジャーだとは思わなかったわ、これで心置きなくコウとデートできるし」
「そ それは…」
一応セリアはボディーガードとしての役割がある、優先すべきは仕事ではあるが、それが今後どう変わるかまでは深く考えていなかった。
だがよくよく考えてみるとさほど今までと変わらないのではと思い中る、大学にはほぼ毎日一緒に来るし、そこにはマーサも所もいるわけで。
所が秋葉に行こうと誘わない限りマーサのボディーガードは勤める事が可能だ。
所も本物がいるからこそ最近は秋葉へ行く事も無くなったという、まあ最近はPCパーツを買いに行くぐらいなのだと聞いていた。
「セリアさん僕は君の仕事を邪魔はしないよ、今までと同じその中に僕が加わったと思ってくれれば良いんだから」
所がこんなにロマンチストだとは思わなかったが、コウは何故か2人を見て感心していた。
もしかしたら自分の学年で唯一出会った純粋なカップルではと思ったからだ、自分のケースはそこからかなり外れている。
だから何故かうらやましくも感じているのだが。
翠は少し複雑な気分だった、うらやましくもありかといってコウとの恋愛を卑下する事など出来ない。
それぞれに違う道を通っていくのが普通であり、翠には翠のマーサにはマーサの恋愛がある。




