香の今後
香の今後
7番目の勇次と8番目の草はさほど見るところの無い無難なリードに終始した。
特に変化が無いというのはその前までがかなり特殊だったことに依来する。
マッチ~そしてマーチンさらに所と言う性質の違うキャラを見て他がしょぼいと思ってはいけないのだが、傍から見れば面白みの欠ける人材だというしかない。
まあだからと言ってそれがだめだというわけでもないのだが、人はそんな何も無いような場所からでも、たった一つの光を見つけて突き進んでいく者もいるのだから、それが誰とはこの場所で語るにはまだ早いが。
そのうち期が煮詰まれば、春は動き出すに違いない。
「ようやくコウちゃんの出番が来たわね」
「それでどっちから先に行くの?」
「いいわ今回は私が後にするわ」
「じゃあ翠ちゃんが先ね」
「行きましょ」
「ああ」
翠はコウの腕を取ると見せ付けるように頭をコウの肩にすり寄せ肝試しの道を進んでいく。
お化けが出てきても怖いというそぶりはほぼないと言ってよい。
翠の頭の中では姑息な計画を考えるより、その手前のコウに寄り添うという事だけで舞い上がっていたりする。
好きな男子の腕を取りデートできるという、しかも辺りは真っ暗たまに邪魔者が出てきてもそんな物は格闘少女の眼中に写ってはいなかった。
それよりも何時抱きしめてチューするかの方が彼女にとっては今一番の問題だったりしていた。
「む 昔を思い出すわね」
「昔って?」
「小学校の頃よ」
(もう忘れたの?)
「ああ そう言えば一時そう言うときがあったね」
忘れもしない小学校4年生学校の帰り道、彼女の親が迎えに来れなくてうちの母がお迎えを頼まれコウと一緒に3人で帰る事になった。
その日は土砂降りの雨で雷も鳴っており傘を刺しても濡れる事は必至の状況。
当然、傘は俺が持ち隣に翠がいるという状況、当時はまだ身長の差が無く、俺はややドキドキしていたのを覚えている。
もちろん翠がそのときどう思っていたのかなど知る由も無い。
「あなたの持つ傘の下がとても安心できたのは今でも覚えているわ」
「みどりちゃんと一緒に帰ったのってあの時始めてだったよね」
「最初で最後だったけどね」
「皆が避け始めたのにコウちゃんだけ変わらなかったよね」
「そうだったっけ?」
「そうよ、コウちゃんだけ違ったのよ」
「う~んそれでどう答えたらいいのかな…」
「いいえ答えは要らない、私が言いたいだけだから」
「有難う」
そう言うと翠はせのびをしてコウのほっぺたにキスをした。
チュ!
「…」
キスをした後、目を伏せてもじもじする翠をコウはやさしくだきしめた。
「ヒューヒュー」
(あこらおまえら…)
お化け役の勇次や草がやってられないとばかりに、お化けを一時中断して俺達二人のやり取りを見ている。
確かにこわがらないのであれば、お化け役の意味等ないと言っても良い、だがそれはそれ ちゃんと役をしてもらわなければ意味が無い。
手をふって勇次を藪の中へ戻らせてから、その先へと歩を進める。
はっきり言うとコウは最後の自分がお化け役をするポジションでしっかり、濃厚なキスを翠を相手に行ったのは言うまでもない。
その結果戻ってきたときには2人とも顔は真っ赤で、前を向き真っ赤な顔のまま汗を掻くコウと、下を向き真っ赤な顔を見せまいとうつむいたままの翠は誰の目にも印象的に映つったことだろう。
「あの格闘少女が、こんなにウブ?」
「あたしのアプリでも強気の女子は恋愛初体験と言うデータがあるわ」
「グリー…私も遠慮しないから」
翠を境内にあるベンチに腰掛けさせると直ぐに次の相手であるマーサの手を取る。
次の瞬間、みんなの前でマーサはコウのほっぺたにキスをする、さすがUSAFチャレンジャー精神旺盛なマーサ。
この瞬間翠はまだうつむいていたので、この後のイベントではさほど熱くならずに済んだのが幸いだった。
「行きましょ」
「あ ああ」
はっきり言うとマーサはお化けが出ようがたまに毛虫が木から降りて来ようが、そんなものお構い無し。
自慢のボディからフェロモン出しまくりコウの自制心を刺激する。
だがそれでもコウは平静を装いながら、ルートを進んでいく、そして翠と同じようにコウがお化け役の場所へ差し掛かるとその見事なボディをコウに預け濃厚なハグ&キスをした。
翠が約1分だったディープキスがマーサはなんと5分、このキスにはコウの脳内自制モードもぶっ飛んだ。
さらにマーサはキスした後のアフターランゲージも忘れない、その大きな胸を押し付けぎゅっとコウの体に密着させて一言。
「ダイスキ!」
結果コウ&マーサの肝試しタイムは10分以上かかり他の皆がやきもきしたのは言うまでも無い。
「やっと戻ってきた~」
「え~と次は星ちゃん」
「は~いいきま~す」
マーサは実は結構無理をしている、翠に負けたくないと言う一心と、この状況を自分に有利にする為、演技まで交えていたりする。
最初のフレンチキスがその一つだった、周りの女子にコウは私のものよとアピールする為の行為がまず一つ。
そして5分ものディープキス、そう結構無理をしてわざと自分の今までしなかった事をしている。
但しそれがいい方向へ向くかというとそうでもないことが後で分かるのだが、それは又今度書くとしよう。




